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何ですって?

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 先日の狩猟祭は例年通り無事に終わ
企画運営した生徒会が責められるかと変な心配をしたがそんな事にはなっていない。
寧ろ例年以上の警備は手配されていたし何より明らかに異常な事があったからだ。
調査が色々される事になった。

 狩猟会では結果的に負傷者も死者も出なかった。
だからといって結果オーライでは済まない。
奇妙な事に土竜魔獣は待機所だけでなくほぼ同時に狩猟場にも出現していたらしい。
森から聞こえた悲鳴はその時の物だ。
 
 学園の生徒で対処可能な下級魔獣しか居ない筈の場所にあの土竜魔獣。
事前確認と当日警備は予防という面では役には立たなかった。
無論、魔獣の都合は人間の都合に関係ないが。

 この件については王都警備団で調査中である。
殿下付きで一部の人員が同行していたから情報伝達の必要もない。


 次に全ての負傷者を一度に治したあの光のドームについてだ。
あののおかげで想定外のトラブルにも怪我人・死人無しで済んだのだ。
なぜあの現象が起こったかを調べる事は重要だ。

 ただその件については一つの噂が流れていた。
曰く、あの場に「聖女」と呼ばれる存在が居たのではないかという噂である。

 私自身に関しては、はっきり言って分からない。
回復魔法を使ったかと言えば多分使った。
目の前でを確認したからだ。 
でもあの光に関しては別だ。

 あの時は気が付いた時点でそれなりの範囲の光のドームが既に出現していた。
今まであんな事を起こした事は無いし、その現象を起こした自覚も特に無い。
それにあの光の中には私だけでなく複数の令嬢が居た。
中心辺りに居た気はするけど本当にそうなのかすら判断できない。
真上から見下ろした訳じゃないし。

 もう一つ私が聖女ではないと思える事がある。イメージが合わないのだ。
私よりもクラーラ様とかそのご友人方の方が見た目ずっと聖女っぽい。
少なくとも正拳突きや回し蹴りを放つ存在ではないだろう。 

 いずれにしろ今、世間と学園は魔獣の件と聖女の出現?の話題で一色であった。
それは本日の生徒会も同様で休憩時間には自然とあの時の話題になった。


「俺も見たかったですよ。ディーツェ嬢の勇姿を。」


 ヴァルター様が私の話を振る。
あの時私が悪目立ちしたのは間違いない。


「……お恥ずかしい限りです。」

「恥ずかしがる事などありませんわ! あの時のフリーダ様の強さと云ったら!」

「あ、あの、クラーラ様、そのくらいに。」

「一撃で屠ったそうじゃないですか!」

「目撃者多数だから間違い無いだろうがディーツェ嬢がそれほどの格闘技術の持ち主だったとはな。」

 
 マルセル様だけでなくヴォルフ様まで話を繋ぐ。
困っている私を見かねたのか殿下が話題転換をしてくれた。


「ところでディーツェ嬢、妹君の体調は?」 

「問題なさそうです、殿下。お陰様で。」


 実は土竜魔獣に飛ばされたもう一人の令嬢はドロテアだった。
あの時は人混みに隠れて気が付かなかったが。


「それについて奇妙な噂があるんだが。」

「何でしょう?」

「あまりいい言い方ではないが……。
 君の妹君とブリット嬢はという噂だ。」


 ブリット嬢というのは土竜魔獣にお腹を噛まれた方だ。
あの後、しばらく休んだそうだが今は何事も無かったかの様に学園に来ている。

 そしてドロテアがあの時一度死んだという噂は私も聞いた。
首が折れて頭蓋から○○○が出ていたなんて話もあるくらいだ。
しかし見間違いかの様にとにかく生き返った。
噂を信じた者もいて妹はゾンビの様に周囲に見られる事になってしまった。

 死んだ方が良かったとは思わないが元のフリーダの事を考えると正直同情心は
湧かない。
魔獣が元のフリーダに代わって恨みを果たした様なものだ。
他人に頭の中身を見られたゾンビ令嬢という綽名はある意味悲惨だ。

 いずれにしろ私達姉妹は多くの生徒から奇異の目で見られる事になった様だ。
無論全然嬉しくない。


「その様な噂を信じるので?」

「いや。現実に二人共生きているしね。死んだ人間が生きている筈がない。」

「そうですね。」

「しかし、一つだけあるんだ。その可能性が。」

「えっ?」

「聖女の件ですね?」


 ヴォルフ様が殿下に答える。


「そう。聖女が直接回復させた場合だ。
 と言われているからね。」

「……。」


 だとしたら聖女が傍に居る限り外的な原因での命の心配は無いという事か。
まるで無限ベ○マズン、いや無限ザ○リクか? そりゃ価値があるかもね。
戦争中なら特に。
フリーダの記憶を探っても聖女なんて漠然としたイメージとしての知識しかない。
おとぎ話の話じゃないのかなぁ。


「まあ、可能性としては薄いかもしれないがゼロではない。
 この国にも過去に3人実在したと言われているしね。だから調査する事になった。
 。」
 
はい? 何ですって?
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