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デートの記念に
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<sideセオドア>
店を出て、先ほど話していたコヴェントガーデンに向かう。
私たちのいる場所からコヴェントガーデンまでは徒歩10分もかからない距離にある。
これくらいならマモルを歩かせても大丈夫だろう。
マモルを真ん中に私とラミロで守りながら歩く姿は、広場にいる者たち全ての注目の的だ。
私もラミロもそれなりに人目を惹く容姿をしているが、その我々がさらに人目を惹く可愛らしい男の子を挟んで歩いているのだから注目を浴びるのは当然だろう。
中にはマモルに邪な視線を向ける輩もいるが、私とラミロが二人して威圧を放ちながら歩いているから、さすがに近づいてくる愚か者はいないようだ。
マモル自身は自分が注目を浴びていることにも気づかずに、
『今日はいい天気で良かったですね。ここを歩けるなんて嬉しいです』
と無邪気に可愛らしい笑顔を見せる。
それだけで幸せな気分になれるのだから本当にマモルは偉大だな。
『マモル、ここがコヴェントガーデンだよ』
『わぁ! 映画で見たのと同じ場所があります!!』
マモルが言っているのはおそらくあの美しい女優が出ていたことで有名な映画だ。
『さすがだ、よくわかったな』
『はい。僕、あの映画好きなんです。元々は母があの女優さんの大ファンで一緒に見ているうちに虜になっちゃって……。でもまさかその場所に来られるなんて!! わぁーっ!! 本当に嬉しいです。ラミロさまがここに誘ってくださったおかげですね』
『ふふっ。マモルがそんなに喜んでくれたなら誘った甲斐があったよ』
マモルに褒められてラミロもまんざらではないようだ。
私としてはマモルの好きな場所に自分が連れて行けなかったことを残念に思うが、マモルが喜んでいる姿を見るのは楽しい。
まぁこんなことでいちいち嫉妬するのもさすがに見苦しいな。
『今日はマーケットが開催されている日だそうだ。普段より少し人が多いようだから、絶対に逸れないようにな』
嬉しそうにキョロキョロと辺りを見回すマモルにそう注意を促すと、
『わかりました』
と嬉しそうにマモルの方から手を繋いでくれた。
その姿にラミロは驚いていたが、
『お前と会う前にそう教育しておいたんだ』
と小声で教えてるやると、
『ふっ。お前がこんなに手が早いとは思わなかったよ』
と笑われてしまった。
きっと私がラミロへの牽制にしようとしたことに気づいたのだろう。
マモルへの想いが吹っ切れた今のラミロには牽制にもならないだろうがな。
『うわぁー、可愛いっ!!』
手作り石鹸を売っている店か。
確かに可愛らしいな。
さすがに何が入っているかわからないから、マモルに使わせるわけにはいかないが、見ている分には大丈夫だろう。
マモルは幼い時から肌が弱く、マモルが肌につけるものは母親がかなり慎重に選んでいたようだ。
年齢とともに肌質も強くなるものだが、マモルは今でもかなり繊細で、シャンプーやボディーソープなどはアキラが吟味したものでないとかぶれてしまうことがあるらしい。
だから決して肌に触れるものはその辺のものを使わせないでほしいとアキラから言われていた。
もちろんそれはラミロにも共有済みだ。
このあたりにある石鹸は成分表示も書かれていないから、危なくて到底使わせられない。
まぁ、マモル自身も自分の肌質については理解しているようだが、決して欲しいとは言わないが本当はこんな可愛いものが好きなのだろうな。
いつか厳選した素材でマモルの欲しがるような可愛らしい石鹸を作ってやろう。
私がそんなことを考えるのに時間は掛からなかった。
『あれ? 綺麗な音がします』
マモルの声に耳を澄ませば雑踏の中に美しい音色が聞こえてくる。
その音に誘われるように行ってみると、そこはアンティークな商品を売っている店だった。
『この音、オルゴールだったんですね。素敵』
マモルが惹かれたのは、オルゴールがついた懐中時計。
オルゴールの音もさることながら、この懐中時計の細工のなんと素晴らしいことだろう。
言い方は悪いが、こんなマーケットの店に置かれているものとは思えないほどの代物だ。
私の好みの品を探してくれるマモルの目利きが素晴らしいことは知っていたが、やはり本物だな。
『マモル、これをプレゼントしよう』
『えっ、でも……そんなっ、いいんですか?』
『ああ、今日のデートの記念になるものを贈りたいと思っていたんだ。受け取ってくれるか?』
マモルはしばし悩んだ様子だったが、
『あの、ありがたくいただきます』
と言ってくれた。
『そうか、良かった。マモルの気に入ったものを贈ることが出来て嬉しいよ』
『僕……これ、大切にします』
マモルのこの上ない嬉しそうな笑顔に、私はもちろん、ラミロも嬉しそうに笑っていた。
店を出て、先ほど話していたコヴェントガーデンに向かう。
私たちのいる場所からコヴェントガーデンまでは徒歩10分もかからない距離にある。
これくらいならマモルを歩かせても大丈夫だろう。
マモルを真ん中に私とラミロで守りながら歩く姿は、広場にいる者たち全ての注目の的だ。
私もラミロもそれなりに人目を惹く容姿をしているが、その我々がさらに人目を惹く可愛らしい男の子を挟んで歩いているのだから注目を浴びるのは当然だろう。
中にはマモルに邪な視線を向ける輩もいるが、私とラミロが二人して威圧を放ちながら歩いているから、さすがに近づいてくる愚か者はいないようだ。
マモル自身は自分が注目を浴びていることにも気づかずに、
『今日はいい天気で良かったですね。ここを歩けるなんて嬉しいです』
と無邪気に可愛らしい笑顔を見せる。
それだけで幸せな気分になれるのだから本当にマモルは偉大だな。
『マモル、ここがコヴェントガーデンだよ』
『わぁ! 映画で見たのと同じ場所があります!!』
マモルが言っているのはおそらくあの美しい女優が出ていたことで有名な映画だ。
『さすがだ、よくわかったな』
『はい。僕、あの映画好きなんです。元々は母があの女優さんの大ファンで一緒に見ているうちに虜になっちゃって……。でもまさかその場所に来られるなんて!! わぁーっ!! 本当に嬉しいです。ラミロさまがここに誘ってくださったおかげですね』
『ふふっ。マモルがそんなに喜んでくれたなら誘った甲斐があったよ』
マモルに褒められてラミロもまんざらではないようだ。
私としてはマモルの好きな場所に自分が連れて行けなかったことを残念に思うが、マモルが喜んでいる姿を見るのは楽しい。
まぁこんなことでいちいち嫉妬するのもさすがに見苦しいな。
『今日はマーケットが開催されている日だそうだ。普段より少し人が多いようだから、絶対に逸れないようにな』
嬉しそうにキョロキョロと辺りを見回すマモルにそう注意を促すと、
『わかりました』
と嬉しそうにマモルの方から手を繋いでくれた。
その姿にラミロは驚いていたが、
『お前と会う前にそう教育しておいたんだ』
と小声で教えてるやると、
『ふっ。お前がこんなに手が早いとは思わなかったよ』
と笑われてしまった。
きっと私がラミロへの牽制にしようとしたことに気づいたのだろう。
マモルへの想いが吹っ切れた今のラミロには牽制にもならないだろうがな。
『うわぁー、可愛いっ!!』
手作り石鹸を売っている店か。
確かに可愛らしいな。
さすがに何が入っているかわからないから、マモルに使わせるわけにはいかないが、見ている分には大丈夫だろう。
マモルは幼い時から肌が弱く、マモルが肌につけるものは母親がかなり慎重に選んでいたようだ。
年齢とともに肌質も強くなるものだが、マモルは今でもかなり繊細で、シャンプーやボディーソープなどはアキラが吟味したものでないとかぶれてしまうことがあるらしい。
だから決して肌に触れるものはその辺のものを使わせないでほしいとアキラから言われていた。
もちろんそれはラミロにも共有済みだ。
このあたりにある石鹸は成分表示も書かれていないから、危なくて到底使わせられない。
まぁ、マモル自身も自分の肌質については理解しているようだが、決して欲しいとは言わないが本当はこんな可愛いものが好きなのだろうな。
いつか厳選した素材でマモルの欲しがるような可愛らしい石鹸を作ってやろう。
私がそんなことを考えるのに時間は掛からなかった。
『あれ? 綺麗な音がします』
マモルの声に耳を澄ませば雑踏の中に美しい音色が聞こえてくる。
その音に誘われるように行ってみると、そこはアンティークな商品を売っている店だった。
『この音、オルゴールだったんですね。素敵』
マモルが惹かれたのは、オルゴールがついた懐中時計。
オルゴールの音もさることながら、この懐中時計の細工のなんと素晴らしいことだろう。
言い方は悪いが、こんなマーケットの店に置かれているものとは思えないほどの代物だ。
私の好みの品を探してくれるマモルの目利きが素晴らしいことは知っていたが、やはり本物だな。
『マモル、これをプレゼントしよう』
『えっ、でも……そんなっ、いいんですか?』
『ああ、今日のデートの記念になるものを贈りたいと思っていたんだ。受け取ってくれるか?』
マモルはしばし悩んだ様子だったが、
『あの、ありがたくいただきます』
と言ってくれた。
『そうか、良かった。マモルの気に入ったものを贈ることが出来て嬉しいよ』
『僕……これ、大切にします』
マモルのこの上ない嬉しそうな笑顔に、私はもちろん、ラミロも嬉しそうに笑っていた。
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