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番外編
虹色の湖※ <前編>
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最後のお話(予定)です。
長くなったので分けます。
最後までどうぞお楽しみに♡
「航、次に西表島に行った時は特別ツアーに連れて行くからな」
「特別ツアーってあの?」
「ああ、この前面接で行った時は航が足を捻挫していて連れて行けなかったから次に行く時には連れて行こうと思っていたんだ」
「わぁっ! 俺、資料で読んで見てみたいって思ってたんです! 嬉しいっ!」
「そうか、じゃあその日のツアーは一日、航の貸切にしよう」
「えっ? いいんですか?」
「ああ、元々イリゼの宿泊者しか連れて行かないことにしている特別なツアーだからな、イリゼからもその日はまだ予約が入っていないから大丈夫なんだ」
K.Yリゾートの観光ツアー資料で一際目を引いたあの特別ツアー。
あれをこの目で見られるだなんて!
今から西表に行くのが楽しみだ!
あっという間に西表島に出かける日がやってきた。
今日から10日間の日程で祐悟さんと西表での仕事に向かい、帰京前日にあの特別ツアーに行く予定になっている。
それを楽しみに仕事を張り切ってやっちゃうぞ!!
東京から石垣島へ向かう飛行機は祐悟さんと一緒だからもちろんビジネスクラス。
あの時は最初で最後のビジネスクラスかも……なんて思っていたのに、こうも早く2回目がやってくるとは。
まだ慣れなくてドキドキするけど、この前俺たちを担当してくれた植松さんというCAさんが担当してくれて少しホッとした。
あの時と同じようにウェルカムドリンクでフレッシュジュースを持ってきてくれたけど、今回はマンゴージュース。
ああ、石垣島で食べたあのかき氷を思い出すなぁ。
あの濃厚で美味しかったかき氷と同じくらい、このジュースも濃厚でとっても美味しかった。
食事を済ませると、祐悟さんが真剣な表情で鞄から何かを取り出した。
「祐悟さん、どうしたんですか?」
「航、真夏の沖縄の日差しは東京とは比べ物にならないくらい強いんだ。それを知らずにビーチで水脹れになるほど日焼けして皮膚科に駆け込む観光客もたくさんいるくらいなんだ。航は特に肌が弱いからな、だから石垣に着く前に今から俺が日焼け止めを塗ってあげよう」
「えっ? 日焼け止め、ですか? それなら自分で……」
「鏡もないから自分では見落としてしまうだろう? 塗り忘れがあるといけないから俺に任せてくれたらいいよ」
祐悟さんはそういうと、素早い手つきで俺のネクタイを外し、ワイシャツのボタンを4つほど開け、手のひらに広げた日焼け止めをなめらかな手つきで塗っていく。
首筋はまだわかる。
でも、ここまで塗る必要があるのかな?
そう思っている間にも祐悟さんの指が俺の乳首を掠めていく。
「んっ……」
「航、どうした?」
祐悟さんは自分の指が俺の乳首に当たっていることに気づいていないみたい。
「い、いや……なんでも……」
「そうか?」
必死に耐え続けているのに祐悟さんの指は何度も何度も俺の乳首を掠めていく。
「んんっ……んっ」
ほんの少しの刺激がちょっとずつ与えられてもうおかしくなってしまいそう。
「よし、これでいいだろう」
ようやく日焼け止めを塗り終わり、祐悟さんはシャツのボタンを止めネクタイまで綺麗に締めてくれたけど、さっきまでの刺激がまだ乳首に残っていて、シャツが擦れるだけでジンジンとしてしまう。
ふと下を見ると、自分のモノがズボンを押し上げていることに気づいた。
た、勃っちゃってる……。
えーっ、どうしよう……。
こんなの誰かに見られたら……。
でも、焦れば焦るほどなかなか萎えそうにない。
俺はどうすることもできなくて、祐悟さんに助けを求めた。
「ゆ、祐悟さん……俺、」
「航、どうしたんだ?」
「俺……こ、こんななっちゃって……どうしたら、いいですか?」
祐悟さんの手をそっと取り、ズボンを押し上げているモノに布ごしに触れさせると、祐悟さんは
「――っ!」
と息を呑んで、『大丈夫、俺がなんとかしてやるから』と言って、自分のジャケットを俺にかけ、植松さんを呼んだ。
「悪いが毛布を一枚くれ。それから少し休むからこっちには人をこさせないでくれ」
「畏まりました」
植松さんはすぐに毛布を持ってくると、その場から立ち去った。
幸いなことに今日のビジネスクラスは俺たちの席から一番遠い場所に2人座っているだけ。
これから誰にも気づかれないうちに時間が経てば萎えてくれるはず。
そう思っていた。
だけど、祐悟さんは俺のシートベルトを外し、俺を祐悟さんの膝の上に乗せると上から毛布をかけた。
そして俺のズボンのベルトを外し、さっとファスナーを下ろしていく。
「えっ? えっ?」
あまりの早業に俺は止めることもできずにいると、あっという間に下着も下ろされ、俺の勃ち上がったモノが外に飛び出したのが感覚でわかった。
もちろん毛布が掛かっているから外からは何をしているかわからないけれど、周りに人がいる状況で自分のモノを曝け出してるなんて……信じられない状態に頭はパニックになっているのに、なぜか身体は興奮してしまっている。
「大丈夫、出してやったらすぐに治まるから、俺に任せておけ」
「んっ……」
耳元でそう囁かれてピクリと身体が震えたのは、祐悟さんの手の動きをもう俺のモノが覚えてしまっているからかもしれない。
恥ずかしいと思いながらも、祐悟さんの手で扱かれてあまりの気持ちよさにさっきの乳首の比じゃないくらいおかしくなりそうだ。
祐悟さんの動きに重なるようにクチュクチュといやらしい水音が俺の耳に入ってくる。
これ、他の人にも聞こえてるんじゃ?
そう思えば思うほど興奮して、
「んんっ、はっ……あっ、イくぅ……」
俺はあっという間に弾けさせた。
気圧が低いところでこんな興奮しちゃったせいか、放った瞬間ぐったりとしてしまったけれど、祐悟さんはなぜか嬉しそうに俺の出したものをささっと綺麗に拭ってくれて、下着もズボンも綺麗に整えてくれた。
ああ、本当に祐悟さんって優しいな。
俺は嬉しくて祐悟さんの首に手を回した。
「祐悟さん、大好きです」
「くっ――! ああ、俺も航が好きだよ。続きは今日の夜にな」
さっとキスをしてくれて俺は嬉しくてそのまましばらく祐悟さんに抱きついていた。
石垣空港に降り立ち、そのまま離島ターミナルから西表島へと向かう。
船を降りるとあの時と同じように砂川さんが車で迎えに来てくれていた。
「藤乃くん、お久しぶりですね。飛行機はいかがでしたか?」
「えっ……」
まさか、さっきのこと知られたりしてないよね?
砂川さんは一瞬言葉に詰まった俺を見て、さっと祐悟さんの方へ顔を向けた。
「さ、さぁ早く会社に行こう」
祐悟さんは焦ったように俺を車へと連れて行った。
んっ? 今日は大事なお客さんでも来る日だっけ?
そんなこと何も聞いてなかったけどなぁ……。
車は懐かしい道を進みながらK.Yリゾートにたどり着いた。
「実は藤乃くんにご紹介したい方がいるんですよ」
「私に……ですか?」
「ええ、きっと驚くと思いますよ」
意味深な笑顔を浮かべながら、玄関へと向かっていく砂川さんの後ろからついて歩いていると、中に入ったところで1人の男性が立ってこっちを見ているのが見えた。
あれ? あの人……。
「久しぶり! 藤乃くん」
「えっ? あ、もしかして平松さん?」
「覚えててくれたんだね、嬉しいな」
「あの……なんで平松さんがここに?」
「あの会社辞めてここで雇ってもらったんだ」
「ええーーっ!!!」
うそっ、こんな偶然ってあり???
俺が驚いている横で祐悟さんも砂川さんも平松さんもみんな笑ってる。
もしかして、平松さんが俺の同僚だったって知ってる?
「実はね、あの会社を告発してくれたのは彼だったんだ」
「えっ? 平松さんが……告発??」
あのニュースで語ってたあの人が平松さん?
モザイクで隠されて声も変えられてたけど、そう言われれば平松さんに似てるかも。
「俺……藤乃くんがあんなふうに辞めさせられてから許せなくて……それでマスコミとかに情報流して告発したんだ。倉橋社長は俺が告発者だって知って、俺を雇ってくれたんだよ」
「そうなの? 祐悟さん……」
「ああ、航があんなひどい目にあってたのを勇気を出して告発してくれたからね、お礼というわけじゃないが、うちで働いてもらうことにしたんだ。もし前の会社の奴らに知られてもこんなとこまで彼を捕まえにはこないだろうなと思ったから」
そうなんだ……。
祐悟さん、どこまで優しい人なんだろう。
俺も平松さんも本当に良い人に見つけてもらったよね。
「祐悟さん……ありがとう。俺……嬉しい」
「航。俺としてもいい人材を雇うことができて良かったんだ。砂川と名嘉村に教育係を頼んでるんだが、平松くんはかなり優秀らしい。なぁ、砂川」
「はい。私としても喜んでいるんですよ、これで社長の仕事で東京に行く時もこちらのことをあまり心配せずとも良くなったので。平松さん、すごくよく頑張ってくださってるので助かっています」
「そんな……俺、照れます」
平松さん、あの会社ではいつも苦しそうな表情してた。
でも今はイキイキとしてる。
俺と同じだ。
あの会社から抜け出せたおかげで、こうやって幸せになれたんだ。
「平松さん、良かったですね。俺も嬉しいです」
「ああ、藤乃くんのおかげで俺も一歩踏み出せたよ。ありがとう」
平松さんの差し出した手を取ろうとした俺の手がさっと何かに取られた。
みると、俺の手は祐悟さんの手に繋がれている。
「祐悟さん?」
「握手はいらないだろう、言葉だけで十分だ」
「社長ー! これぐらいさせてあげてくださいよ。平松さんも藤乃くんも久しぶりなんですよ」
「だめだ! 航は俺のものだからな。平松くんもその点を理解しておいてもらわないと困るぞ」
そうはっきりと言い切る祐悟さんを見て、俺と平松さんは思わず笑ってしまった。
「社長、失礼しました。一切手出しは致しませんとお約束します」
平松さんのその言葉に祐悟さんは満足そうに
「ああ、やっぱりいい社員を雇ったな」
と笑っていた。
長くなったので分けます。
最後までどうぞお楽しみに♡
「航、次に西表島に行った時は特別ツアーに連れて行くからな」
「特別ツアーってあの?」
「ああ、この前面接で行った時は航が足を捻挫していて連れて行けなかったから次に行く時には連れて行こうと思っていたんだ」
「わぁっ! 俺、資料で読んで見てみたいって思ってたんです! 嬉しいっ!」
「そうか、じゃあその日のツアーは一日、航の貸切にしよう」
「えっ? いいんですか?」
「ああ、元々イリゼの宿泊者しか連れて行かないことにしている特別なツアーだからな、イリゼからもその日はまだ予約が入っていないから大丈夫なんだ」
K.Yリゾートの観光ツアー資料で一際目を引いたあの特別ツアー。
あれをこの目で見られるだなんて!
今から西表に行くのが楽しみだ!
あっという間に西表島に出かける日がやってきた。
今日から10日間の日程で祐悟さんと西表での仕事に向かい、帰京前日にあの特別ツアーに行く予定になっている。
それを楽しみに仕事を張り切ってやっちゃうぞ!!
東京から石垣島へ向かう飛行機は祐悟さんと一緒だからもちろんビジネスクラス。
あの時は最初で最後のビジネスクラスかも……なんて思っていたのに、こうも早く2回目がやってくるとは。
まだ慣れなくてドキドキするけど、この前俺たちを担当してくれた植松さんというCAさんが担当してくれて少しホッとした。
あの時と同じようにウェルカムドリンクでフレッシュジュースを持ってきてくれたけど、今回はマンゴージュース。
ああ、石垣島で食べたあのかき氷を思い出すなぁ。
あの濃厚で美味しかったかき氷と同じくらい、このジュースも濃厚でとっても美味しかった。
食事を済ませると、祐悟さんが真剣な表情で鞄から何かを取り出した。
「祐悟さん、どうしたんですか?」
「航、真夏の沖縄の日差しは東京とは比べ物にならないくらい強いんだ。それを知らずにビーチで水脹れになるほど日焼けして皮膚科に駆け込む観光客もたくさんいるくらいなんだ。航は特に肌が弱いからな、だから石垣に着く前に今から俺が日焼け止めを塗ってあげよう」
「えっ? 日焼け止め、ですか? それなら自分で……」
「鏡もないから自分では見落としてしまうだろう? 塗り忘れがあるといけないから俺に任せてくれたらいいよ」
祐悟さんはそういうと、素早い手つきで俺のネクタイを外し、ワイシャツのボタンを4つほど開け、手のひらに広げた日焼け止めをなめらかな手つきで塗っていく。
首筋はまだわかる。
でも、ここまで塗る必要があるのかな?
そう思っている間にも祐悟さんの指が俺の乳首を掠めていく。
「んっ……」
「航、どうした?」
祐悟さんは自分の指が俺の乳首に当たっていることに気づいていないみたい。
「い、いや……なんでも……」
「そうか?」
必死に耐え続けているのに祐悟さんの指は何度も何度も俺の乳首を掠めていく。
「んんっ……んっ」
ほんの少しの刺激がちょっとずつ与えられてもうおかしくなってしまいそう。
「よし、これでいいだろう」
ようやく日焼け止めを塗り終わり、祐悟さんはシャツのボタンを止めネクタイまで綺麗に締めてくれたけど、さっきまでの刺激がまだ乳首に残っていて、シャツが擦れるだけでジンジンとしてしまう。
ふと下を見ると、自分のモノがズボンを押し上げていることに気づいた。
た、勃っちゃってる……。
えーっ、どうしよう……。
こんなの誰かに見られたら……。
でも、焦れば焦るほどなかなか萎えそうにない。
俺はどうすることもできなくて、祐悟さんに助けを求めた。
「ゆ、祐悟さん……俺、」
「航、どうしたんだ?」
「俺……こ、こんななっちゃって……どうしたら、いいですか?」
祐悟さんの手をそっと取り、ズボンを押し上げているモノに布ごしに触れさせると、祐悟さんは
「――っ!」
と息を呑んで、『大丈夫、俺がなんとかしてやるから』と言って、自分のジャケットを俺にかけ、植松さんを呼んだ。
「悪いが毛布を一枚くれ。それから少し休むからこっちには人をこさせないでくれ」
「畏まりました」
植松さんはすぐに毛布を持ってくると、その場から立ち去った。
幸いなことに今日のビジネスクラスは俺たちの席から一番遠い場所に2人座っているだけ。
これから誰にも気づかれないうちに時間が経てば萎えてくれるはず。
そう思っていた。
だけど、祐悟さんは俺のシートベルトを外し、俺を祐悟さんの膝の上に乗せると上から毛布をかけた。
そして俺のズボンのベルトを外し、さっとファスナーを下ろしていく。
「えっ? えっ?」
あまりの早業に俺は止めることもできずにいると、あっという間に下着も下ろされ、俺の勃ち上がったモノが外に飛び出したのが感覚でわかった。
もちろん毛布が掛かっているから外からは何をしているかわからないけれど、周りに人がいる状況で自分のモノを曝け出してるなんて……信じられない状態に頭はパニックになっているのに、なぜか身体は興奮してしまっている。
「大丈夫、出してやったらすぐに治まるから、俺に任せておけ」
「んっ……」
耳元でそう囁かれてピクリと身体が震えたのは、祐悟さんの手の動きをもう俺のモノが覚えてしまっているからかもしれない。
恥ずかしいと思いながらも、祐悟さんの手で扱かれてあまりの気持ちよさにさっきの乳首の比じゃないくらいおかしくなりそうだ。
祐悟さんの動きに重なるようにクチュクチュといやらしい水音が俺の耳に入ってくる。
これ、他の人にも聞こえてるんじゃ?
そう思えば思うほど興奮して、
「んんっ、はっ……あっ、イくぅ……」
俺はあっという間に弾けさせた。
気圧が低いところでこんな興奮しちゃったせいか、放った瞬間ぐったりとしてしまったけれど、祐悟さんはなぜか嬉しそうに俺の出したものをささっと綺麗に拭ってくれて、下着もズボンも綺麗に整えてくれた。
ああ、本当に祐悟さんって優しいな。
俺は嬉しくて祐悟さんの首に手を回した。
「祐悟さん、大好きです」
「くっ――! ああ、俺も航が好きだよ。続きは今日の夜にな」
さっとキスをしてくれて俺は嬉しくてそのまましばらく祐悟さんに抱きついていた。
石垣空港に降り立ち、そのまま離島ターミナルから西表島へと向かう。
船を降りるとあの時と同じように砂川さんが車で迎えに来てくれていた。
「藤乃くん、お久しぶりですね。飛行機はいかがでしたか?」
「えっ……」
まさか、さっきのこと知られたりしてないよね?
砂川さんは一瞬言葉に詰まった俺を見て、さっと祐悟さんの方へ顔を向けた。
「さ、さぁ早く会社に行こう」
祐悟さんは焦ったように俺を車へと連れて行った。
んっ? 今日は大事なお客さんでも来る日だっけ?
そんなこと何も聞いてなかったけどなぁ……。
車は懐かしい道を進みながらK.Yリゾートにたどり着いた。
「実は藤乃くんにご紹介したい方がいるんですよ」
「私に……ですか?」
「ええ、きっと驚くと思いますよ」
意味深な笑顔を浮かべながら、玄関へと向かっていく砂川さんの後ろからついて歩いていると、中に入ったところで1人の男性が立ってこっちを見ているのが見えた。
あれ? あの人……。
「久しぶり! 藤乃くん」
「えっ? あ、もしかして平松さん?」
「覚えててくれたんだね、嬉しいな」
「あの……なんで平松さんがここに?」
「あの会社辞めてここで雇ってもらったんだ」
「ええーーっ!!!」
うそっ、こんな偶然ってあり???
俺が驚いている横で祐悟さんも砂川さんも平松さんもみんな笑ってる。
もしかして、平松さんが俺の同僚だったって知ってる?
「実はね、あの会社を告発してくれたのは彼だったんだ」
「えっ? 平松さんが……告発??」
あのニュースで語ってたあの人が平松さん?
モザイクで隠されて声も変えられてたけど、そう言われれば平松さんに似てるかも。
「俺……藤乃くんがあんなふうに辞めさせられてから許せなくて……それでマスコミとかに情報流して告発したんだ。倉橋社長は俺が告発者だって知って、俺を雇ってくれたんだよ」
「そうなの? 祐悟さん……」
「ああ、航があんなひどい目にあってたのを勇気を出して告発してくれたからね、お礼というわけじゃないが、うちで働いてもらうことにしたんだ。もし前の会社の奴らに知られてもこんなとこまで彼を捕まえにはこないだろうなと思ったから」
そうなんだ……。
祐悟さん、どこまで優しい人なんだろう。
俺も平松さんも本当に良い人に見つけてもらったよね。
「祐悟さん……ありがとう。俺……嬉しい」
「航。俺としてもいい人材を雇うことができて良かったんだ。砂川と名嘉村に教育係を頼んでるんだが、平松くんはかなり優秀らしい。なぁ、砂川」
「はい。私としても喜んでいるんですよ、これで社長の仕事で東京に行く時もこちらのことをあまり心配せずとも良くなったので。平松さん、すごくよく頑張ってくださってるので助かっています」
「そんな……俺、照れます」
平松さん、あの会社ではいつも苦しそうな表情してた。
でも今はイキイキとしてる。
俺と同じだ。
あの会社から抜け出せたおかげで、こうやって幸せになれたんだ。
「平松さん、良かったですね。俺も嬉しいです」
「ああ、藤乃くんのおかげで俺も一歩踏み出せたよ。ありがとう」
平松さんの差し出した手を取ろうとした俺の手がさっと何かに取られた。
みると、俺の手は祐悟さんの手に繋がれている。
「祐悟さん?」
「握手はいらないだろう、言葉だけで十分だ」
「社長ー! これぐらいさせてあげてくださいよ。平松さんも藤乃くんも久しぶりなんですよ」
「だめだ! 航は俺のものだからな。平松くんもその点を理解しておいてもらわないと困るぞ」
そうはっきりと言い切る祐悟さんを見て、俺と平松さんは思わず笑ってしまった。
「社長、失礼しました。一切手出しは致しませんとお約束します」
平松さんのその言葉に祐悟さんは満足そうに
「ああ、やっぱりいい社員を雇ったな」
と笑っていた。
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