16 / 42
ここで暮らすの?
しおりを挟む
「じゃあ行こうか」
「は、はい」
そうだ。このすごい車に乗るんだった。
ドキドキしながら、車に連れて行かれて助手席の扉を開けてくれる。
「し、失礼します」
うちにあったどちらの車とも違う、なんとも高級感漂う車に乗り込み、腰を下ろすとものすごく座り心地が良くて驚いてしまう。
「この車、すごく乗り心地がいいですね」
「気に入ってもらえてよかった。あ、シートベルトつけようね」
さっと河北さんの手が伸びてシートベルトをつけてくれる。
河北さんの腕が近付くだけでドキドキが止まらなくなっていた。
河北さんはそんなことを僕が思っているなんて気づく様子もな颯爽と運転席に乗り込んだ。
それだけでとてつもなくかっこいい。
車がゆっくりと動き出して、
「田淵くん、緊張してる?」
と尋ねられる。
「こんなかっこいい車に乗れるなんて信じられなくて……」
それに運転している河北さんがカッコ良すぎて見惚れてしまう。
「これからいつだって乗る車だからほんと、緊張しないでいいよ。もうすぐ着くからね」
河北さんの言葉通り、車は15分も経たないうちに大きな建物ばかりの場所にやってきた。
「あの、お家ってこの辺ですか?」
ものすごい大きな建物しか見当たらないんだけど……。
「ああ、目の前のあのマンションがそうだよ」
「えっ? あの、マンション……」
大きな建物が並ぶこのあたりでも一際大きくて、豪華な感じがする、このマンションが河北さんのお家?
車を降りたら余計にこの建物の凄さが際立って怖気付いてしまう。
「あ、あの……ここが、河北さんのお家、ですか?」
「ああ。でも、今日からは田淵くんにも住んでもらうから俺たちの家、かな」
僕たちの家……そう言ってもらえるのは嬉しいけれど、今まで住んでいたアパートと違いすぎて自分が住むなんて想像がつかない。
実家だって、田舎のこぢんまりした古い家だったし。こんな見上げないといけないほど大きな建物に住むなんて行きた心地がしない。
やっぱりここは分相応にアパートで暮らした方がいいんじゃないかな……と思ってしまう。
そんな僕の表情に河北さんは、
「あれ? 気に入らなかった? もしかして一軒家が良かったとか? じゃあ、一軒家にしようか」
と軽い口調で言ってくる。でもそれが全然冗談に聞こえない。僕がここでは住めないと言えば、本気で一軒家を探してくれそうだ。そんなこと絶対にさせるわけにはいかない。
慌てて、気に入らないなんてことはないというと、笑顔で
「それなら良かった。じゃあ、行こうか」
と手を引かれてマンションへ連れて行かれた。
自動ドアが開き、中に入ると黒服のすごそうな人がこちらに視線を向けた。笑顔で頭を下げてくれるけれど、ものすごく緊張する。
この人って、管理人さんかな?
うちにいた管理人さんとはあまりにも違いすぎてドキドキするなぁ。
河北さんは僕の手を取ったままエレベータホールを抜けていく。このままだと壁にぶつかってしまいそうなのにどうしたんだろう?
「あの、河北さん……どこに――わぁっ!!」
どこまでいくんですか?
そう聞こうとした瞬間、僕たちの目の前にあった壁がスーッと開いて新たなエレベーターホールが現れた。
「あ、あの……これって……」
「俺たちの部屋に行く専用のエレベーターだよ。行こうか」
「せん、ようの、えれ、べーたー……」
もう河北さんが何を言っているのかもわからずに手を引かれるまま、エレベーターに乗り込んだ。
そして、動いたと思ったら、ポーンと音がなりすぐに扉が開いた。
「降りるよ」
「は、はい」
言われるがままに降りると、豪華な扉が現れた。河北さんは鍵を開けることもなく扉に手をかけるとそのまま僕を連れて中に入って行った。
中はとてつもなく広い空間。
今外から入ってきたんだから、ここは、玄関、だよね?
でもこんなに広い玄関ってあるの?
ここだけでも僕のアパートの部屋くらいありそうだけど……。
当たりをキョロキョロと見回していると河北さんにどうかした? と不思議そうに尋ねられた。
「えっ、あの……ここって、玄関ですよね?」
気になって尋ねると、
「ああ、そうだね。そっちがシューズクローゼット。田淵くんの靴もいくつか用意しているから」
と当然のように言葉が返ってきた。
でも僕の靴? 僕はずっと履いていた、事故で履けなくなった靴と、河北さんが用意してくれたこの靴しか持っていないはずなんだけど。
替えは持っていないと正直に告げると、河北さんはまたもや笑顔で
「田淵くんの足の形を測っておいたから、田淵くんに合う靴を作っておいたんだよ」
と当たり前のことでもいうように返してきた。
僕に合う靴を作っておいた?
一体どういうこと?
もうすでに頭の中が混乱してわけがわからなくなってしまっていた。
「は、はい」
そうだ。このすごい車に乗るんだった。
ドキドキしながら、車に連れて行かれて助手席の扉を開けてくれる。
「し、失礼します」
うちにあったどちらの車とも違う、なんとも高級感漂う車に乗り込み、腰を下ろすとものすごく座り心地が良くて驚いてしまう。
「この車、すごく乗り心地がいいですね」
「気に入ってもらえてよかった。あ、シートベルトつけようね」
さっと河北さんの手が伸びてシートベルトをつけてくれる。
河北さんの腕が近付くだけでドキドキが止まらなくなっていた。
河北さんはそんなことを僕が思っているなんて気づく様子もな颯爽と運転席に乗り込んだ。
それだけでとてつもなくかっこいい。
車がゆっくりと動き出して、
「田淵くん、緊張してる?」
と尋ねられる。
「こんなかっこいい車に乗れるなんて信じられなくて……」
それに運転している河北さんがカッコ良すぎて見惚れてしまう。
「これからいつだって乗る車だからほんと、緊張しないでいいよ。もうすぐ着くからね」
河北さんの言葉通り、車は15分も経たないうちに大きな建物ばかりの場所にやってきた。
「あの、お家ってこの辺ですか?」
ものすごい大きな建物しか見当たらないんだけど……。
「ああ、目の前のあのマンションがそうだよ」
「えっ? あの、マンション……」
大きな建物が並ぶこのあたりでも一際大きくて、豪華な感じがする、このマンションが河北さんのお家?
車を降りたら余計にこの建物の凄さが際立って怖気付いてしまう。
「あ、あの……ここが、河北さんのお家、ですか?」
「ああ。でも、今日からは田淵くんにも住んでもらうから俺たちの家、かな」
僕たちの家……そう言ってもらえるのは嬉しいけれど、今まで住んでいたアパートと違いすぎて自分が住むなんて想像がつかない。
実家だって、田舎のこぢんまりした古い家だったし。こんな見上げないといけないほど大きな建物に住むなんて行きた心地がしない。
やっぱりここは分相応にアパートで暮らした方がいいんじゃないかな……と思ってしまう。
そんな僕の表情に河北さんは、
「あれ? 気に入らなかった? もしかして一軒家が良かったとか? じゃあ、一軒家にしようか」
と軽い口調で言ってくる。でもそれが全然冗談に聞こえない。僕がここでは住めないと言えば、本気で一軒家を探してくれそうだ。そんなこと絶対にさせるわけにはいかない。
慌てて、気に入らないなんてことはないというと、笑顔で
「それなら良かった。じゃあ、行こうか」
と手を引かれてマンションへ連れて行かれた。
自動ドアが開き、中に入ると黒服のすごそうな人がこちらに視線を向けた。笑顔で頭を下げてくれるけれど、ものすごく緊張する。
この人って、管理人さんかな?
うちにいた管理人さんとはあまりにも違いすぎてドキドキするなぁ。
河北さんは僕の手を取ったままエレベータホールを抜けていく。このままだと壁にぶつかってしまいそうなのにどうしたんだろう?
「あの、河北さん……どこに――わぁっ!!」
どこまでいくんですか?
そう聞こうとした瞬間、僕たちの目の前にあった壁がスーッと開いて新たなエレベーターホールが現れた。
「あ、あの……これって……」
「俺たちの部屋に行く専用のエレベーターだよ。行こうか」
「せん、ようの、えれ、べーたー……」
もう河北さんが何を言っているのかもわからずに手を引かれるまま、エレベーターに乗り込んだ。
そして、動いたと思ったら、ポーンと音がなりすぐに扉が開いた。
「降りるよ」
「は、はい」
言われるがままに降りると、豪華な扉が現れた。河北さんは鍵を開けることもなく扉に手をかけるとそのまま僕を連れて中に入って行った。
中はとてつもなく広い空間。
今外から入ってきたんだから、ここは、玄関、だよね?
でもこんなに広い玄関ってあるの?
ここだけでも僕のアパートの部屋くらいありそうだけど……。
当たりをキョロキョロと見回していると河北さんにどうかした? と不思議そうに尋ねられた。
「えっ、あの……ここって、玄関ですよね?」
気になって尋ねると、
「ああ、そうだね。そっちがシューズクローゼット。田淵くんの靴もいくつか用意しているから」
と当然のように言葉が返ってきた。
でも僕の靴? 僕はずっと履いていた、事故で履けなくなった靴と、河北さんが用意してくれたこの靴しか持っていないはずなんだけど。
替えは持っていないと正直に告げると、河北さんはまたもや笑顔で
「田淵くんの足の形を測っておいたから、田淵くんに合う靴を作っておいたんだよ」
と当たり前のことでもいうように返してきた。
僕に合う靴を作っておいた?
一体どういうこと?
もうすでに頭の中が混乱してわけがわからなくなってしまっていた。
656
お気に入りに追加
711
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

飼われる側って案外良いらしい。
なつ
BL
20XX年。人間と人外は共存することとなった。そう、僕は朝のニュースで見て知った。
なんでも、向こうが地球の平和と引き換えに、僕達の中から選んで1匹につき1人、人間を飼うとかいう巫山戯た法を提案したようだけれど。
「まあ何も変わらない、はず…」
ちょっと視界に映る生き物の種類が増えるだけ。そう思ってた。
ほんとに。ほんとうに。
紫ヶ崎 那津(しがさき なつ)(22)
ブラック企業で働く最下層の男。悪くない顔立ちをしているが、不摂生で見る影もない。
変化を嫌い、現状維持を好む。
タルア=ミース(347)
職業不詳の人外、Swis(スウィズ)。お金持ち。
最初は可愛いペットとしか見ていなかったものの…?

怒られるのが怖くて体調不良を言えない大人
こじらせた処女
BL
幼少期、風邪を引いて学校を休むと母親に怒られていた経験から、体調不良を誰かに伝えることが苦手になってしまった佐倉憂(さくらうい)。
しんどいことを訴えると仕事に行けないとヒステリックを起こされ怒られていたため、次第に我慢して学校に行くようになった。
「風邪をひくことは悪いこと」
社会人になって1人暮らしを始めてもその認識は治らないまま。多少の熱や頭痛があっても怒られることを危惧して出勤している。
とある日、いつものように会社に行って業務をこなしていた時。午前では無視できていただるけが無視できないものになっていた。
それでも、自己管理がなっていない、日頃ちゃんと体調管理が出来てない、そう怒られるのが怖くて、言えずにいると…?

別れようと彼氏に言ったら泣いて懇願された挙げ句めっちゃ尽くされた
翡翠飾
BL
「い、いやだ、いや……。捨てないでっ、お願いぃ……。な、何でも!何でもするっ!金なら出すしっ、えっと、あ、ぱ、パシリになるから!」
そう言って涙を流しながら足元にすがり付くαである彼氏、霜月慧弥。ノリで告白されノリで了承したこの付き合いに、βである榊原伊織は頃合いかと別れを切り出したが、慧弥は何故か未練があるらしい。
チャライケメンα(尽くし体質)×物静かβ(尽くされ体質)の話。


【完結】ぎゅって抱っこして
かずえ
BL
幼児教育学科の短大に通う村瀬一太。訳あって普通の高校に通えなかったため、働いて貯めたお金で二年間だけでもと大学に入学してみたが、学費と生活費を稼ぎつつ学校に通うのは、考えていたよりも厳しい……。
でも、頼れる者は誰もいない。
自分で頑張らなきゃ。
本気なら何でもできるはず。
でも、ある日、金持ちの坊っちゃんと心の中で呼んでいた松島晃に苦手なピアノの課題で助けてもらってから、どうにも自分の心がコントロールできなくなって……。

【完結】兄の事を皆が期待していたので僕は離れます
まりぃべる
ファンタジー
一つ年上の兄は、国の為にと言われて意気揚々と村を離れた。お伽話にある、奇跡の聖人だと幼き頃より誰からも言われていた為、それは必然だと。
貧しい村で育った弟は、小さな頃より家の事を兄の分までせねばならず、兄は素晴らしい人物で対して自分は凡人であると思い込まされ、自分は必要ないのだからと弟は村を離れる事にした。
そんな弟が、自分を必要としてくれる人に会い、幸せを掴むお話。
☆まりぃべるの世界観です。緩い設定で、現実世界とは違う部分も多々ありますがそこをあえて楽しんでいただけると幸いです。
☆現実世界にも同じような名前、地名、言葉などがありますが、関係ありません。
日本一のイケメン俳優に惚れられてしまったんですが
五右衛門
BL
月井晴彦は過去のトラウマから自信を失い、人と距離を置きながら高校生活を送っていた。ある日、帰り道で少女が複数の男子からナンパされている場面に遭遇する。普段は関わりを避ける晴彦だが、僅かばかりの勇気を出して、手が震えながらも必死に少女を助けた。
しかし、その少女は実は美男子俳優の白銀玲央だった。彼は日本一有名な高校生俳優で、高い演技力と美しすぎる美貌も相まって多くの賞を受賞している天才である。玲央は何かお礼がしたいと言うも、晴彦は動揺してしまい逃げるように立ち去る。しかし数日後、体育館に集まった全校生徒の前で現れたのは、あの時の青年だった──
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる