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第三章
完全な大人になる前触れ
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<sideアズール>
「ルー、これ……アズールが作ったんだよ! 食べて」
「おお、美味しそうだな。アズール、食べさせてくれ」
本当は大きな骨付きのお肉で作る料理だけど、僕には重たくて難しいから少しだけ分厚いお肉を焼いて、フランツの特製ソースに漬け込む。
これならナイフで切ってルーにあーんしてあげられるんだ。
「ルー、あーん」
ルーが大きな口を開けて長い舌を出してくるから、それの上に乗せてあげられるように僕は指で摘んで食べさせてあげる。
本当は指で摘むなんて行儀が悪いけれど、ルーが僕の手で摘んだ方が食べやすいから、二人の時はこの食べさせ方がいいというので、そうやって食べさせるのが僕たちの食事のルールだ。
それを美味しそうに食べてくれるんだけど、ルーはいつも僕の手も一緒に食べてしまうんだ。
きっと指についたソースをとってくれているんだろう。
ルーってば、優しいんだよね。
「どう? 美味しい?」
「ああ、最高だな。肉も最高だが、何よりアズールが食べさせてくれるのが嬉しい」
「ふふっ。よかった。ねぇ、アズールもちょこっとだけお肉食べてみようかな」
「そうか? アズール、無理はしなくていいんだぞ」
「うん。大丈夫。無理なんかしてないよ。焼いている時から少し美味しそうだなって思ったんだ。不思議だよね? やっぱり自分が作ると美味しそうに見えるのかな?」
「んっ? あ、ああ。そうかもしれないな」
ルーの歯切れの悪そうな声が何となく気になって
「どうかした?」
と尋ねてみた。
「あ、いや。アズール、他に何かいつもと違うと感じたことはないか?」
「えっ? いつもと違うとこ? うーん、どうかな。変わらない気がするけど……ヴェルー、僕……何かいつもと違うところあった?」
自分ではわからなくても、僕とずっと一緒に過ごしているヴェルなら気づいていることもあるのかもしれないと思って声をかけると、ヴェルは答えるよりも先にルーに視線を向けた。
「ヴェルナー、話すのを許す。アズールのことで何か気づいたことがあるなら教えてくれ」
ルーがそういうと、ヴェルは頭を下げてから口を開いた。
「ここ数日、お水をよくお飲みになっておられます。今までの倍は飲まれているかという印象を受けました」
「そうか……」
ヴェルの言葉に確かにそういえば飲んでるかもと思い出した。
でも喉は乾くものだし、特に気にしてはいなかったな。
だけど、ルーは少し考え込んだ表情で僕をみた。
「どうかした?」
「アズール、よく聞いてくれ。今まで特に食べたいと思わなかったものが食べたいと感じたり、喉が乾くようになったのは、アズールの身体が完全な大人になろうとしている前触れだ」
「完全な、大人になる、前触れ? どういうこと?」
「アズールはもうすぐ18になるだろう?」
「うん。そうしたらルーと結婚できるんだよね? アズール、それが楽しみでたまらないんだ」
「――っ、そ、そうか。それは嬉しいな。それはそうと、身体と年齢は必ずしも同じタイミングで大人になるとは限らない。ほら、アズール。蜜が出た日のことを覚えているか?」
「うん。白い蜜が出たから、アズールは大人になったんだよね」
「そうだ。だが、年齢としては大人になっていなかっただろう? それに、それからもアズールの身長は伸びているし、体重だって増えただろう? 大人になったから全ての成長が止まるわけじゃない。ここまではわかるか?」
確かにそれはそうだ。
僕が頷くとルーは優しい笑顔を浮かべながら、
「アズールがいつか私の子どもを産んでくれると言ってくれたことを覚えているか?」
と尋ねた。
「ふふっ。忘れるわけないよ。お父さまやお母さま、それにお兄さまの前で話したのもちゃんと覚えてる」
「そうか、それはよかった。アズールが言ってくれたいつか私の子どもを産んでくれるような身体に変化したその時が、完全な大人になった時なんだよ」
「じゃあ……アズールは、ルーの子どもが産めるように今から変化するってこと? 今のままじゃ産めないの?」
「ああ、そうだ」
「でも、どうなったら完全な大人になったってわかるの?」
「――っ、それはだな……何といえばいいか……アズールが私を欲しいと思ってくれたら大人なのだが……」
「ルーを欲しい? それならもう大丈夫だよ」
「えっ? アズールは私を欲しくないのか?」
「違う。ルーはもうアズールのだよね? アズールももうずっと前からルーのだよ」
