94 / 296
第二章
約束の盲点
しおりを挟む
<sideフィデリオ(爺)>
突然のアズールさまのご訪問に驚きしかなかった。
もちろん、アズールさまお一人でのご訪問ではない。
ルーディーさまもご一緒だ。
そのことについて驚きはなかったが、ご訪問の時間に驚いたのだ。
なんせ、もう夕刻。
こんな時間にアズールさまが外に出られることはない。
いつもなら訓練を終えられたルーディーさまがアズールさまの元へ向かわれる頃なのだ。
それなのに、私の部屋に訪問されるなど考えられない。
しかもアズールさまのこの笑顔。
きっと何か嬉しいことがあったのだろう。
ぴょんと私の元に飛び込んで来られる様子がいつにも増して軽やかだ。
そんな嬉しそうなアズールさまを抱っこしているのは私にとっても至福のひとときだが、ルーディーさまに目をやれば少し困っているようなそんな表情が見える。
なるほど。
何かお困りごとがあって私を頼ってこられたか。
この爺にまだ頼ってくれるとは……なんとも嬉しいことだ。
ルーディーさまの悩みを解消できるように私のできうる限りのことをして差し上げよう。
さて、ルーディーさまのお悩みはなんだろうか。
そんな私の耳に飛び込んできたのは、
――アズール、今日ルーのお部屋にお泊まりするの! オニギリのお礼にルーのお部屋にお泊まりできることになったの
と嬉しそうにはしゃぎながら話すアズールさまの声。
そういうことか。
なるほど。
そういう理由ならルーディーさまがお断りになれなかったのも無理はない。
あのお部屋でアズールさまがお泊まりに……。
ルーディーさまにとってはこの上ない苦行だろう。
なんせ毎日のようにアズールさまのことを思いながら欲望を吐き出されているベッドでアズールさまがお眠りになるのだ。
しかも、そのアズールさまを前に何も手出しできない。
これを苦行以外のなんと呼ぶのだろう。
だが、アズールさまをこのお城に、そしてルーディーさまのお部屋にお泊めになるにはもう一つ乗り越えなければいけない関門がある。
おそらくルーディーさまはそれにまだお気づきでない。
私はアズールさまに美味しいお菓子をお出しし、その間にこっそりとルーディーさまに声をかけた。
「ルーディーさま。ご自分のお部屋でお泊りなど大丈夫でございますか?」
私の問いかけに心配しかないとお答えになったが、やはりあのことにはお気づきでないようだ。
そう、決して避けては通れぬアズールさまのお風呂問題だ。
アズールさまのお風呂は今までずっと母上であるアリーシャさまの担当でいらした。
本来ならば、アズールさまの世話係に手伝いをさせるものなのだが、ルーディーさまがご自分と母上であるアリーシャさま以外にアズールさまの裸を見てはならないとお命じになったものだから、アリーシャさまはそれをずっと守っていらっしゃるのだ。
アリーシャさまにとってもアズールさまとのお風呂の時間は、何ものにも変え難い幸せな時間だと仰っておいでだから問題はないが、流石に今からお城に来ていただいてアズールさまの入浴をお願いするというわけにはいかない。
ならばどうするか……。
私がアリーシャさまの代わりにアズールさまの入浴のお手伝いをする……ルーディーさまがお許しになるわけがない。
ルーディーさまがアズールさまの入浴のお手伝いをなさる……アズールさまの裸をご覧になって冷静に洗えるわけがない。
アズールさまお一人で入っていただく……ルーディーさまのお部屋のみならず、すべての湯船が深いためアズールさまお一人では危険。
しかも、今までお一人で入ったことがないアズールさまには髪も身体も洗えるはずがない。
うーん、どれも解決策には到底なり得ない。
「爺、どうしたらいい?」
「私がアズールさまと一緒に入れるのでしたら、すぐに解決いたしますが……」
「爺。今は冗談を聞いている場合ではない」
無理を承知で申し上げてみたが、低い声ですぐに否定されてしまう。
やはりダメか……。
ならばもう、ルーディーさまがアズールさまをお入れになる他ない。
公爵家ご令息であるアズールさまがお風呂に入らずに寝るなんてことを了承されるわけがないのだから。
「それではもうルーディーさまがアズールさまのお手伝いをなさるほかはございません」
「――っ!!!!! そ、それは私がアズールの、その……は、裸を……みても良いということか?」
鼻をふんふんと大きく膨らませ、目を爛々と輝かせながら、そう問いかけてこられるルーディーさまを見れば、それが最適解でないことは明らかだった。
「アズールさまをお風呂にお入れするには、それしか方法がないのですから仕方のないことでございますが、アズールさまはまだ12歳。陛下とのお約束を覚えていらっしゃいますか?」
「ぐっ――! それはわかっているが……きょ、今日は緊急事態ということで許してはもらえぬか?」
陛下とルーディーさまが交わされたお約束……それは、アズールさまが成人なさるまでは決して裸を見てはならぬということ。
見てしまえば、獣人としても本能を抑えきれなくなるからというのが理由だった。
「私の一存で許可をするわけには参りませぬ。そして、決して陛下は許可をお出しにはなりません」
「ならばどうするのだ? アズールを風呂に入れるのは私かアリーシャ殿だけなのだぞ」
「ですから、陛下とのお約束をお守りになりながら、ルーディーさまがお入れなさるのです」
「だが、風呂に入れば裸を見るものだろう!」
「ふふっ。ですから見なければ良いのです。陛下とのお約束は決して裸を見てはならぬということなのですから」
そう告げると、ルーディーさまは不思議そうな目で私を見つめていた。
突然のアズールさまのご訪問に驚きしかなかった。
もちろん、アズールさまお一人でのご訪問ではない。
ルーディーさまもご一緒だ。
そのことについて驚きはなかったが、ご訪問の時間に驚いたのだ。
なんせ、もう夕刻。
こんな時間にアズールさまが外に出られることはない。
いつもなら訓練を終えられたルーディーさまがアズールさまの元へ向かわれる頃なのだ。
それなのに、私の部屋に訪問されるなど考えられない。
しかもアズールさまのこの笑顔。
きっと何か嬉しいことがあったのだろう。
ぴょんと私の元に飛び込んで来られる様子がいつにも増して軽やかだ。
そんな嬉しそうなアズールさまを抱っこしているのは私にとっても至福のひとときだが、ルーディーさまに目をやれば少し困っているようなそんな表情が見える。
なるほど。
何かお困りごとがあって私を頼ってこられたか。
この爺にまだ頼ってくれるとは……なんとも嬉しいことだ。
ルーディーさまの悩みを解消できるように私のできうる限りのことをして差し上げよう。
さて、ルーディーさまのお悩みはなんだろうか。
そんな私の耳に飛び込んできたのは、
――アズール、今日ルーのお部屋にお泊まりするの! オニギリのお礼にルーのお部屋にお泊まりできることになったの
と嬉しそうにはしゃぎながら話すアズールさまの声。
そういうことか。
なるほど。
そういう理由ならルーディーさまがお断りになれなかったのも無理はない。
あのお部屋でアズールさまがお泊まりに……。
ルーディーさまにとってはこの上ない苦行だろう。
なんせ毎日のようにアズールさまのことを思いながら欲望を吐き出されているベッドでアズールさまがお眠りになるのだ。
しかも、そのアズールさまを前に何も手出しできない。
これを苦行以外のなんと呼ぶのだろう。
だが、アズールさまをこのお城に、そしてルーディーさまのお部屋にお泊めになるにはもう一つ乗り越えなければいけない関門がある。
おそらくルーディーさまはそれにまだお気づきでない。
私はアズールさまに美味しいお菓子をお出しし、その間にこっそりとルーディーさまに声をかけた。
「ルーディーさま。ご自分のお部屋でお泊りなど大丈夫でございますか?」
私の問いかけに心配しかないとお答えになったが、やはりあのことにはお気づきでないようだ。
そう、決して避けては通れぬアズールさまのお風呂問題だ。
アズールさまのお風呂は今までずっと母上であるアリーシャさまの担当でいらした。
本来ならば、アズールさまの世話係に手伝いをさせるものなのだが、ルーディーさまがご自分と母上であるアリーシャさま以外にアズールさまの裸を見てはならないとお命じになったものだから、アリーシャさまはそれをずっと守っていらっしゃるのだ。
アリーシャさまにとってもアズールさまとのお風呂の時間は、何ものにも変え難い幸せな時間だと仰っておいでだから問題はないが、流石に今からお城に来ていただいてアズールさまの入浴をお願いするというわけにはいかない。
ならばどうするか……。
私がアリーシャさまの代わりにアズールさまの入浴のお手伝いをする……ルーディーさまがお許しになるわけがない。
ルーディーさまがアズールさまの入浴のお手伝いをなさる……アズールさまの裸をご覧になって冷静に洗えるわけがない。
アズールさまお一人で入っていただく……ルーディーさまのお部屋のみならず、すべての湯船が深いためアズールさまお一人では危険。
しかも、今までお一人で入ったことがないアズールさまには髪も身体も洗えるはずがない。
うーん、どれも解決策には到底なり得ない。
「爺、どうしたらいい?」
「私がアズールさまと一緒に入れるのでしたら、すぐに解決いたしますが……」
「爺。今は冗談を聞いている場合ではない」
無理を承知で申し上げてみたが、低い声ですぐに否定されてしまう。
やはりダメか……。
ならばもう、ルーディーさまがアズールさまをお入れになる他ない。
公爵家ご令息であるアズールさまがお風呂に入らずに寝るなんてことを了承されるわけがないのだから。
「それではもうルーディーさまがアズールさまのお手伝いをなさるほかはございません」
「――っ!!!!! そ、それは私がアズールの、その……は、裸を……みても良いということか?」
鼻をふんふんと大きく膨らませ、目を爛々と輝かせながら、そう問いかけてこられるルーディーさまを見れば、それが最適解でないことは明らかだった。
「アズールさまをお風呂にお入れするには、それしか方法がないのですから仕方のないことでございますが、アズールさまはまだ12歳。陛下とのお約束を覚えていらっしゃいますか?」
「ぐっ――! それはわかっているが……きょ、今日は緊急事態ということで許してはもらえぬか?」
陛下とルーディーさまが交わされたお約束……それは、アズールさまが成人なさるまでは決して裸を見てはならぬということ。
見てしまえば、獣人としても本能を抑えきれなくなるからというのが理由だった。
「私の一存で許可をするわけには参りませぬ。そして、決して陛下は許可をお出しにはなりません」
「ならばどうするのだ? アズールを風呂に入れるのは私かアリーシャ殿だけなのだぞ」
「ですから、陛下とのお約束をお守りになりながら、ルーディーさまがお入れなさるのです」
「だが、風呂に入れば裸を見るものだろう!」
「ふふっ。ですから見なければ良いのです。陛下とのお約束は決して裸を見てはならぬということなのですから」
そう告げると、ルーディーさまは不思議そうな目で私を見つめていた。
347
あなたにおすすめの小説
隠れオメガの整備士は自由になりたい。なのに暴走する最強騎士を身体を張って止めたら、運命の番だとバレて過保護な専属契約を結ばされました
水凪しおん
BL
※オメガバース設定。激しい戦闘描写や、執着攻めによるマーキング描写、軽度の性的な接触の描写がありますので、15歳未満の方の閲覧はご遠慮ください。
汚染された惑星を浄化する生体兵器『機装(ギア)』。
その搭乗者は優れた能力を持つ『アルファ』に限られ、彼らの精神を安定させる鎮静剤として『オメガ』が存在する世界。
整備士のエリアンは、オメガであることを隠し、ベータと偽って軍の最前線で働いていた。
オメガは道具のように扱われるこの社会で、自由を守るための必死の嘘だった。
だがある日、軍最強のエリートパイロット・クレイドの機装が暴走する事故に遭遇する。
死を覚悟して止めに入ったエリアンだったが、暴走する機体はなぜか彼にだけ反応し、沈静化した。
それは、隠していたオメガのフェロモンが、クレイドと強烈な『共鳴』を起こした瞬間だった。
「見つけた。俺の対になる存在を」
正体がバレたと戦慄するエリアンに対し、冷徹なはずのクレイドが向けたのは、処罰ではなく執着に満ちた熱い視線で……?
孤独なエリート騎士×身分を隠した健気な整備士。
星の命運と本能が交錯する、近未来SFオメガバース!
国民的アイドルの元ライバルが、俺の底辺配信をなぜか認知している
逢 舞夏
BL
「高校に行っても、お前には負けないからな!」
「……もう、俺を追いかけるな」
中三の卒業式。幼馴染であり、唯一無二のライバルだった蓮田深月(はすだ みつき)にそう突き放されたあの日から、俺の時間は止まったままだ。
あれから15年。深月は国民的アイドルグループのセンターとして芸能界の頂点に立ち、俺、梅本陸(うめもと りく)は、アパートでコンビニのサラミを齧る、しがない30歳の社畜になった。
誰にも祝われない30歳の誕生日。孤独と酒に酔った勢いで、俺は『おでん』という名の猫耳アバターを被り、VTuberとして配信を始めた。
どうせ誰も来ない。チラ裏の愚痴配信だ。
そう思っていた俺の画面を、見たことのない金額の赤スパ(投げ銭)が埋め尽くした。
『K:¥50,000 誕生日おめでとう。いい声だ、もっと話して』
『K』と名乗る謎の太客。
【執着強めの国民的アイドル】×【酒飲みツンデレおじさんV】
自己肯定感低めの不幸な義弟が完璧な義兄と大揉めに揉める話
あと
BL
「こんな僕をお兄ちゃんは嫌ってるだろうな」
トップ俳優な完璧超人の義理の兄×不幸な自己肯定感低めのネガティブ義理の弟です。
お金ない受けが追い詰められて変なアルバイトしようとしたら、攻めと再会して……?みたいな話です。
攻めがヤンデレ気味で、受けがマジで卑屈なので苦手な人はブラウザバックで。
兄弟は親が離婚してるため、苗字が違います。
攻め:水瀬真広
受け:神崎彼方
⚠️作者は芸能界にもお葬式ににもエアプなので、気にしないでください。
途中でモブおじが出てきます。
義理とはいえ兄弟なので、地雷の人はブラウザバックで。
初投稿です。
初投稿がちょっと人を選ぶ作品なので不安です。
ひよったら消します。
誤字脱字はサイレント修正します。
内容も時々サイレント修正するかもです。
定期的にタグ整理します。
批判・中傷コメントはお控えください。
見つけ次第削除いたします。
虚ろな檻と翡翠の魔石
篠雨
BL
「本来の寿命まで、悪役の身体に入ってやり過ごしてよ」
不慮の事故で死んだ僕は、いい加減な神様の身勝手な都合により、異世界の悪役・レリルの器へ転生させられてしまう。
待っていたのは、一生を塔で過ごし、魔力を搾取され続ける孤独な日々。だが、僕を管理する強面の辺境伯・ヨハンが運んでくる薪や食事、そして不器用な優しさが、凍てついた僕の心を次第に溶かしていく。
しかし、穏やかな時間は長くは続かない。魔力を捧げるたびに脳内に流れ込む本物のレリルの記憶と領地を襲う未曾有の魔物の群れ。
「僕が、この場所と彼を守る方法はこれしかない」
記憶に翻弄され頭は混乱する中、魔石化するという残酷な決断を下そうとするが――。
-----------------------------------------
0時,6時,12時,18時に2話ずつ更新
【土壌改良】で死の荒野がSランク農園に!食べただけでレベルアップする野菜で、世界最強ギルド設立
黒崎隼人
ファンタジー
「え? これ、ただのトマトですよ?」
「いいえ、それは食べただけで魔力が全回復する『神の果実』です!」
ブラック企業で働き詰めだった青年は、異世界の名門貴族の三男・ノアとして転生する。
しかし、授かったスキルは【土壌改良】という地味なもの。
「攻撃魔法も使えない役立たず」と罵られ、魔物すら寄り付かない死の荒野へ追放されてしまう。
だが、彼らは知らなかった。
ノアのスキルは、現代の農業知識と合わせることで、荒れ果てた土地を「Sランク食材」が溢れる楽園に変えるチート能力だったことを!
伝説の魔獣(もふもふ)をキュウリ一本で手懐け、行き倒れた天才エルフを極上スープで救い出し、気づけば荒野には巨大な「農業ギルド」が誕生していた。
これは、本人がただ美味しい野菜を作ってのんびり暮らしたいだけなのに、周囲からは「世界を救う大賢者」と崇められてしまう、無自覚・最強の農業ファンタジー!
悪役令息を改めたら皆の様子がおかしいです?
* ゆるゆ
BL
王太子から伴侶(予定)契約を破棄された瞬間、前世の記憶がよみがえって、悪役令息だと気づいたよ! しかし気づいたのが終了した後な件について。
悪役令息で断罪なんて絶対だめだ! 泣いちゃう!
せっかく前世を思い出したんだから、これからは心を入れ替えて、真面目にがんばっていこう! と思ったんだけど……あれ? 皆やさしい? 主人公はあっちだよー?
ユィリと皆の動画をつくりました!
インスタ @yuruyu0 絵も動画もあがります。ほぼ毎日更新!
Youtube @BL小説動画 アカウントがなくても、どなたでもご覧になれます。動画を作ったときに更新!
プロフのWebサイトから、両方に飛べるので、もしよかったら!
名前が * ゆるゆ になりましたー!
中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー!
ご感想欄 、うれしくてすぐ承認を押してしまい(笑)ネタバレ 配慮できないので、ご覧になる時は、お気をつけください!
新年に余り物でおせちを作ったら、冷酷と噂の騎士団長様に「運命の番」だと求婚されました
水凪しおん
BL
料理人だった俺が転生したのは、男性オメガというだけで家族に虐げられる不遇の青年カイ。
新年くらいはと前世の記憶を頼りに作ったのは、この世界にはない『おせち料理』だった。
それを偶然口にしたのは、氷のように冷酷と噂される最強の騎士団長リアム。
「お前は俺の運命の番だ」
彼の屋敷に保護され、俺の作る料理が彼の心を溶かしていく。
不器用で、だけどまっすぐな愛情を注いでくれる彼と、美味しい料理で紡ぐ、甘くて温かい異世界スローライフ。
やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。
毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。
そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。
彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。
「これでやっと安心して退場できる」
これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。
目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。
「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」
その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。
「あなた……Ωになっていますよ」
「へ?」
そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て――
オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる