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番外編
可愛い息子とご対面
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意外と母視点を気に入っていただけたようなので、調子に乗って初顔合わせまで書いてしまいました。
楽しんでいただけると嬉しいです♡
* * *
<side誉の母>
「あ、あの……誉さんとお付き合いさせていただいています、宇佐美敦己と申します。今日はお時間をいただきありがとうございます」
目の前でほんのり頬を染めながら、にこりと優しい微笑みを浮かべる彼の姿に、思わず胸がキュンと高鳴ってしまった。
誉から紹介したい人がいると告げられた週末、早速私たちは行きつけの店で食事会を催すことにした。
ここは健さんが結婚前から行きつけにしている一見さんお断りの完全予約制のお店。
各部屋のプライバシーがしっかりと保てる安心安全のお店だ。
先に部屋に入った私たちはドキドキして待っていたけれど、誉と共に彼が入ってきた瞬間、緊張はあっという間に吹き飛んでしまった。
――っ!! 可愛いっ!!
なんて可愛いのかしら!!
それに誉と一緒にいるのがなんとも自然というか、実にお似合いだわ。
彼の声も、仕草も、そして何よりも笑顔に違う意味でドキドキしてしまう。
あっ、違うの。
これは浮気じゃないわ。
ただの……そう、母性本能!
彼の笑顔は母性本能をものすごくくすぐるの。
それに誉の柔らかい表情。
彼を見る優しい目。
ああ、本当に彼が運命の相手なのだと全身で訴えている。
男だからと聞いて頭ごなしに反対なんかしなくて良かった。
やっぱり誉が選んだ相手に間違いなどなかったわ。
「敦己くん、こちらこそお会いできて嬉しいわ。これからも末長くよろしくね」
にっこりと微笑みかけるとパーっと花が咲いたように綻ぶ。
そして、隣にいる誉に向かって可愛らしい笑顔を見せる。
誉はそれを幸せそうに見つめながらも、敦己くんにはわからないようにさりげなく健さんから見えないように角度を変えた。
ふふっ。
笑顔くらい見せてくれてもいいのに。
こんな狭量さは健さんに似たのかしら。
やっぱり親子ね。
「さぁ、食事にしましょう。ここはとても美味しい和食を出してくれるのよ。敦己くん、嫌いなものはない?」
「はい。なんでも大好きです。和食をいただけるなんてとっても嬉しいです」
「敦己くんはお料理はするのかしら?」
「いいえ、お恥ずかしながら料理は苦手で……いつも、誉さんに美味しい食事を食べさせてもらっています」
「あら、そうなの」
苦手なものがあるなんて、ますます可愛いわ。
恥ずかしそうに俯く彼に
「私も料理は苦手なの。だから、料理はほとんど健さんがしてくれるの」
と教えると、
「えっ、そうなんですか?」
と頬を紅潮させながら大きな目を丸くして健さんに視線を向ける。
「ああ、そうだよ。料理なんて得意な方がやればいいんだ。私は妻が私が作ったものを美味しそうに食べてくれるだけで嬉しいんだよ。誉もきっと同じ気持ちだと思うよ。なぁ、そうだろう?」
「ああ、俺の作ったものが敦己の身体を作ると思うだけで幸せになるからな。このあたりは父さんに似たのかもしれないな」
「あっ、誉さん。近すぎです」
誉が彼の腰に手を回してグッと身体を引き寄せると、恥ずかしそうに離れようとする。
でもあの手慣れた様子を見ると、二人でいる時はいつでもピッタリと寄り添っているのがバレバレね。
「ああ、いいのよ。気にしないで。いつものように仲良くしているところを見られる方が親としては嬉しいわ」
「ほら、母さんもそう言ってる。だから気にしなくていいよ」
誉の言葉に顔を赤らめながらも、彼はピッタリと寄り添ったまま離れようとはしなかった。
その様子にご満悦の誉。
ああ、まさか誉のこんな姿を見られる日が来るなんてね。
紘にも見せてあげたいくらいだわ。
後で話してあげても信じないかもしれないわ。
前もって頼んでいた料理と一緒に、食事に合うワインが運ばれてくる。
「すごい、日本産のワインですか?」
「ああ。私の友人が作っているワインなんだが、かなりの手間暇かけて作っているから数もあまり多くは作れなくてね、幻のワインと言われているんだ。度数も低くて飲みやすいから妻のお気に入りなんだよ。敦己くんはあまりお酒が得意ではないと聞いたがきっとこれなら美味しく飲めるんじゃないかな?」
「気を遣っていただいてありがとうございます。日本産のワインなんて初めてでちょっとドキドキしますね」
彼が可愛らしい笑顔を浮かべるたびに、誉がそっと隠すのが楽しい。
「わぁっ! とっても美味しいです!!」
「でしょう? 私もお酒が苦手だけれど、これならいくらでも飲めちゃうの」
「こらこら、飲み過ぎはダメだよ」
「はぁーい」
二人っきりの時はあまり気にしないけれど、誰かと一緒の時はたとえ家族であっても飲みすぎちゃダメだって言われているの。
きっと私が昔何かをしてしまったのかもしれないけれど、健さんは教えてくれないのよね。
「敦己もあんまり飲みすぎないようにな」
「はい、大丈夫ですよ。誉さん」
ふふっ。敦己くんも私と同じように言いつけを聞いているみたい。
それなら、こっちにお誘いしなくちゃ!
「ねぇ、敦己くんは甘いものは好き?」
「はい。大好きです! スイーツ巡りとかずっとしたかったんですけど、一人で女性だらけのお店に入るのが恥ずかしくて我慢してたんです。最近は誉さんが付き合ってくれるので、ずっと行ってみたかったお店とかも行けるようになったんですよ」
目を輝かせてスイーツの話をする姿が可愛いわんこみたい。
「ここのお店はお食事も美味しいけど、デザートも絶品なのよ。後でいっぱい頼みましょうね」
「はい! すっごく楽しみです」
ああ。彼となら、私がずっと温めてきた夢が叶いそう。
「敦己くん、今度イリゼホテルでメロンビュッフェが始まるの。良かったら一緒に行きましょう!」
「ええっ! イリゼホテルのメロンビュッフェですか!! 僕一度行ってみたいと思ってたんです!! ぜひご一緒させてください!!!」
「ふふっ。良かった。誉、聞いていた? 今度敦己くんを借りるわね」
「敦己が行きたがっているからもちろん行かせるけど、母さんと二人では行かせないよ」
「大丈夫だよ、誉。私も一緒についていくから」
本当は敦己くんと二人でスイーツデートしたかったけれど、誉だけじゃなくて、健さんも言い出したら仕方ないわ。
「じゃあ、四人で行きましょう。誉、日程は健さんと調整してね」
「ああ、わかったよ」
食事を楽しみながら、甲斐甲斐しく彼のお世話をする誉を見るのも楽しいし、誉のお世話を嬉しそうに受けている彼を見るのもとても楽しい。
やっぱりこれが誉の自然な姿なのね。
今まで見られなかったのは彼をずっと待っていたのかもしれないわ。
「こんなに楽しい夜になるなら、紘も呼べばよかったわね」
「ゴホッ、ゴホッ!」
「あら、どうしたの?」
紘の名前を出した途端、彼がむせ始めて誉が背中を優しく撫でている。
「私、何かいけないことを言ってしまったかしら?」
「いや、違うんだ。実は、敦己は……その、紘と同じ会社で同期なんだよ」
「えっ? そうなの? 誉、あなたそんなこと一言も話してなかったじゃない」
「悪い、話すタイミングなくて……」
「じゃあ、紘に紹介されてお付き合いを始めたの?」
「うーん、そういうことになるのかな」
なんとも歯切れの悪い答えが気になっていると、
「いいですよ。誉さん。僕、ご両親にはちゃんと知っていてもらいたいんです」
と彼が誉に微笑みかける。
「無理しなくていいんだぞ」
「いいえ、無理なんかしてません」
心配そうな誉をよそに、彼は私たちの方を向いて
「実は……」
と切り出した。
「――ということがあって、上田が……いえ、紘さんが誉さんを紹介してくれたんです」
「まぁ……そんな酷いことが……辛かったでしょう」
こんなに可愛い子を酷い目に遭わせるなんて信じられないわ。
「確かにその時は傷付きましたけど、そのおかげで誉さんと知り合えて、今人生で最高に幸せだからいいんです」
「敦己……」
誉は彼の言葉を聞いて嬉しそうに抱きしめる。
私の可愛い息子に酷い目に遭わせたその女は許せないけれど、幸せそうな二人を見ていると変なのに引っ掛からなくて良かったと思う。
「そうね。二人が幸せなら良かったわ。じゃあ、知り合いなら尚更今度は紘も一緒に食事をしましょう」
「は、はい。ちょっと恥ずかしい気もしますけど、もう家族ですもんね」
「ふふっ。家族。いい響きだわ」
彼が正式に家族として加わったのを確信して、一緒にスイーツを堪能する。
「これ、本当に美味しいです!」
「ふふっ。良かったわ。こっちも食べてみて」
「うわぁ、こっちも美味しい」
一口ごとにキラキラと目を輝かせる彼と楽しい時間を過ごした。
こんな可愛いお嫁さん、どこを探しても見つからないわ。
本当に誉はとてもいい子を連れてきてくれたわね。
ああ、次のスイーツデートが今から楽しみでたまらないわ。
楽しんでいただけると嬉しいです♡
* * *
<side誉の母>
「あ、あの……誉さんとお付き合いさせていただいています、宇佐美敦己と申します。今日はお時間をいただきありがとうございます」
目の前でほんのり頬を染めながら、にこりと優しい微笑みを浮かべる彼の姿に、思わず胸がキュンと高鳴ってしまった。
誉から紹介したい人がいると告げられた週末、早速私たちは行きつけの店で食事会を催すことにした。
ここは健さんが結婚前から行きつけにしている一見さんお断りの完全予約制のお店。
各部屋のプライバシーがしっかりと保てる安心安全のお店だ。
先に部屋に入った私たちはドキドキして待っていたけれど、誉と共に彼が入ってきた瞬間、緊張はあっという間に吹き飛んでしまった。
――っ!! 可愛いっ!!
なんて可愛いのかしら!!
それに誉と一緒にいるのがなんとも自然というか、実にお似合いだわ。
彼の声も、仕草も、そして何よりも笑顔に違う意味でドキドキしてしまう。
あっ、違うの。
これは浮気じゃないわ。
ただの……そう、母性本能!
彼の笑顔は母性本能をものすごくくすぐるの。
それに誉の柔らかい表情。
彼を見る優しい目。
ああ、本当に彼が運命の相手なのだと全身で訴えている。
男だからと聞いて頭ごなしに反対なんかしなくて良かった。
やっぱり誉が選んだ相手に間違いなどなかったわ。
「敦己くん、こちらこそお会いできて嬉しいわ。これからも末長くよろしくね」
にっこりと微笑みかけるとパーっと花が咲いたように綻ぶ。
そして、隣にいる誉に向かって可愛らしい笑顔を見せる。
誉はそれを幸せそうに見つめながらも、敦己くんにはわからないようにさりげなく健さんから見えないように角度を変えた。
ふふっ。
笑顔くらい見せてくれてもいいのに。
こんな狭量さは健さんに似たのかしら。
やっぱり親子ね。
「さぁ、食事にしましょう。ここはとても美味しい和食を出してくれるのよ。敦己くん、嫌いなものはない?」
「はい。なんでも大好きです。和食をいただけるなんてとっても嬉しいです」
「敦己くんはお料理はするのかしら?」
「いいえ、お恥ずかしながら料理は苦手で……いつも、誉さんに美味しい食事を食べさせてもらっています」
「あら、そうなの」
苦手なものがあるなんて、ますます可愛いわ。
恥ずかしそうに俯く彼に
「私も料理は苦手なの。だから、料理はほとんど健さんがしてくれるの」
と教えると、
「えっ、そうなんですか?」
と頬を紅潮させながら大きな目を丸くして健さんに視線を向ける。
「ああ、そうだよ。料理なんて得意な方がやればいいんだ。私は妻が私が作ったものを美味しそうに食べてくれるだけで嬉しいんだよ。誉もきっと同じ気持ちだと思うよ。なぁ、そうだろう?」
「ああ、俺の作ったものが敦己の身体を作ると思うだけで幸せになるからな。このあたりは父さんに似たのかもしれないな」
「あっ、誉さん。近すぎです」
誉が彼の腰に手を回してグッと身体を引き寄せると、恥ずかしそうに離れようとする。
でもあの手慣れた様子を見ると、二人でいる時はいつでもピッタリと寄り添っているのがバレバレね。
「ああ、いいのよ。気にしないで。いつものように仲良くしているところを見られる方が親としては嬉しいわ」
「ほら、母さんもそう言ってる。だから気にしなくていいよ」
誉の言葉に顔を赤らめながらも、彼はピッタリと寄り添ったまま離れようとはしなかった。
その様子にご満悦の誉。
ああ、まさか誉のこんな姿を見られる日が来るなんてね。
紘にも見せてあげたいくらいだわ。
後で話してあげても信じないかもしれないわ。
前もって頼んでいた料理と一緒に、食事に合うワインが運ばれてくる。
「すごい、日本産のワインですか?」
「ああ。私の友人が作っているワインなんだが、かなりの手間暇かけて作っているから数もあまり多くは作れなくてね、幻のワインと言われているんだ。度数も低くて飲みやすいから妻のお気に入りなんだよ。敦己くんはあまりお酒が得意ではないと聞いたがきっとこれなら美味しく飲めるんじゃないかな?」
「気を遣っていただいてありがとうございます。日本産のワインなんて初めてでちょっとドキドキしますね」
彼が可愛らしい笑顔を浮かべるたびに、誉がそっと隠すのが楽しい。
「わぁっ! とっても美味しいです!!」
「でしょう? 私もお酒が苦手だけれど、これならいくらでも飲めちゃうの」
「こらこら、飲み過ぎはダメだよ」
「はぁーい」
二人っきりの時はあまり気にしないけれど、誰かと一緒の時はたとえ家族であっても飲みすぎちゃダメだって言われているの。
きっと私が昔何かをしてしまったのかもしれないけれど、健さんは教えてくれないのよね。
「敦己もあんまり飲みすぎないようにな」
「はい、大丈夫ですよ。誉さん」
ふふっ。敦己くんも私と同じように言いつけを聞いているみたい。
それなら、こっちにお誘いしなくちゃ!
「ねぇ、敦己くんは甘いものは好き?」
「はい。大好きです! スイーツ巡りとかずっとしたかったんですけど、一人で女性だらけのお店に入るのが恥ずかしくて我慢してたんです。最近は誉さんが付き合ってくれるので、ずっと行ってみたかったお店とかも行けるようになったんですよ」
目を輝かせてスイーツの話をする姿が可愛いわんこみたい。
「ここのお店はお食事も美味しいけど、デザートも絶品なのよ。後でいっぱい頼みましょうね」
「はい! すっごく楽しみです」
ああ。彼となら、私がずっと温めてきた夢が叶いそう。
「敦己くん、今度イリゼホテルでメロンビュッフェが始まるの。良かったら一緒に行きましょう!」
「ええっ! イリゼホテルのメロンビュッフェですか!! 僕一度行ってみたいと思ってたんです!! ぜひご一緒させてください!!!」
「ふふっ。良かった。誉、聞いていた? 今度敦己くんを借りるわね」
「敦己が行きたがっているからもちろん行かせるけど、母さんと二人では行かせないよ」
「大丈夫だよ、誉。私も一緒についていくから」
本当は敦己くんと二人でスイーツデートしたかったけれど、誉だけじゃなくて、健さんも言い出したら仕方ないわ。
「じゃあ、四人で行きましょう。誉、日程は健さんと調整してね」
「ああ、わかったよ」
食事を楽しみながら、甲斐甲斐しく彼のお世話をする誉を見るのも楽しいし、誉のお世話を嬉しそうに受けている彼を見るのもとても楽しい。
やっぱりこれが誉の自然な姿なのね。
今まで見られなかったのは彼をずっと待っていたのかもしれないわ。
「こんなに楽しい夜になるなら、紘も呼べばよかったわね」
「ゴホッ、ゴホッ!」
「あら、どうしたの?」
紘の名前を出した途端、彼がむせ始めて誉が背中を優しく撫でている。
「私、何かいけないことを言ってしまったかしら?」
「いや、違うんだ。実は、敦己は……その、紘と同じ会社で同期なんだよ」
「えっ? そうなの? 誉、あなたそんなこと一言も話してなかったじゃない」
「悪い、話すタイミングなくて……」
「じゃあ、紘に紹介されてお付き合いを始めたの?」
「うーん、そういうことになるのかな」
なんとも歯切れの悪い答えが気になっていると、
「いいですよ。誉さん。僕、ご両親にはちゃんと知っていてもらいたいんです」
と彼が誉に微笑みかける。
「無理しなくていいんだぞ」
「いいえ、無理なんかしてません」
心配そうな誉をよそに、彼は私たちの方を向いて
「実は……」
と切り出した。
「――ということがあって、上田が……いえ、紘さんが誉さんを紹介してくれたんです」
「まぁ……そんな酷いことが……辛かったでしょう」
こんなに可愛い子を酷い目に遭わせるなんて信じられないわ。
「確かにその時は傷付きましたけど、そのおかげで誉さんと知り合えて、今人生で最高に幸せだからいいんです」
「敦己……」
誉は彼の言葉を聞いて嬉しそうに抱きしめる。
私の可愛い息子に酷い目に遭わせたその女は許せないけれど、幸せそうな二人を見ていると変なのに引っ掛からなくて良かったと思う。
「そうね。二人が幸せなら良かったわ。じゃあ、知り合いなら尚更今度は紘も一緒に食事をしましょう」
「は、はい。ちょっと恥ずかしい気もしますけど、もう家族ですもんね」
「ふふっ。家族。いい響きだわ」
彼が正式に家族として加わったのを確信して、一緒にスイーツを堪能する。
「これ、本当に美味しいです!」
「ふふっ。良かったわ。こっちも食べてみて」
「うわぁ、こっちも美味しい」
一口ごとにキラキラと目を輝かせる彼と楽しい時間を過ごした。
こんな可愛いお嫁さん、どこを探しても見つからないわ。
本当に誉はとてもいい子を連れてきてくれたわね。
ああ、次のスイーツデートが今から楽しみでたまらないわ。
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