30 / 150
番外編、〇〇とゆい
あめとゆい
しおりを挟む
※ 番外編、○○とゆい のお話です。
____________
「まま~あしたあめ~?」
夕飯を作る零に、ゆいはにこにこで話しかける。
「ん~?明日は晴れだね~、おひさまぽかぽかだよ~」
油跳ねたら危ないからあっちで遊んでてね、と零。
ゆいは明日の天気を聞くと、しょんぼりとしてリビングに戻っていった。
「さ、お夕飯もできたしおむつ替えようね」
零はゆいとりおとももたのいるリビングに戻り、りおの服を脱がせておむつを替える。
「あれ、ゆいどうしたの?お外またねこちゃんいた?」
ゆいは愛猫のももたと一緒に窓ガラスに張り付いてなにやら外の様子を窺っている。
「ちがう。あめふらないかなってみてる」
ゆいが真剣に言うものだから、零はついつい笑ってしまう。
「もう!ままわらわらないで!」
まだ覚束無い言語で怒るゆいがかわいくて、また笑ってしまう。
「ごめんごめん、そんなにあの傘が使いたいんだね」
ゆいはそれを聞くと、うん!と言って玄関から傘を取ってきた。
小さなその傘は、ゆいがもうお兄さんになったから、と初めての傘として圭吾がプレゼントしたものだ。
ゆいはこれまでレインコートを着たり、零や圭吾の傘に一緒に入っていたのだ。
「かえるさんの傘かわいいね。はやく使いたいね」
零が褒めると、ゆいは嬉しそうに傘を広げる。
とはいえ傘は外用なので、一度使ったら家にはもう持ち込まない、と圭吾と約束している。
部屋で広げられるのは、初めて使うその日までだ。
「他のところにぶつけないようにね、壊れちゃうからね」
零に言われながらも、ゆいは傘をくるくると回して嬉しそうだ。
「はやくあめふらないかな~」
______ 数日後 ______
「ほんとにさしていくの?」
零が聞くと、ゆいは自信満々に傘を広げた。
「ばーばもおひさまぽかぽかのひにかささしてたよ!」
それは日傘だよ…と思ったが、本人がしたいことなのでいいとしよう。
「でも、もうお部屋で広げられなくなるけど、いいの?ぱぱと約束したんでしょ?」
それを聞いたゆいは、ハッとしてままの顔を見た。
どうやら、約束のことを忘れていたようだ。
「どうしよう…」
ゆいは困った顔をしたので、零はりおを抱えたままゆいの目線までしゃがんだ。
「ゆいが使いたいなら、いいよ。でもぱぱとのお約束は守らないといけないから、まだお部屋で広げたかったら今日はやめにしよう?」
ゆいは数十秒迷って、そして傘を閉じた。
「ゆいきょうはやめる…」
ゆいは傘をしまって、ままの手を握った。
隣を歩くゆいがあまりにもしょんぼりとしていたので、帰りは馴染みのパン屋さんでメロンパンでも買ってあげよう。
ゆいが傘を使える日は、一体いつになるのだろうか…
______________
____________
「まま~あしたあめ~?」
夕飯を作る零に、ゆいはにこにこで話しかける。
「ん~?明日は晴れだね~、おひさまぽかぽかだよ~」
油跳ねたら危ないからあっちで遊んでてね、と零。
ゆいは明日の天気を聞くと、しょんぼりとしてリビングに戻っていった。
「さ、お夕飯もできたしおむつ替えようね」
零はゆいとりおとももたのいるリビングに戻り、りおの服を脱がせておむつを替える。
「あれ、ゆいどうしたの?お外またねこちゃんいた?」
ゆいは愛猫のももたと一緒に窓ガラスに張り付いてなにやら外の様子を窺っている。
「ちがう。あめふらないかなってみてる」
ゆいが真剣に言うものだから、零はついつい笑ってしまう。
「もう!ままわらわらないで!」
まだ覚束無い言語で怒るゆいがかわいくて、また笑ってしまう。
「ごめんごめん、そんなにあの傘が使いたいんだね」
ゆいはそれを聞くと、うん!と言って玄関から傘を取ってきた。
小さなその傘は、ゆいがもうお兄さんになったから、と初めての傘として圭吾がプレゼントしたものだ。
ゆいはこれまでレインコートを着たり、零や圭吾の傘に一緒に入っていたのだ。
「かえるさんの傘かわいいね。はやく使いたいね」
零が褒めると、ゆいは嬉しそうに傘を広げる。
とはいえ傘は外用なので、一度使ったら家にはもう持ち込まない、と圭吾と約束している。
部屋で広げられるのは、初めて使うその日までだ。
「他のところにぶつけないようにね、壊れちゃうからね」
零に言われながらも、ゆいは傘をくるくると回して嬉しそうだ。
「はやくあめふらないかな~」
______ 数日後 ______
「ほんとにさしていくの?」
零が聞くと、ゆいは自信満々に傘を広げた。
「ばーばもおひさまぽかぽかのひにかささしてたよ!」
それは日傘だよ…と思ったが、本人がしたいことなのでいいとしよう。
「でも、もうお部屋で広げられなくなるけど、いいの?ぱぱと約束したんでしょ?」
それを聞いたゆいは、ハッとしてままの顔を見た。
どうやら、約束のことを忘れていたようだ。
「どうしよう…」
ゆいは困った顔をしたので、零はりおを抱えたままゆいの目線までしゃがんだ。
「ゆいが使いたいなら、いいよ。でもぱぱとのお約束は守らないといけないから、まだお部屋で広げたかったら今日はやめにしよう?」
ゆいは数十秒迷って、そして傘を閉じた。
「ゆいきょうはやめる…」
ゆいは傘をしまって、ままの手を握った。
隣を歩くゆいがあまりにもしょんぼりとしていたので、帰りは馴染みのパン屋さんでメロンパンでも買ってあげよう。
ゆいが傘を使える日は、一体いつになるのだろうか…
______________
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
303
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる