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聞かなかった事にしよう
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「調査って……一体どういう事をするんでしょう?」
少し不安になって私は殿下に質問した。
「そうだね。まずは、改めてあの場に居た生徒の当時の証言を纏める。
そしてあの光の中心地点に居たであろう人物を特定していく。」
「中心?」
「そう。あの光は円形に範囲を広げて森にまで届いたみたいだからね。」
やっぱりそう考えるんだ。だとすると何人くらいだろ?
私が気付いた時点ではあの光のドームはそんなに大きくはなかった。
私を含めてもせいぜい2~30人くらいかな。
一気に範囲が絞られる。
「歴史上、確認されている聖女は12人。
聖女がいる国はいずれも栄華を極めたという。
もし実在するならば何が何でも見つけなければならない。」
「そうなのですか?」
「当然だろう? そんな存在を他国に渡す訳にはいかない。」
うーん、そりゃ確かに貴重な人材だろうけど……。
でもあの光の中心に居たからって聖女と証明は出来ないんじゃないかな。
何か別の証明方法があるのかな?
そんな事を考えていたら殿下がとんでもない発言を続ける。
「その為にも王族に迎え入れる。私は未婚だから必然的に私の婚約者になる。」
「えっ?」
「歴代聖女は皆、その国の王族と婚姻関係にあるからね。」
……王族になると本当に結婚に愛情は必要ないんだなぁ。
怖い。そこまで権力が大事か。ちょっと引くわ。
「ま、そんな事とは関係なく僕自身は心から愛せると確信しているがね。」
「ずいぶん力強く言い切るのですね。」
クラーラ様が問いかける。
「当然さ。そもそも聖女とはどんな人間なのか個人的に興味が尽きない。
そんな人が伴侶だったらそれこそ大いに楽しい人生になりそうな気がしないか?」
それは愛情というより単純に未知への興味と探求心ではないだろうか。
何か殿下の恋愛観が大いにズレている様な気がする。
「君がそうだったとしても同じさ。いい夫婦になれると思わないかい?」
「まあ。殿下ったら、ご冗談ばかり。」
そう言ってクラーラ様はくすくす笑った。
クラーラ様に関しては初めから自分は聖女などではないと言い切っている。
その事は殿下も周りの方も皆了解済みの様だ。
何故かというとクラーラ様は殿下と幼馴染であり色々と分かっているかららしい。
殿下とは兄妹の様な関係と以前本人から伺っている。
「あの、そもそも聖女の定義とはどういった物なのでしょうか。」
「あれ? 知らないかい?」
馬鹿にした風ではなく本当に「え?」という感じで殿下が私に問う。
周囲の方の反応も同じだ。
もしや、ここの世界では常識なのだろうか。
「……まず、人並外れた回復魔法力を持つと云われているな。」
「はい。」
一つ目の条件をヴァルター様が教えてくれた。
ま、そりゃそうだよね。人を癒すっていうのは聖女の典型的なイメージだ。
加えて言うと美女というのもお約束だ。間違っても不細工はいない。
「次に、聖獣を従えると聞きますわね。
聖なる浄化された魔力に吸い寄せられて来るとか。」
「そうなんですか。」
二番目の条件をクラーラ様が続けた。
聖獣か……私の肩に乗っている卑しい大食い猫モドキと違うのは確実よね。
大体、リオとは学園への通学路で偶然に遭遇しただけだし。
「そして、銀髪。絵本でも見る様に歴代の聖女は皆銀髪だったと聞きますよ。
膨大な魔力が宿る証だと言われていますね。」
「なるほど……。」
三番目の条件をマルセル様が話す。
皆良く知っているなぁ。元のフリーダの記憶の中にそんな絵本あったかな。
そういえば私も白髪が目立ってきて気になっていたのよね……。
おそらく長く虐待を受けたせいで若白髪が出てきたのだと思う。
プラチナブロンドだったらいいのに。
「最後に、重要なのは前世の記憶とやらを持っているという事だな。
歴代の聖女は皆この世界の常識では測れない不思議な知識を持っていたらしい。」
「……。」
四番目の条件をヴォルフ様が云う。
へ、へえ~……そうなんだ、奇遇ねえ。
世界は広いし多分私以外にも転生者がいるんだろう。
私の様に上手く(?)惚けて社会に馴染んでいる筈だ。そうに違いない。
「三つはともかく、最後の条件は聖女かどうか決定的な証拠になりうるね。」
「……。」
最期の殿下の念押しする様な言葉に嫌な予感が胸に渦巻いて来た。
……うん。まぁ、聞かなかった事にしよう。
知らない。知らない。私は何も知らない。
「どうしたの? 何か顔色が悪いけど。」
そう言って殿下は私の顔を覗き込む様な表情を見せた。
とりあえず、無難に躱す事にする。
「イエ、ベツニ? ソンナコトナイデスワ。」
しまった、全然無難じゃない。緊張して棒読みになってしまった。
今は魔力よりも武力よりも演技力が欲しい。
マジで、切実に。
「そう? まあ聖女は必ず見つけるからね。」
「見つかるのをお祈り申し上げます。」
何故私に言うのか。
そして休憩の後で今日の生徒会業務が終わると私はそそくさと生徒会室を失礼した。
背中に誰かの視線を強く感じていたのは恐らく気のせいだろう。
少し不安になって私は殿下に質問した。
「そうだね。まずは、改めてあの場に居た生徒の当時の証言を纏める。
そしてあの光の中心地点に居たであろう人物を特定していく。」
「中心?」
「そう。あの光は円形に範囲を広げて森にまで届いたみたいだからね。」
やっぱりそう考えるんだ。だとすると何人くらいだろ?
私が気付いた時点ではあの光のドームはそんなに大きくはなかった。
私を含めてもせいぜい2~30人くらいかな。
一気に範囲が絞られる。
「歴史上、確認されている聖女は12人。
聖女がいる国はいずれも栄華を極めたという。
もし実在するならば何が何でも見つけなければならない。」
「そうなのですか?」
「当然だろう? そんな存在を他国に渡す訳にはいかない。」
うーん、そりゃ確かに貴重な人材だろうけど……。
でもあの光の中心に居たからって聖女と証明は出来ないんじゃないかな。
何か別の証明方法があるのかな?
そんな事を考えていたら殿下がとんでもない発言を続ける。
「その為にも王族に迎え入れる。私は未婚だから必然的に私の婚約者になる。」
「えっ?」
「歴代聖女は皆、その国の王族と婚姻関係にあるからね。」
……王族になると本当に結婚に愛情は必要ないんだなぁ。
怖い。そこまで権力が大事か。ちょっと引くわ。
「ま、そんな事とは関係なく僕自身は心から愛せると確信しているがね。」
「ずいぶん力強く言い切るのですね。」
クラーラ様が問いかける。
「当然さ。そもそも聖女とはどんな人間なのか個人的に興味が尽きない。
そんな人が伴侶だったらそれこそ大いに楽しい人生になりそうな気がしないか?」
それは愛情というより単純に未知への興味と探求心ではないだろうか。
何か殿下の恋愛観が大いにズレている様な気がする。
「君がそうだったとしても同じさ。いい夫婦になれると思わないかい?」
「まあ。殿下ったら、ご冗談ばかり。」
そう言ってクラーラ様はくすくす笑った。
クラーラ様に関しては初めから自分は聖女などではないと言い切っている。
その事は殿下も周りの方も皆了解済みの様だ。
何故かというとクラーラ様は殿下と幼馴染であり色々と分かっているかららしい。
殿下とは兄妹の様な関係と以前本人から伺っている。
「あの、そもそも聖女の定義とはどういった物なのでしょうか。」
「あれ? 知らないかい?」
馬鹿にした風ではなく本当に「え?」という感じで殿下が私に問う。
周囲の方の反応も同じだ。
もしや、ここの世界では常識なのだろうか。
「……まず、人並外れた回復魔法力を持つと云われているな。」
「はい。」
一つ目の条件をヴァルター様が教えてくれた。
ま、そりゃそうだよね。人を癒すっていうのは聖女の典型的なイメージだ。
加えて言うと美女というのもお約束だ。間違っても不細工はいない。
「次に、聖獣を従えると聞きますわね。
聖なる浄化された魔力に吸い寄せられて来るとか。」
「そうなんですか。」
二番目の条件をクラーラ様が続けた。
聖獣か……私の肩に乗っている卑しい大食い猫モドキと違うのは確実よね。
大体、リオとは学園への通学路で偶然に遭遇しただけだし。
「そして、銀髪。絵本でも見る様に歴代の聖女は皆銀髪だったと聞きますよ。
膨大な魔力が宿る証だと言われていますね。」
「なるほど……。」
三番目の条件をマルセル様が話す。
皆良く知っているなぁ。元のフリーダの記憶の中にそんな絵本あったかな。
そういえば私も白髪が目立ってきて気になっていたのよね……。
おそらく長く虐待を受けたせいで若白髪が出てきたのだと思う。
プラチナブロンドだったらいいのに。
「最後に、重要なのは前世の記憶とやらを持っているという事だな。
歴代の聖女は皆この世界の常識では測れない不思議な知識を持っていたらしい。」
「……。」
四番目の条件をヴォルフ様が云う。
へ、へえ~……そうなんだ、奇遇ねえ。
世界は広いし多分私以外にも転生者がいるんだろう。
私の様に上手く(?)惚けて社会に馴染んでいる筈だ。そうに違いない。
「三つはともかく、最後の条件は聖女かどうか決定的な証拠になりうるね。」
「……。」
最期の殿下の念押しする様な言葉に嫌な予感が胸に渦巻いて来た。
……うん。まぁ、聞かなかった事にしよう。
知らない。知らない。私は何も知らない。
「どうしたの? 何か顔色が悪いけど。」
そう言って殿下は私の顔を覗き込む様な表情を見せた。
とりあえず、無難に躱す事にする。
「イエ、ベツニ? ソンナコトナイデスワ。」
しまった、全然無難じゃない。緊張して棒読みになってしまった。
今は魔力よりも武力よりも演技力が欲しい。
マジで、切実に。
「そう? まあ聖女は必ず見つけるからね。」
「見つかるのをお祈り申し上げます。」
何故私に言うのか。
そして休憩の後で今日の生徒会業務が終わると私はそそくさと生徒会室を失礼した。
背中に誰かの視線を強く感じていたのは恐らく気のせいだろう。
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