「くっ――!!」
僕の言葉になぜかルーは苦しげな表情を浮かべた。
「ルー、これ……アズールが作ったんだよ! 食べて」
「おお、美味しそうだな。アズール、食べさせてくれ」
本当は大きな骨付きのお肉で作る料理だけど、僕には重たくて難しいから少しだけ分厚いお肉を焼いて、フランツの特製ソースに漬け込む。
これならナイフで切ってルーにあーんしてあげられるんだ。
「ルー、あーん」
ルーが大きな口を開けて長い舌を出してくるから、それの上に乗せてあげられるように僕は指で摘んで食べさせてあげる。
本当は指で摘むなんて行儀が悪いけれど、ルーが僕の手で摘んだ方が食べやすいから、二人の時はこの食べさせ方がいいというので、そうやって食べさせるのが僕たちの食事のルールだ。
それを美味しそうに食べてくれるんだけど、ルーはいつも僕の手も一緒に食べてしまうんだ。
きっと指についたソースをとってくれているんだろう。
ルーってば、優しいんだよね。
「どう? 美味しい?」
「ああ、最高だな。肉も最高だが、何よりアズールが食べさせてくれるのが嬉しい」
「ふふっ。よかった。ねぇ、アズールもちょこっとだけお肉食べてみようかな」
「そうか? アズール、無理はしなくていいんだぞ」
「うん。大丈夫。無理なんかしてないよ。焼いている時から少し美味しそうだなって思ったんだ。不思議だよね? やっぱり自分が作ると美味しそうに見えるのかな?」
「んっ? あ、ああ。そうかもしれないな」
ルーの歯切れの悪そうな声が何となく気になって
「どうかした?」
と尋ねてみた。
「あ、いや。アズール、他に何かいつもと違うと感じたことはないか?」
「えっ? いつもと違うとこ? うーん、どうかな。変わらない気がするけど……ヴェルー、僕……何かいつもと違うところあった?」
自分ではわからなくても、僕とずっと一緒に過ごしているヴェルなら気づいていることもあるのかもしれないと思って声をかけると、ヴェルは答えるよりも先にルーに視線を向けた。
「ヴェルナー、話すのを許す。アズールのことで何か気づいたことがあるなら教えてくれ」
ルーがそういうと、ヴェルは頭を下げてから口を開いた。
「ここ数日、お水をよくお飲みになっておられます。今までの倍は飲まれているかという印象を受けました」
「そうか……」
ヴェルの言葉に確かにそういえば飲んでるかもと思い出した。
でも喉は乾くものだし、特に気にしてはいなかったな。
だけど、ルーは少し考え込んだ表情で僕をみた。
「どうかした?」
「アズール、よく聞いてくれ。今まで特に食べたいと思わなかったものが食べたいと感じたり、喉が乾くようになったのは、アズールの身体が完全な大人になろうとしている前触れだ」
「完全な、大人になる、前触れ? どういうこと?」
「アズールはもうすぐ18になるだろう?」
「うん。そうしたらルーと結婚できるんだよね? アズール、それが楽しみでたまらないんだ」
「――っ、そ、そうか。それは嬉しいな。それはそうと、身体と年齢は必ずしも同じタイミングで大人になるとは限らない。ほら、アズール。蜜が出た日のことを覚えているか?」
「うん。白い蜜が出たから、アズールは大人になったんだよね」
「そうだ。だが、年齢としては大人になっていなかっただろう? それに、それからもアズールの身長は伸びているし、体重だって増えただろう? 大人になったから全ての成長が止まるわけじゃない。ここまではわかるか?」
確かにそれはそうだ。
僕が頷くとルーは優しい笑顔を浮かべながら、
「アズールがいつか私の子どもを産んでくれると言ってくれたことを覚えているか?」
と尋ねた。
「ふふっ。忘れるわけないよ。お父さまやお母さま、それにお兄さまの前で話したのもちゃんと覚えてる」
「そうか、それはよかった。アズールが言ってくれたいつか私の子どもを産んでくれるような身体に変化したその時が、完全な大人になった時なんだよ」
「じゃあ……アズールは、ルーの子どもが産めるように今から変化するってこと? 今のままじゃ産めないの?」
「ああ、そうだ」
「でも、どうなったら完全な大人になったってわかるの?」
「――っ、それはだな……何といえばいいか……アズールが私を欲しいと思ってくれたら大人なのだが……」
「ルーを欲しい? それならもう大丈夫だよ」
「えっ? アズールは私を欲しくないのか?」
「違う。ルーはもうアズールのだよね? アズールももうずっと前からルーのだよ」
「くっ――!!」
僕の言葉になぜかルーは苦しげな表情を浮かべた。
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