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番外編
サプライズ飲み会 2
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<side氷室誠一>
「安慶名に連絡して飲み会の日が決まったから、真壁にも連絡しておいたぞ。お前もその日は問題ないだろう?」
「大丈夫だ。でも、その日は本当に真琴くんを連れて行くのか?」
「ああ。真琴を紹介しておきたいからな。お前も翼くんを連れていけよ。言っとくけど、真壁にも安慶名にも真琴のことは内緒にしておけよ。当日突然連れて行って驚かせるつもりだから」
「ははっ。わかったよ。まさかお前がそんなサプライズ好きだとは思わなかったな」
「まぁな。でもたまにはいいだろ」
というわけで、俺が真壁と会ってからしばらくして久々の飲み会が開催されることになった。
「俺たち、ちょっと寄るところがあるから先に店に行っておいてくれ。時間には遅れないようにするよ」
「わかった」
早めに仕事を終えて、成瀬が真琴くんを連れて出かけるのを見送って、俺も翼と銀座に向かった。
「安慶名さんも真壁さんも、成瀬さんに真琴くんっていう可愛い恋人ができたのは知らないんでしょう? すっごく驚くだろうなぁ」
「驚くなんてもんじゃないよ。学生時代から成瀬を知ってたら真琴くんといる時のあいつの様子は信じられないからな」
「確かに、真琴くんが事務所に来るようになってからの成瀬さん、全然違いますもんね」
「正直、あんなに変わるとは思わなかったよ。というか、そもそもあいつが人を好きになるとは思わなかったからな」
見た目が良く、しかも優秀で医学部のエースと言われた成瀬には、学内はもちろん、その噂を聞きつけた他大学の学生からも人気がありしょっちゅう告白されているのを見たことがあるが、あいつは表情をかえる事なく即座に断っていて、女性にというよりは人間そのものに興味がないように見えた。
そもそも成瀬とは大学で出会ったが、法学部の俺と医学部の成瀬とは接点がないはずだった。
けれど、成瀬を高校から知る真壁が俺と同じ法学部で、その真壁を通じて知り合った。同じ法学部で仲良くなった安慶名も交えて四人で仲良くなったのは、成瀬が司法試験を目指しているという話を聞いたからだった。
法学部に通っていても必ず司法試験に合格できるわけではない。それなのに医学部に通いながら、法学部の講座を聴講し独学で司法試験の勉強をしていると聞いて興味が湧いたんだ。
俺もそこそこ優秀だと自分で思っていたが、成瀬はそれを凌駕する才能を持ち合わせていた。
成瀬は最初こそ俺のことを訝しんでいるように見えたが、真壁からの紹介ということで周りよりはかなり優しく迎え入れてくれたと思う。それくらい、成瀬は真壁を信頼しているように見えた。そこが高校から友人でいられる所以なのかもしれない。
成瀬が予約してくれた店は、完全個室のセキュリティー万全な店。
翼も一緒だから変なのに遭わせずに済むこんな店はありがたいが、成瀬がこの店を選らんだのは翼のためではなく、真琴くんのためだろう。
真琴くんのためならどんなに予約を取るのが難しい店であっても確実に手に入れるような男だからな。まぁ、そのおかげで今日は安心して翼を連れて行ける。
成瀬の名前を告げると、すぐに部屋に案内される。襖を開けて中に入ると、すでに真壁が来ていた。
訝しんだ表情をしていたが、翼の顔を見て納得の表情に変わる。なるほど、このセキュリティー万全な店での飲み会の理由が翼が来たからだと思ったらしい。
本当に真琴くんのことを知らないのだと思うと思わず笑いそうになる。
翼を連れてきたことについて聞かれてつい真琴くんのことを言いかけてしまって翼に止められたが、なんとか誤魔化せたらしい。
それからしばらくして、成瀬が安慶名と一緒に部屋にやってきた。
なんだ。安慶名も驚かせると言っていたが、店の前で会ったのか。成瀬にしては珍しく失敗したな。
あいつは失敗しない男で有名なのに。
真琴くんとのデートだと思ってにやけすぎて失敗したか。まぁ、あいつも普通の人間だったってことだな。
そんなことを思っていると、成瀬と安慶名の間から真琴くんが現れて、真壁の驚く声が部屋中に響き渡る。
うまく行ったなと翼と笑顔で見つめあっていると、突然成瀬と安慶名の間にいる真琴くんの隣にスッと見たこともない美人が現れた。
「「えっ? 誰?」」
俺と真壁の声が被り、翼は言葉も出ない様子で突然現れた人を見つめていた。
すると、安慶名がその美人の肩を優しく抱きながら、
「彼は砂川悠真さん。俺の大事な恋人だよ」
と今まで見たことのない笑顔を浮かべながら告げた。
「はっ? えっ? 安慶名の、恋人?」
「えっ? 砂川って……えっ? まさか……いや、そんなことあるはずないよな?」
俺と真壁が混乱しっぱなしで尋ねると、成瀬は笑いながら、
「真琴と悠真さんは兄弟なんだ。だから、俺と安慶名は、義兄弟になったんだよ」
と言い放った。
「「「ええーーーーーっ!!!」」」
あまりにも想定外の出来事に俺と翼と真壁と三人で部屋中に響き渡るような大声を出してしまったのはいうまでもない。
「安慶名に連絡して飲み会の日が決まったから、真壁にも連絡しておいたぞ。お前もその日は問題ないだろう?」
「大丈夫だ。でも、その日は本当に真琴くんを連れて行くのか?」
「ああ。真琴を紹介しておきたいからな。お前も翼くんを連れていけよ。言っとくけど、真壁にも安慶名にも真琴のことは内緒にしておけよ。当日突然連れて行って驚かせるつもりだから」
「ははっ。わかったよ。まさかお前がそんなサプライズ好きだとは思わなかったな」
「まぁな。でもたまにはいいだろ」
というわけで、俺が真壁と会ってからしばらくして久々の飲み会が開催されることになった。
「俺たち、ちょっと寄るところがあるから先に店に行っておいてくれ。時間には遅れないようにするよ」
「わかった」
早めに仕事を終えて、成瀬が真琴くんを連れて出かけるのを見送って、俺も翼と銀座に向かった。
「安慶名さんも真壁さんも、成瀬さんに真琴くんっていう可愛い恋人ができたのは知らないんでしょう? すっごく驚くだろうなぁ」
「驚くなんてもんじゃないよ。学生時代から成瀬を知ってたら真琴くんといる時のあいつの様子は信じられないからな」
「確かに、真琴くんが事務所に来るようになってからの成瀬さん、全然違いますもんね」
「正直、あんなに変わるとは思わなかったよ。というか、そもそもあいつが人を好きになるとは思わなかったからな」
見た目が良く、しかも優秀で医学部のエースと言われた成瀬には、学内はもちろん、その噂を聞きつけた他大学の学生からも人気がありしょっちゅう告白されているのを見たことがあるが、あいつは表情をかえる事なく即座に断っていて、女性にというよりは人間そのものに興味がないように見えた。
そもそも成瀬とは大学で出会ったが、法学部の俺と医学部の成瀬とは接点がないはずだった。
けれど、成瀬を高校から知る真壁が俺と同じ法学部で、その真壁を通じて知り合った。同じ法学部で仲良くなった安慶名も交えて四人で仲良くなったのは、成瀬が司法試験を目指しているという話を聞いたからだった。
法学部に通っていても必ず司法試験に合格できるわけではない。それなのに医学部に通いながら、法学部の講座を聴講し独学で司法試験の勉強をしていると聞いて興味が湧いたんだ。
俺もそこそこ優秀だと自分で思っていたが、成瀬はそれを凌駕する才能を持ち合わせていた。
成瀬は最初こそ俺のことを訝しんでいるように見えたが、真壁からの紹介ということで周りよりはかなり優しく迎え入れてくれたと思う。それくらい、成瀬は真壁を信頼しているように見えた。そこが高校から友人でいられる所以なのかもしれない。
成瀬が予約してくれた店は、完全個室のセキュリティー万全な店。
翼も一緒だから変なのに遭わせずに済むこんな店はありがたいが、成瀬がこの店を選らんだのは翼のためではなく、真琴くんのためだろう。
真琴くんのためならどんなに予約を取るのが難しい店であっても確実に手に入れるような男だからな。まぁ、そのおかげで今日は安心して翼を連れて行ける。
成瀬の名前を告げると、すぐに部屋に案内される。襖を開けて中に入ると、すでに真壁が来ていた。
訝しんだ表情をしていたが、翼の顔を見て納得の表情に変わる。なるほど、このセキュリティー万全な店での飲み会の理由が翼が来たからだと思ったらしい。
本当に真琴くんのことを知らないのだと思うと思わず笑いそうになる。
翼を連れてきたことについて聞かれてつい真琴くんのことを言いかけてしまって翼に止められたが、なんとか誤魔化せたらしい。
それからしばらくして、成瀬が安慶名と一緒に部屋にやってきた。
なんだ。安慶名も驚かせると言っていたが、店の前で会ったのか。成瀬にしては珍しく失敗したな。
あいつは失敗しない男で有名なのに。
真琴くんとのデートだと思ってにやけすぎて失敗したか。まぁ、あいつも普通の人間だったってことだな。
そんなことを思っていると、成瀬と安慶名の間から真琴くんが現れて、真壁の驚く声が部屋中に響き渡る。
うまく行ったなと翼と笑顔で見つめあっていると、突然成瀬と安慶名の間にいる真琴くんの隣にスッと見たこともない美人が現れた。
「「えっ? 誰?」」
俺と真壁の声が被り、翼は言葉も出ない様子で突然現れた人を見つめていた。
すると、安慶名がその美人の肩を優しく抱きながら、
「彼は砂川悠真さん。俺の大事な恋人だよ」
と今まで見たことのない笑顔を浮かべながら告げた。
「はっ? えっ? 安慶名の、恋人?」
「えっ? 砂川って……えっ? まさか……いや、そんなことあるはずないよな?」
俺と真壁が混乱しっぱなしで尋ねると、成瀬は笑いながら、
「真琴と悠真さんは兄弟なんだ。だから、俺と安慶名は、義兄弟になったんだよ」
と言い放った。
「「「ええーーーーーっ!!!」」」
あまりにも想定外の出来事に俺と翼と真壁と三人で部屋中に響き渡るような大声を出してしまったのはいうまでもない。
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