溺愛弁護士の裏の顔 〜僕はあなたを信じます

波木真帆

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兄さんの恋人って……

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ーうん。僕も優一さんじゃなきゃ、ダメだ……。

ーふふっ。だよね。兄さんも同じ。

ーそっか。兄さん……よかったね。

ーうん、ありがとう。それで、なんだけど……実は、今度上京する時に真琴に彼を紹介したくて、一緒に食事でもどうかなと思って。

ーえっ、一緒に食事?

まさか兄さんの方からこんなにすぐに恋人を紹介したいって言ってくるとは思ってなかった。
今回は報告だけだと思ってたし。
あの慎重な兄さんがこんなにも早く僕に紹介したいって言ってくれるってことは恋人ってことだけじゃなくて……多分これから一生ともに過ごす相手に決めたってことなんだろうと思う。

この前電話した時はそんな話なかったから、この1週間の間に恋人にまでなっちゃったってことだよね?
そんなにすごい出会いが西表であったってこと?
でも、そんな出会いあるかな?

あ――っ!!

もしかして、兄さんの恋人って……倉橋さんなんじゃ?

今まで仕事相手としかみてなかったけど、何かのきっかけで恋人になったとか?

そういうのもなくはないよね?
考えてみたら、倉橋さん……兄さんだけじゃなく僕にもよくしてくれてたし、もしかしたらずっと前から兄さんのことが好きで、兄さんがやっとその想いに気づいたとか?
うん、あり得る!

ーね、ねぇ。兄さん……。

ーん? どうした? 週末、都合悪い?

ーいや、そうじゃなくて……もしかして、兄さんの恋人さんって……倉橋さん?

ーゴホッ、ゴホッ。はっ? えっ? なんでっ? いや、そんなわけないでしょ!!

ーえっ? 違うの? なんだ、僕……てっきり、倉橋さんが仕事上のパートナーからプライベートにもって……。

ーそんなこと、あるわけないっ!!

思いっきり違う!!! と否定されて、かえって驚いてしまった。
なんか否定の声が強かったんだけど……。

倉橋さんのこと、嫌いってわけじゃないよね?
でも、兄さんの勢いが強くてちょっと怖かった……。

ーあ、あの、ごめん……そこまで怒るとは思ってなかったんだけど……。

ーあ、いや、怒ってるわけじゃなくて……いきなり社長の名前が出たからびっくりしただけで……。とにかく社長じゃないから。

ーあ、うん。わかった。あの……週末だよね。喜んで会いに行くよ。二人で西表から来るの?

ーううん。彼は東京に住んでるんだ。空港に迎えにきてくれるから、そのまま向かうよ。

東京に住んでる?
西表に住んでる兄さんとどこで出会ったのか、ますます気になる。

ーわかった。お店はどうする?

ー彼が探してくれるから任せて。あと、できたらでいいんだけど、真琴の恋人の成瀬さんも連れてきてほしいんだ。

ーえっ? 優一さんも?

ーうん。せっかくだから、真琴にも紹介してもらって一緒に食事できたらなって。実はね、兄さんの恋人も東京で弁護士してるんだ。

ーえっ――!! それはすごい偶然!

ーうん。だから多分話も合うと思うんだよね。

ーわかった。じゃあ、優一さんに聞いて連絡するね。

ーわかった。じゃあね。

そう言って電話は切れた。
兄さんの最後の声……すごく嬉しそうだったな。

それにしても、兄さんの恋人って……どんな人だろう?
本当に倉橋さんじゃないんだよね?
あ、そうか。
弁護士だって言ってたっけ。

「電話、終わった?」

「わっ!」

急に後ろからかけられた声に驚いて声をあげてしまった。
これ、なんか前にも同じようなことがあった気がする……。

「ごめん、驚かせるつもりはなかったんだが何か話が盛り上がっているようだったから、声かけにくかったんだ」

「あ、ごめんなさい。ちょっといろいろ話してたら長くなってしまって……」

「いや、それはいいんだけど、途中で私の名前も出てきたような気がしたから気になっていたんだ」

「聞こえてました? そうなんです、実は兄さんが上京してきた時に優一さんも一緒に食事がしたいって言ってて……」

「ああ、お兄さんとの食事ならもちろん喜んで参加するよ」

嬉しそうに笑ってそう言ってくれる優一さん。
本当に優しい。

「あの、実は今回の食事会なんですけど……兄さんに恋人ができて、その人を僕に紹介したいって……それで」

「お兄さんに恋人が? それはめでたいことだね」

「はい。それで、驚くかもしれないんですけど……兄さんの恋人も男性らしくて……」

「へぇ……」

「しかも、その人……東京に住んでて弁護士をされてるって……」

「それは……すごい偶然だな。その方の名前は聞いたのかな?」

「あ、そういえば聞くの忘れてました。驚きすぎてそこまで頭が回らなくて……」

「いや、気にしなくていいよ。どうせ当日会えるんだから……。出会った時の楽しみにするから、真琴はお兄さんに聞かなくていいよ」

「そうですか? じゃあ、そうしますね」

「じゃあ、お風呂に入ろうか」

そう言って、優一さんは僕をバスルームへと連れて行った。

なんだか当然のように一緒にお風呂に入ることになっているけど、恋人なら一緒に入るのが当然なんだって。
それに怪我していた時にずっとお世話されてたから、もう恥ずかしいという気持ちもなくて一緒に入るのが楽しくてたまらないんだよね。
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