悪役令嬢は異世界からの客人に助けられる

雪菊

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  つまりフィクションというベースがあった故に噂が広まり易かった。

 いじめも小説の中のことなのにヴィオレットがやったことになってしまった。
 
 それでもヴィオレットは平気だった。強がりではない。
 
 いずれ婚約解消も視野にいれるべきかもしれないという覚悟 ができただけだ。
 
 表立って何かを言ってくる者はいない。ただ廊下で食堂で中庭でひそひそこそこそされるだけだ。
 
 「いいの?ヴィオレット?隣のクラスもだけど下級生も好き勝手言ってるわよ?」
  
 「いいわよサクラ。どうせ2カ月もすれば卒業ですもの」
 
 「……もしマレビトのカナ様に何か言いたければうちに言ってね」
 
 「ありがとう。でもカナ様は別に悪くないわよ」

 「そうだけど」
 
  マレビトとは稀に異世界からやってくる黒髪黒目の人間のことだ。全て『ニホン』という世界からやってくるらしい。
 
  マレビトはこの王国に繁栄を招くとして王族に匹敵する身分を持つが例外もあるし現在では形骸化している。
 
 サクラの家は伯爵家だが2百年ほど前のマレビトが最初の伯爵だった。
 
 だがサクラの先祖はフランセス王国の臣下となることを決めて伯爵を賜ったのだ。
 
 当時のマレビトの名前は『サキ・シジョウ』シジョウ伯爵と名乗るようになる。
 
 以降娘が生まれるとニホンの名前をつけられた。

 サキの遺言のひとつで名前候補をノートに書き留めてられている。
 
 サクラ・シジョウ伯爵令嬢がサクラの家名と地位だった。シジョウはマレビトの世話を任命されている。
 
 カナ・トバタは5年前にやってきた50年ぶりのマレビトだ。
 
 王家は丁重に扱いサクラの母を世話係に任命した。
 
 今学園内でヴィオレットに悪い噂がたっているのはカナの書いた小説のせいでもある。
 
 だからカナに申し立てをするなら仲介するとサクラは言うのだ。
 
 だがヴィオレットは何も言う気はしなかった。カナのせいではないのはわかっているし言ったところでどうにもならない。
 
 あの小説は巷で人気だし出版停止にするわけにもいかない。
 
 だいたい小説のせいではなく勝手になぞらえただけだし、コレット達が利用したのかもしれない。
 
 「いいのよ放置しておけば。ミラー子爵家とブール男爵家とグノー男爵家とは……ああミラー子爵家とはちょっと付き合いがあったわね」

 あの三人が率先して言って回っているのは知っている。そのうちミラー子爵家と何か農産物の取引があったはずだ。
 
 「取引は一から見直しってことね。うちはその三家とは関わりないわねぇ」
 
 「お父様には報告してるしそれにやっとラウル様と婚約解消できるかもしれないのよ。このチャンスを逃せないわ」
 
 ぐっと拳を握り締めるヴィオレットにサクラは苦笑する。

 婚約解消を望んでることではなくその淑女らしからぬ振る舞いにだ。

 「その仕草はいただけなくてよ、ヴィオレット」
 
 「あら、失礼」
 
 澄まして言って二人で同時に吹き出し笑った。



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少し行間を広くとってみました。読みづらかったらお教えください。
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