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僕のお守り
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<side真守>
どうしてこんなことになったんだろう。
僕はただ初めてのパーティーに参加しただけだったのに。
なぜか、ラミロ王子とセオドアさまとデートをすることになってしまった。
頷きはしたものの、戸惑いを隠せずにいた僕を心配してセオドアさまが明さんとアロンを呼んでくれた。
すぐに来てくれた明さんとアロンは、僕の表情を見て疲れているようだからと無礼を詫びつつ、すぐに家に連れ帰ってくれた。
帰りの車の中では何も聞かれなくてホッとした。
まだ自分でも気持ちが落ち着いていなかったから。
どうしたらいいのかなんて何も思いつかない。
だけど少しずつ冷静になってきて、家に着いたら明さんたちに相談してみようと思っていると、明さんの方から話をしようと声をかけてくれた。
『マモル、大丈夫だからね』
アロンが優しく寄り添って、僕の手を握ってくれる。
その瞬間、セオドアさまに手を握られたあの気持ちが甦ってきた。
そういえば、セオドアさまの手……アロンのように安心したな。
伸吾によく触れられていたから、誰かに触れられるのは苦手だったはずなのに。
『それで一体何があったんだ? セオドアさまとテラスでお話をしていたのではなかったのか?』
『それが、セオドアさまのご友人だというラミロ王子が来られて――」
そう言って、僕はセオドアさまから告白をされたこと、そしてラミロ王子からも一目惚れしたと言われたこと、どちらかを選ぶためにデートをしてお互いによく知ることを提案されたと話した。
『そうか、そんなことになっていたのか……』
『僕、もうどうしていいのかわからなくて……』
『でも、どちらも断る選択肢はなかったのだろう?』
『断るなんて……そんなことできるほど、セオドアさまのこともラミロ王子のことも知らないから……何も知らないのに断るのは失礼かなって……っ、そもそも18になったばかりの僕なんかが選ぶなんて烏滸がましいと思っているのに』
『真守、それは違うよ』
『えっ?』
『真守が自分なんかと卑下する必要は全くない。人を好きになるのに性別が関係ないように身分だって、年齢だって関係ないだろう? そんなことを気にするなら、セオドアさまとラミロ王子はそもそも真守を好きになったりはしない。お二人は真守を見て惹かれてくださったのだろうからな』
僕を見て……惹かれた。
確かにセオドアさまもそう言ってくれた。
会う前からずっと頭の中で考えてくれていたとも言ってくれた。
僕が自分なんかと卑下したら、セオドアさまのその気持ちを傷つけてしまうのだろうか。
『僕も初めてアキラに会った時、同じように言われたんだよ』
『えっ? アロンも?』
『ふふっ。懐かしいな、アロン。覚えていてくれたのか?』
『もちろん、忘れるわけないよ。僕がアキラに出会ったのも今のマモルと同じくらいの年だったかな。アキラのお店で人手を募集していると聞いて面接に行ったんだ。アキラは僕の顔を見てすぐに一目惚れしたって言ってくれたんだ』
『そうだったんだ』
今まで何度か聞いてみたけど、恥ずかしがって教えてくれなかったんだよね。
きっと二人だけの思い出にしておきたかったのかな。
でもきっと僕を安心させるために今日は話してくれたんだ。
本当にアロンは優しい。
『格好よくて年上のアキラが本気でそんなこと言ってくれるなんて信じられなくて、僕もマモルと同じように即答はできなかったよ。だって、初対面だし、アキラよりも随分こどもだったし。だから、セオドアさまたちと同じように僕も何度かデートしたんだ。だからね、デート自体は悪いことじゃないと思うよ。一緒の時間を過ごすことで見えなかった部分も見えてくるし』
『うん、それはそうだね』
『でもね、十分気をつけてね。意にそぐわないことをされたら、大声を出すの。いい?』
『う、うん。大丈夫』
セオドアさまもラミロ王子もそんな酷いことをしそうにはないけど、気をつけるのは大事だもんね。
『真守。これをつけていなさい』
『これは?』
『真守を守ってくれる大事なものだ。ほら、アロンとお揃いだよ』
そう言って、明さんは綺麗なブレスレットを僕の腕につけてくれた。
『わぁー、本当に綺麗っ』
『決して外してはいけないよ』
『はーい。お守りは外しません』
『そうだ、偉いぞ』
キラキラと煌めくブレスレットを見ていると、なんだかすごく安心した。
どうしてこんなことになったんだろう。
僕はただ初めてのパーティーに参加しただけだったのに。
なぜか、ラミロ王子とセオドアさまとデートをすることになってしまった。
頷きはしたものの、戸惑いを隠せずにいた僕を心配してセオドアさまが明さんとアロンを呼んでくれた。
すぐに来てくれた明さんとアロンは、僕の表情を見て疲れているようだからと無礼を詫びつつ、すぐに家に連れ帰ってくれた。
帰りの車の中では何も聞かれなくてホッとした。
まだ自分でも気持ちが落ち着いていなかったから。
どうしたらいいのかなんて何も思いつかない。
だけど少しずつ冷静になってきて、家に着いたら明さんたちに相談してみようと思っていると、明さんの方から話をしようと声をかけてくれた。
『マモル、大丈夫だからね』
アロンが優しく寄り添って、僕の手を握ってくれる。
その瞬間、セオドアさまに手を握られたあの気持ちが甦ってきた。
そういえば、セオドアさまの手……アロンのように安心したな。
伸吾によく触れられていたから、誰かに触れられるのは苦手だったはずなのに。
『それで一体何があったんだ? セオドアさまとテラスでお話をしていたのではなかったのか?』
『それが、セオドアさまのご友人だというラミロ王子が来られて――」
そう言って、僕はセオドアさまから告白をされたこと、そしてラミロ王子からも一目惚れしたと言われたこと、どちらかを選ぶためにデートをしてお互いによく知ることを提案されたと話した。
『そうか、そんなことになっていたのか……』
『僕、もうどうしていいのかわからなくて……』
『でも、どちらも断る選択肢はなかったのだろう?』
『断るなんて……そんなことできるほど、セオドアさまのこともラミロ王子のことも知らないから……何も知らないのに断るのは失礼かなって……っ、そもそも18になったばかりの僕なんかが選ぶなんて烏滸がましいと思っているのに』
『真守、それは違うよ』
『えっ?』
『真守が自分なんかと卑下する必要は全くない。人を好きになるのに性別が関係ないように身分だって、年齢だって関係ないだろう? そんなことを気にするなら、セオドアさまとラミロ王子はそもそも真守を好きになったりはしない。お二人は真守を見て惹かれてくださったのだろうからな』
僕を見て……惹かれた。
確かにセオドアさまもそう言ってくれた。
会う前からずっと頭の中で考えてくれていたとも言ってくれた。
僕が自分なんかと卑下したら、セオドアさまのその気持ちを傷つけてしまうのだろうか。
『僕も初めてアキラに会った時、同じように言われたんだよ』
『えっ? アロンも?』
『ふふっ。懐かしいな、アロン。覚えていてくれたのか?』
『もちろん、忘れるわけないよ。僕がアキラに出会ったのも今のマモルと同じくらいの年だったかな。アキラのお店で人手を募集していると聞いて面接に行ったんだ。アキラは僕の顔を見てすぐに一目惚れしたって言ってくれたんだ』
『そうだったんだ』
今まで何度か聞いてみたけど、恥ずかしがって教えてくれなかったんだよね。
きっと二人だけの思い出にしておきたかったのかな。
でもきっと僕を安心させるために今日は話してくれたんだ。
本当にアロンは優しい。
『格好よくて年上のアキラが本気でそんなこと言ってくれるなんて信じられなくて、僕もマモルと同じように即答はできなかったよ。だって、初対面だし、アキラよりも随分こどもだったし。だから、セオドアさまたちと同じように僕も何度かデートしたんだ。だからね、デート自体は悪いことじゃないと思うよ。一緒の時間を過ごすことで見えなかった部分も見えてくるし』
『うん、それはそうだね』
『でもね、十分気をつけてね。意にそぐわないことをされたら、大声を出すの。いい?』
『う、うん。大丈夫』
セオドアさまもラミロ王子もそんな酷いことをしそうにはないけど、気をつけるのは大事だもんね。
『真守。これをつけていなさい』
『これは?』
『真守を守ってくれる大事なものだ。ほら、アロンとお揃いだよ』
そう言って、明さんは綺麗なブレスレットを僕の腕につけてくれた。
『わぁー、本当に綺麗っ』
『決して外してはいけないよ』
『はーい。お守りは外しません』
『そうだ、偉いぞ』
キラキラと煌めくブレスレットを見ていると、なんだかすごく安心した。
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