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番外編
可愛い息子ができました
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思いつきで書いてしまった誉の母視点のお話。
続きは需要があれば書いてみます。
楽しんでいただけると嬉しいです♡
* * *
<side誉の母>
お盆やお正月に帰省してくれる以外は普段特に連絡を寄越さない息子たち。
小学生までは勉強よりも遊びに夢中で将来はどんな人生を歩むのかと心配した長男の誉は、中学生の時にお仕事体験で講話をしてくれた弁護士さんの話に感銘を受け、自分も弁護士になると言い出した。
夢は大きい方がいいと静観していたけれど、誰からも何も言われなくても黙々とひたすらに勉強を打ち込んで桜城大学に合格し、司法試験もあっという間に合格してしまった。
今では優秀な弁護士として自分の事務所も持って忙しいながらも充実した毎日を過ごしているみたい。
次男の紘は学生時代はバスケットボールに打ち込んで将来はNBAでプレーするのが夢だと言っていた.
けれど大学進学を前に足に致命的な怪我してバスケの道を諦めた。
夢が潰えたことで自暴自棄になるかもしれない。
そんな不安があった。
だから親として、それから先どんな人生を選んでも応援していこうと思っていたけれど、紘は第二の人生を始めたように勉強に打ち込み、誉と同じ最高峰の国立大学に合格して、大手企業に就職した。
だから、私も健さんも二人が選んだ道を決して反対することはやめよう。
いつでも味方になろうと心に決めていた。
そんな息子たち二人は親の私が言うのもなんだけど、顔は健さんに似てものすごく整っている。
イケメン兄弟だと近所でも評判だったし、バレンタインや二人の誕生日にはたくさんの女の子たちが家にまできて贈り物を渡しにきていた。
けれど、当の二人はあまり自分がモテていることに興味がないようで私の知る限り、彼女はいないように見えた。
まぁ、親が知らないだけで交際歴はあるんだろうけれど。
大学を卒業するとすぐに二人とも一人暮らしを始めたから、息子たちに恋人ができたかどうかはわからないまま。
いつか、紹介したい人ができたと報告を受けるんだろうかとドキドキしているけれど、息子たちはアラサーになった今もそんな報告は一度もない。
「このまま結婚しないつもりなのかしら?」
「まぁ、誉も紘も自分で考えているだろう。何も結婚は絶対にしなければいけないと言うものでもないし、今は二人とも仕事が楽しそうだからな」
「そうね……そうなんだけど……」
「何かあるのか?」
「ずっと夢だったの。うちには女の子がいないから、二人が連れてきてくれたお嫁さんと仲良くお出かけしたり、スイーツを食べに行ったりしたいなって。健さんも可愛いお嫁さんが来てくれたら嬉しいでしょう?」
「ははっ。まぁ賑やかになるだろうが、可愛い妻がいるから十分だよ」
そう言って、私にキスをしてくる。
いつもそれに流されて話も終わってしまうけれど、それも幸せなんだろうと思っている。
私たちが結婚しなさいと言ったせいで、無理やり結婚して離婚なんてことになったら目も当てられないし、やっぱりこういうのはタイミングもあるものね。
結婚していなくても恋人と楽しく過ごしているのかもしれないし、仕事が充実しているならいいか。
そういうふうに思えるようになったある日、誉から電話があった。
父の日でも母の日でも誕生日でもない普通の日に電話が来るなんて珍しいなと思いながら電話をとった。
ーもしもし。
ーあっ、母さん。誉だけど……。
ーええ。珍しいわね。どうしたの? 何かあった?
ーいや、この前までL.Aに出張に行ってたんだけど、お土産を買ったから持って行きたいと思って。
ーあら、ますます珍しいわね。誉がわざわざうちにお土産を買ってきてくれるなんて。アメリカに行くなんてよくあることでしょう?
ーははっ。やっぱり母さんにはわかるか。
ーやっぱりね。それで本当の目的はなんなの?
ー実は、さ……。父さんと母さんに紹介したい人ができて、実家に連れていこうと思ってるんだけど。
ー……………………。
ー母さん? 聞いてる?
ーえ、ええ。き、聞いてるけど……えっ? 紹介したい人、って、えっ? 誉、結婚するの?
ー結婚というか、ずっと一緒に暮らして行きたいと思っているよ。
ーだから結婚するんでしょう? プロポーズはしたの? オッケーをもらえたの?
ーもちろんプロポーズもして、一生そばにいてくれるって約束ももらったよ。だけど、結婚はできないんだ。
ーどういう意味?
ーふぅ……。驚かないで聞いて欲しいんだけど……。
そんな前置きに心臓がドキリとするのがわかった。
もしかして、相手が既婚者とか?
まさかまだ未成年なんてことはないわよね?
弁護士なのにそんな犯罪なんて……。
誉に限ってそんなこと……。
いくら、息子たちの決断はいつでも味方してあげようと思っていても、犯罪には加担できないわ。
ゴクリと喉がなる。
どうしよう、健さんと相談も……。
そんなことが頭をよぎっていた私の耳に飛び込んできたのは……
ー実は……俺が一生を共に暮らしたいと思っている相手は、男なんだ。だから結婚はできない。
ーえっ……お、とこ……?
ーああ、母さんたちには許してもらえないかもしれないけど、敦己が、いや、俺の恋人が、どうしても両親に挨拶をしたいっていうから、紹介だけしたいと思って連絡したんだ。
ー誉の、恋人が……男の、人……。
ーごめん、母さん。驚かせたよな。でも、俺は敦己以外と一生を過ごす気にはなれないんだ。だから、反対されても構わない。ただ敦己を不安にさせたくないから、反対されるなら、もう親子の縁は切るつもりだ。それだけはわかっていてほしい。
ああ、この子は本気なんだわ。
私たちが何を言っても考えを変えることも恋人と別れることもしないわね。
ここで反対して親子の縁を切られるより、多少わだかまりが残ってもずっと親子でいられた方がいい。
それに誉が選んだ相手だもの。
絶対にいい子に決まってる。
それを男だからという理由だけで会わないなんてことしてはいけないわね。
ー確かに驚いたわ。まさか、あなたが男の人を恋人に選ぶなんて思ってなかったから。でも、今の話を聞いただけで反対するつもりはないわ。
ー母さん……。
ー敦己さんと言ったかしら? お会いできるのを楽しみにしているわ。私たちはいつでも合わせられるわ。
ーありがとう。日程が決まったら連絡するよ。
ーええ。それじゃあね。
正直騙されてるんじゃ……なんて思ってしまうけれど、あの誉が騙されるわけがない。
当日は色眼鏡で見たりせずに、ちゃんと彼・敦己さんの内面を見ましょう。
息子が初めて恋人を紹介してくれるのだから。
当日、敦己さん……いや、敦己くんと出会った瞬間に、可愛いお嫁さんが欲しいと願った私の長年の夢が叶ったと大喜びしたのはまた別のお話。
続きは需要があれば書いてみます。
楽しんでいただけると嬉しいです♡
* * *
<side誉の母>
お盆やお正月に帰省してくれる以外は普段特に連絡を寄越さない息子たち。
小学生までは勉強よりも遊びに夢中で将来はどんな人生を歩むのかと心配した長男の誉は、中学生の時にお仕事体験で講話をしてくれた弁護士さんの話に感銘を受け、自分も弁護士になると言い出した。
夢は大きい方がいいと静観していたけれど、誰からも何も言われなくても黙々とひたすらに勉強を打ち込んで桜城大学に合格し、司法試験もあっという間に合格してしまった。
今では優秀な弁護士として自分の事務所も持って忙しいながらも充実した毎日を過ごしているみたい。
次男の紘は学生時代はバスケットボールに打ち込んで将来はNBAでプレーするのが夢だと言っていた.
けれど大学進学を前に足に致命的な怪我してバスケの道を諦めた。
夢が潰えたことで自暴自棄になるかもしれない。
そんな不安があった。
だから親として、それから先どんな人生を選んでも応援していこうと思っていたけれど、紘は第二の人生を始めたように勉強に打ち込み、誉と同じ最高峰の国立大学に合格して、大手企業に就職した。
だから、私も健さんも二人が選んだ道を決して反対することはやめよう。
いつでも味方になろうと心に決めていた。
そんな息子たち二人は親の私が言うのもなんだけど、顔は健さんに似てものすごく整っている。
イケメン兄弟だと近所でも評判だったし、バレンタインや二人の誕生日にはたくさんの女の子たちが家にまできて贈り物を渡しにきていた。
けれど、当の二人はあまり自分がモテていることに興味がないようで私の知る限り、彼女はいないように見えた。
まぁ、親が知らないだけで交際歴はあるんだろうけれど。
大学を卒業するとすぐに二人とも一人暮らしを始めたから、息子たちに恋人ができたかどうかはわからないまま。
いつか、紹介したい人ができたと報告を受けるんだろうかとドキドキしているけれど、息子たちはアラサーになった今もそんな報告は一度もない。
「このまま結婚しないつもりなのかしら?」
「まぁ、誉も紘も自分で考えているだろう。何も結婚は絶対にしなければいけないと言うものでもないし、今は二人とも仕事が楽しそうだからな」
「そうね……そうなんだけど……」
「何かあるのか?」
「ずっと夢だったの。うちには女の子がいないから、二人が連れてきてくれたお嫁さんと仲良くお出かけしたり、スイーツを食べに行ったりしたいなって。健さんも可愛いお嫁さんが来てくれたら嬉しいでしょう?」
「ははっ。まぁ賑やかになるだろうが、可愛い妻がいるから十分だよ」
そう言って、私にキスをしてくる。
いつもそれに流されて話も終わってしまうけれど、それも幸せなんだろうと思っている。
私たちが結婚しなさいと言ったせいで、無理やり結婚して離婚なんてことになったら目も当てられないし、やっぱりこういうのはタイミングもあるものね。
結婚していなくても恋人と楽しく過ごしているのかもしれないし、仕事が充実しているならいいか。
そういうふうに思えるようになったある日、誉から電話があった。
父の日でも母の日でも誕生日でもない普通の日に電話が来るなんて珍しいなと思いながら電話をとった。
ーもしもし。
ーあっ、母さん。誉だけど……。
ーええ。珍しいわね。どうしたの? 何かあった?
ーいや、この前までL.Aに出張に行ってたんだけど、お土産を買ったから持って行きたいと思って。
ーあら、ますます珍しいわね。誉がわざわざうちにお土産を買ってきてくれるなんて。アメリカに行くなんてよくあることでしょう?
ーははっ。やっぱり母さんにはわかるか。
ーやっぱりね。それで本当の目的はなんなの?
ー実は、さ……。父さんと母さんに紹介したい人ができて、実家に連れていこうと思ってるんだけど。
ー……………………。
ー母さん? 聞いてる?
ーえ、ええ。き、聞いてるけど……えっ? 紹介したい人、って、えっ? 誉、結婚するの?
ー結婚というか、ずっと一緒に暮らして行きたいと思っているよ。
ーだから結婚するんでしょう? プロポーズはしたの? オッケーをもらえたの?
ーもちろんプロポーズもして、一生そばにいてくれるって約束ももらったよ。だけど、結婚はできないんだ。
ーどういう意味?
ーふぅ……。驚かないで聞いて欲しいんだけど……。
そんな前置きに心臓がドキリとするのがわかった。
もしかして、相手が既婚者とか?
まさかまだ未成年なんてことはないわよね?
弁護士なのにそんな犯罪なんて……。
誉に限ってそんなこと……。
いくら、息子たちの決断はいつでも味方してあげようと思っていても、犯罪には加担できないわ。
ゴクリと喉がなる。
どうしよう、健さんと相談も……。
そんなことが頭をよぎっていた私の耳に飛び込んできたのは……
ー実は……俺が一生を共に暮らしたいと思っている相手は、男なんだ。だから結婚はできない。
ーえっ……お、とこ……?
ーああ、母さんたちには許してもらえないかもしれないけど、敦己が、いや、俺の恋人が、どうしても両親に挨拶をしたいっていうから、紹介だけしたいと思って連絡したんだ。
ー誉の、恋人が……男の、人……。
ーごめん、母さん。驚かせたよな。でも、俺は敦己以外と一生を過ごす気にはなれないんだ。だから、反対されても構わない。ただ敦己を不安にさせたくないから、反対されるなら、もう親子の縁は切るつもりだ。それだけはわかっていてほしい。
ああ、この子は本気なんだわ。
私たちが何を言っても考えを変えることも恋人と別れることもしないわね。
ここで反対して親子の縁を切られるより、多少わだかまりが残ってもずっと親子でいられた方がいい。
それに誉が選んだ相手だもの。
絶対にいい子に決まってる。
それを男だからという理由だけで会わないなんてことしてはいけないわね。
ー確かに驚いたわ。まさか、あなたが男の人を恋人に選ぶなんて思ってなかったから。でも、今の話を聞いただけで反対するつもりはないわ。
ー母さん……。
ー敦己さんと言ったかしら? お会いできるのを楽しみにしているわ。私たちはいつでも合わせられるわ。
ーありがとう。日程が決まったら連絡するよ。
ーええ。それじゃあね。
正直騙されてるんじゃ……なんて思ってしまうけれど、あの誉が騙されるわけがない。
当日は色眼鏡で見たりせずに、ちゃんと彼・敦己さんの内面を見ましょう。
息子が初めて恋人を紹介してくれるのだから。
当日、敦己さん……いや、敦己くんと出会った瞬間に、可愛いお嫁さんが欲しいと願った私の長年の夢が叶ったと大喜びしたのはまた別のお話。
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