3 / 8
さようなら
しおりを挟む「嫌だ!! 君と別れるくらいなら、私は死ぬ!」
「………………どうぞ、死んでください。」
「え"!?」
「さあ、どうぞ。死んでくださいよ。」
「ほ、本当に死ぬぞ? 私が死んでもいいのか?」
「いいですよ。私が見届けて差し上げます。どうしたのですか? 早くしてください。」
「マ、マリベル……許してくれ。引き取るのはやめる! もう二度とドーラとは会わないから! だから、別れるなんていわないでくれ……」
死ぬ度胸もないくせに。本当に口だけですね。これでハッキリしました。イーサン様を信じる事は、二度と出来そうにありません。
それに、矛盾していますが、自分の子が出来たというのに、見捨てるような男性に興味などありません。
「イーサン様には、子供が出来たのですよ? ドーラさん……でしたっけ? その方と、3人でお幸せになってください。離縁の書類は、後日送らせていただきます。」
何も持たずに邸を出て行くマリベル。
「マリベル……頼む……行かないでくれ!」
しつこく追ってくるイーサン。
「イーサン様……これ以上、失望させないでください。」
「マリベル……」
さようなら。イーサン様。
私には幸せな2年間でした。
「ぅ……ぅぅ………ぅわぁぁぁぁ……」
邸を出た瞬間、涙が溢れ出した。
やっぱり私は、彼を愛していたようです。こんなにも苦しいなんて……どうして私を裏切ったのですか? どうして……
目を腫らして実家に戻った私を、お父様もお母様も心配してくれました。でもまだ、何も話すことが出来ず、部屋に閉じこもりました。
コンコン……
「マリベル……話は聞いた。」
……ミシェルですね。
「何も話さなくていい。ゆっくり休みなさい。」
お父様……ありがとうございます。
泣き疲れたのか、いつの間にか眠っていたみたい。お父様にもお母様にも、心配をかけしてしまいました。ダメな娘ですね。
ドンドンドンッ
「ちょっと!! お姉様!! 出て来なさいよ!!」
ミシェル!?
「やめなさい! マリベルはずっと部屋にいたではないか! マリベルが悪いわけではない!」
お父様!? 何かあったのかしら!?
「お姉様が汚い手を使ったのよ! そうじゃないなら、おかしいじゃない!!」
「いい加減にしなさい! マリベルはそんな子じゃないわ! 」
お母様まで……何が起きているの!?
ゆっくり、部屋のドアを開けた瞬間……
パンっ!!!
左頬がジンジンする……どうやら、ミシェルに殴られたようです。
「「ミシェルッ!!?」」
「仕返しのつもり!? 」
「何の話?」
「しらばっくれないで!! 私の婚約者の、ビンセント様を奪ったでしょ!!?」
婚約者? 奪った? ミシェルは何を言っているの?
464
お気に入りに追加
3,047
あなたにおすすめの小説

愛してしまって、ごめんなさい
oro
恋愛
「貴様とは白い結婚を貫く。必要が無い限り、私の前に姿を現すな。」
初夜に言われたその言葉を、私は忠実に守っていました。
けれど私は赦されない人間です。
最期に貴方の視界に写ってしまうなんて。
※全9話。
毎朝7時に更新致します。

(完結)私より妹を優先する夫
青空一夏
恋愛
私はキャロル・トゥー。トゥー伯爵との間に3歳の娘がいる。私達は愛し合っていたし、子煩悩の夫とはずっと幸せが続く、そう思っていた。
ところが、夫の妹が離婚して同じく3歳の息子を連れて出戻ってきてから夫は変わってしまった。
ショートショートですが、途中タグの追加や変更がある場合があります。

契約婚なのだから契約を守るべきでしたわ、旦那様。
よもぎ
恋愛
白い結婚を三年間。その他いくつかの決まり事。アンネリーナはその条件を呑み、三年を過ごした。そうして結婚が終わるその日になって三年振りに会った戸籍上の夫に離縁を切り出されたアンネリーナは言う。追加の慰謝料を頂きます――

完結 私の人生に貴方は要らなくなった
音爽(ネソウ)
恋愛
同棲して3年が過ぎた。
女は将来に悩む、だが男は答えを出さないまま……
身を固める話になると毎回と聞こえない振りをする、そして傷つく彼女を見て男は満足そうに笑うのだ。

おさななじみの次期公爵に「あなたを愛するつもりはない」と言われるままにしたら挙動不審です
あなはにす
恋愛
伯爵令嬢セリアは、侯爵に嫁いだ姉にマウントをとられる日々。会えなくなった幼馴染とのあたたかい日々を心に過ごしていた。ある日、婚活のための夜会に参加し、得意のピアノを披露すると、幼馴染と再会し、次の日には公爵の幼馴染に求婚されることに。しかし、幼馴染には「あなたを愛するつもりはない」と言われ、相手の提示するルーティーンをただただこなす日々が始まり……?

二度目の恋
豆狸
恋愛
私の子がいなくなって半年と少し。
王都へ行っていた夫が、久しぶりに伯爵領へと戻ってきました。
満面の笑みを浮かべた彼の後ろには、ヴィエイラ侯爵令息の未亡人が赤毛の子どもを抱いて立っています。彼女は、彼がずっと想ってきた女性です。
※上記でわかる通り子どもに関するセンシティブな内容があります。

あらまあ夫人の優しい復讐
藍田ひびき
恋愛
温厚で心優しい女性と評判のカタリナ・ハイムゼート男爵令嬢。彼女はいつもにこやかに微笑み、口癖は「あらまあ」である。
そんなカタリナは結婚したその夜に、夫マリウスから「君を愛する事は無い。俺にはアメリアという愛する女性がいるんだ」と告げられる。
一方的に結ばされた契約結婚は二年間。いつも通り「あらまあ」と口にしながらも、カタリナには思惑があるようで――?
※ なろうにも投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる