10 / 47
第10話
しおりを挟む
一郎は狙撃する形で遠くから仁科華の背中にとても細くて小さな針を撃った。
背中に針が刺さると、仁科華はビクリとカラダを震わせ、目の焦点が定まっておらず放心した状態になる。
「……だから」
「どうした華?」
鬨人が様子のおかしい仁科華に気が付いた。
雷汰がいるセーブ地点まで引き返し、合流するとそのまま出口を目指していた。
配信は完全に炎上していて、亜理紗はやむなく配信を切断した。だが、切断する前に仁科華のURLを載せた一部の視聴者がいた。そこから彼女のチャンネル視聴者数がぐんぐんと伸び続け、配信を始めた頃は100人もいなかったのに今では10,000人を超えていて、今なお視聴者数の増加は止まっていない。
鬨人や麗音が配信を止めるように求めたが、「えー、でもせっかく視聴者の皆さんが私のチャンネルに来てくれているから~」と配信を止める素振りは見られなかった。
その華が急にカラダが仰け反ったかと思うと恐ろしいことを次々と呟き出した。
「視聴者なんてクズばかりだから……そもそも視聴者なんて、ギフトをくれないヤツなんてゴミだし。まあ私みたいな金持ちが貧乏な視聴者ごときに金をもらうなんてありえないから別にどうでもいいし。それより私のおバカなペットのふたりは意外とうまく炎上させてくれたじゃない。これであのクソ亜理紗の人生をめちゃくちゃにできたし、面白いったらありゃしない。まあ、私がイジメてめちゃくちゃになったヤツなんて腐るほどいるけど……アイツらゴミ虫って今ごろ何をしてるのかな? 虫けらの分際で私の機嫌を損ねた奴らが悪いのよ。亜理紗を潰したら次は麗音の番。アイツ、なにかにつけて亜理紗の肩ばっか持ちやがって、ふざけるのも大概にしてくれないかしら? 麗音はいつものクラスでハブりの刑に処そうっと。PTA会長のママに言えば教師も見て見ぬフリしてくれるし、私に歯向かった罪をちゃんと償わせないといけないわね。それにしても炎上させてるヤツってバカばっかだよね? 知りもしないのにスマホやパソコンの画面の先で自分のちっちゃい人生経験だけを物差しにして人を裁こうなんて厚かましいにも程があるわ。でもバカだからこそ扱いやすいのだけれども……」
仁科華は、延々と己の内に溜まっている毒を吐き続けた。途中で他のクラスの女子ふたりの本名や自分の取り巻きの生徒、あと仁科華に便宜を図っている教師の名前まで洗いざらい呟いていった。
これにより仁科華のチャンネルはどんどん拡散され視聴者数は10万人を超えた。
「え……私、今ちょっと意識飛んじゃったかも」
「お前、もうダメかも」
仁科華の自白剤の効果が切れて意識を取り戻した。
鬨人の冷ややかな視線。亜理紗や麗音は目を逸らして華を見ようとしていない。
それよりも一番気になるのは……。
「華っち、人生終了じゃん」
嘲笑の目……華にとって到底受け入れられない視線を雷汰が遠慮なく向けてくる。
「え、ちょっと意味がわかんない」
名無し
:ちょっと意味がわかんなーい、じゃねえこの下衆が!?
名無し
:ワイ、目が覚めた。アリサちゃんのところへ帰る
名無し
:このニュースで飯のおかわりが3杯はいけそうwww
華は、すぐに自分の立場が悪くなったのを理解して、配信アプリを即座に切断した。
「ねえ……私、なにか口走っちゃったの?」
「さあな、後で動画で見れば?」
焦る。
急に背筋が冷たくなってきた。
だが、同時にクラスメイトが自分に冷たいことに対して、グツグツと怒りが込み上げてきた。
でもここで怒ったら負け。
ここは押しに弱い亜理紗を使って、なんとか学校関係を今まで通りに修復しないと。
「亜理紗ちゃんは私のこと信じてくれるよね?」
「ゴメン、ちょっと無理、かな……」
なにその目?
哀れんでる?
お前みたいな雑魚がこの私を?
亜理紗……調子に乗りやがって!?
回りくどいのはもうやめだ。
明日にでも絶対に立ち直れないように親の力を借りて徹底的に潰してやるッ!
「そう……じゃあ明日が楽しみね、底辺クズな亜理紗ちゃん」
「おまえ……やっぱり、それが本性なのかよ」
「なによ、悪い? アンタ達全員、ママに言って後悔させてやるから!」
鬨人ももう要らない。
こんなに自分が苦しいのにみんなで私のことを見下しやがって。
鬨人や他の連中にも宣戦布告した。
親の力がどれだけこの世で強力なのかをわからせてやる。
「すげ……撮れ高バッチリなんだけど」
「は? 雷汰、アンタまさか!?」
雷汰は周りに浮いている3つのライブカメラである黒い球をダンジョンでも魔物に勘付かれように使われるシークレットモードに切り替えてそのまま配信を続けていた。コメントを非表示にすることで、さらに配信しているのを華に悟られないように隠していた。
「覚えてなさい!」
仁科華は捨て台詞を残して、ひとりでダンジョンから抜け出すための帰還用アイテムで帰ってしまった。
一郎はすばやくバックドアからダンジョンを出て、何食わぬ顔で仁科華を家の外へと送り出した。
まさか彼女があそこまで徹底的に自滅するとは思いもよらなかった。いじめを白状させるくらいのつもりで自白剤を用いたが、まさかあれほどまで心に闇を抱えていたなんて……。
ダンジョンに潜る前にお茶の中に薬効を上げるための作動薬を混ぜておいた。そのため、少量の自白剤入りの注射針を刺しただけで、見事なまでに仁科華は盛大に自爆した。
背中に針が刺さると、仁科華はビクリとカラダを震わせ、目の焦点が定まっておらず放心した状態になる。
「……だから」
「どうした華?」
鬨人が様子のおかしい仁科華に気が付いた。
雷汰がいるセーブ地点まで引き返し、合流するとそのまま出口を目指していた。
配信は完全に炎上していて、亜理紗はやむなく配信を切断した。だが、切断する前に仁科華のURLを載せた一部の視聴者がいた。そこから彼女のチャンネル視聴者数がぐんぐんと伸び続け、配信を始めた頃は100人もいなかったのに今では10,000人を超えていて、今なお視聴者数の増加は止まっていない。
鬨人や麗音が配信を止めるように求めたが、「えー、でもせっかく視聴者の皆さんが私のチャンネルに来てくれているから~」と配信を止める素振りは見られなかった。
その華が急にカラダが仰け反ったかと思うと恐ろしいことを次々と呟き出した。
「視聴者なんてクズばかりだから……そもそも視聴者なんて、ギフトをくれないヤツなんてゴミだし。まあ私みたいな金持ちが貧乏な視聴者ごときに金をもらうなんてありえないから別にどうでもいいし。それより私のおバカなペットのふたりは意外とうまく炎上させてくれたじゃない。これであのクソ亜理紗の人生をめちゃくちゃにできたし、面白いったらありゃしない。まあ、私がイジメてめちゃくちゃになったヤツなんて腐るほどいるけど……アイツらゴミ虫って今ごろ何をしてるのかな? 虫けらの分際で私の機嫌を損ねた奴らが悪いのよ。亜理紗を潰したら次は麗音の番。アイツ、なにかにつけて亜理紗の肩ばっか持ちやがって、ふざけるのも大概にしてくれないかしら? 麗音はいつものクラスでハブりの刑に処そうっと。PTA会長のママに言えば教師も見て見ぬフリしてくれるし、私に歯向かった罪をちゃんと償わせないといけないわね。それにしても炎上させてるヤツってバカばっかだよね? 知りもしないのにスマホやパソコンの画面の先で自分のちっちゃい人生経験だけを物差しにして人を裁こうなんて厚かましいにも程があるわ。でもバカだからこそ扱いやすいのだけれども……」
仁科華は、延々と己の内に溜まっている毒を吐き続けた。途中で他のクラスの女子ふたりの本名や自分の取り巻きの生徒、あと仁科華に便宜を図っている教師の名前まで洗いざらい呟いていった。
これにより仁科華のチャンネルはどんどん拡散され視聴者数は10万人を超えた。
「え……私、今ちょっと意識飛んじゃったかも」
「お前、もうダメかも」
仁科華の自白剤の効果が切れて意識を取り戻した。
鬨人の冷ややかな視線。亜理紗や麗音は目を逸らして華を見ようとしていない。
それよりも一番気になるのは……。
「華っち、人生終了じゃん」
嘲笑の目……華にとって到底受け入れられない視線を雷汰が遠慮なく向けてくる。
「え、ちょっと意味がわかんない」
名無し
:ちょっと意味がわかんなーい、じゃねえこの下衆が!?
名無し
:ワイ、目が覚めた。アリサちゃんのところへ帰る
名無し
:このニュースで飯のおかわりが3杯はいけそうwww
華は、すぐに自分の立場が悪くなったのを理解して、配信アプリを即座に切断した。
「ねえ……私、なにか口走っちゃったの?」
「さあな、後で動画で見れば?」
焦る。
急に背筋が冷たくなってきた。
だが、同時にクラスメイトが自分に冷たいことに対して、グツグツと怒りが込み上げてきた。
でもここで怒ったら負け。
ここは押しに弱い亜理紗を使って、なんとか学校関係を今まで通りに修復しないと。
「亜理紗ちゃんは私のこと信じてくれるよね?」
「ゴメン、ちょっと無理、かな……」
なにその目?
哀れんでる?
お前みたいな雑魚がこの私を?
亜理紗……調子に乗りやがって!?
回りくどいのはもうやめだ。
明日にでも絶対に立ち直れないように親の力を借りて徹底的に潰してやるッ!
「そう……じゃあ明日が楽しみね、底辺クズな亜理紗ちゃん」
「おまえ……やっぱり、それが本性なのかよ」
「なによ、悪い? アンタ達全員、ママに言って後悔させてやるから!」
鬨人ももう要らない。
こんなに自分が苦しいのにみんなで私のことを見下しやがって。
鬨人や他の連中にも宣戦布告した。
親の力がどれだけこの世で強力なのかをわからせてやる。
「すげ……撮れ高バッチリなんだけど」
「は? 雷汰、アンタまさか!?」
雷汰は周りに浮いている3つのライブカメラである黒い球をダンジョンでも魔物に勘付かれように使われるシークレットモードに切り替えてそのまま配信を続けていた。コメントを非表示にすることで、さらに配信しているのを華に悟られないように隠していた。
「覚えてなさい!」
仁科華は捨て台詞を残して、ひとりでダンジョンから抜け出すための帰還用アイテムで帰ってしまった。
一郎はすばやくバックドアからダンジョンを出て、何食わぬ顔で仁科華を家の外へと送り出した。
まさか彼女があそこまで徹底的に自滅するとは思いもよらなかった。いじめを白状させるくらいのつもりで自白剤を用いたが、まさかあれほどまで心に闇を抱えていたなんて……。
ダンジョンに潜る前にお茶の中に薬効を上げるための作動薬を混ぜておいた。そのため、少量の自白剤入りの注射針を刺しただけで、見事なまでに仁科華は盛大に自爆した。
27
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
魔王を倒した勇者を迫害した人間様方の末路はなかなか悲惨なようです。
カモミール
ファンタジー
勇者ロキは長い冒険の末魔王を討伐する。
だが、人間の王エスカダルはそんな英雄であるロキをなぜか認めず、
ロキに身の覚えのない罪をなすりつけて投獄してしまう。
国民たちもその罪を信じ勇者を迫害した。
そして、処刑場される間際、勇者は驚きの発言をするのだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる