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イダラマの同志編
1509.似て非なる思想と意思、故に下された結論
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「物事には順序が存在する。確かにそれは貴方の言う通りだろうな」
「……」
コウエンの言葉を肯定するような発言を行ったイダラマだが、コウエンは直ぐには頷かずにイダラマの方に視線を向けたまま無言を貫く。
ここまで異常な程に我を通して生きてきたイダラマが、少しばかり諭されたからといって素直に言う事を聞くとは思えなかったからである。
そしてイダラマはその続きを口にし始める。
「当初に抱いた『志』に重きをおいて、苦難と真っ向から向き合いながらも上手く現状を維持し続けて、それでもどうにもならない事に対しては納得の行く範囲で妥協を行い、それでも諦める事なく最初に抱いた『志』に向けて準備を行う。やはり貴方は私と同じ見解で物事を見る事が出来る対等の立場の『同志』になり得た存在だったようだ」
「むっ……!」
イダラマはコウエンを見る目が、少しばかり優しいモノになったかと思うと満足そうに頷く。
そして何かを決心したような強い瞳へと変貌をさせ始めるのだった。
「貴方の考え方は確かに理解が出来るし納得も出来る。貴方は『妖魔山』で目的を抱くに至り、そこから数十年もの間に渡って辛抱を行い続けて、ようやくその大望を叶えるに至るところまで迫る事が出来た。だからこそ、私は今回貴方を『妖魔山』に誘おうと思えた。何故なら私と貴方の考え方は過程は違えども結論は同義のモノになり得ると理解したからだ」
イダラマにしては珍しく真剣な目をしながらコウエンに真意を語りかけ続ける。
そこにはあまり他者に興味を感じない『エヴィ』でさえ、イダラマの相手に聞いてもらいたいという心の熱意が伝わってくる程であった。
「だが、それでも私は貴方のように大望をなす為に数十年も待ってはいられない。もし貴方がその『志』を抱き続けて尚、今も私が目指した頃の『コウエン』殿の強さのままであったならば、私は納得をして『サクジ』殿達と『同志』を救出する為に行動を共にしたかもしれなかった。しかし今の貴方は全盛期の頃の強さを取り戻せない程に老いてしまっている。技術自体は全盛期の頃よりも上回っているだろうし、齢を重ねた事でその『技』自体にも磨きがかかっているだろう」
そこでイダラマは一度言葉を切って、大きく息を吸い込んだ。
――それは、次の吐き出す言葉の中に、印象をより一層強くさせようとする狙いが含まれているようであった。
「それでもその『技』自体を繰り出す『体力』が衰えている。それはつまり『志』を継続させる為に必要な『体力』そのものが失われてしまっている事に他ならないのだ。コウエン殿、それは貴方自身も存外『後悔』している事なのではないのか?」
「!」
先程イラダマに諭すような言葉を吐いたコウエンだが、今はそのイダラマの言葉に衝撃を受けるように絶句するのであった。
「貴方は幸運の女神には前髪しかないという諺を知っているか? 確かに物事には順序があり、大望を叶える為には必要な経路というモノはあるだろうが、ここぞというところで妥協を行っていては、本当に必要なモノは手に入らないのだ! 全盛期の頃の貴方のままで、今この時に私の前で現れていたならば、私は唯一貴方だけを尊敬し、貴方に付き従ってみせていただろう! だが、そんな見るにも堪えない情けない姿で『力』を失った貴方に用はない! この場で私が直々に『妖魔召士』の時代を変えてみせよう!」
イダラマはそう言い放った後、自身に見る者が可視化が出来る程の膨大な『魔力』を纏わせ始めるのだった。
どうやら今のイダラマが纏っている『魔力』こそが、今の彼が持ち得る『魔力』の最大数なのであろう。
あの『蔵屋敷』で見せた時の彼の『魔力』とは、もはや比較にもならない程の『魔力』であった――。
「ふんっ、確かに全盛期の頃に比べれば、ワシの『体力』は衰えているだろう。じゃが、その分『魔力』の使い方はまだまだお主ら程度の半人前には劣っておらぬわ!」
啖呵を切るように叫んだコウエンもまた、大魔王エヴィが目を見開く程の『魔力』を纏わせ始める。
しかしこの『妖魔山』の麓には既に『イダラマ』が魔力の感知を妨げる『阻害系』の『結界』が施されている為、この場に居る者達以外には、この恐ろしい『魔力』を感じ取れる者達は、誰一人として居なかった。
……
……
……
「……」
コウエンの言葉を肯定するような発言を行ったイダラマだが、コウエンは直ぐには頷かずにイダラマの方に視線を向けたまま無言を貫く。
ここまで異常な程に我を通して生きてきたイダラマが、少しばかり諭されたからといって素直に言う事を聞くとは思えなかったからである。
そしてイダラマはその続きを口にし始める。
「当初に抱いた『志』に重きをおいて、苦難と真っ向から向き合いながらも上手く現状を維持し続けて、それでもどうにもならない事に対しては納得の行く範囲で妥協を行い、それでも諦める事なく最初に抱いた『志』に向けて準備を行う。やはり貴方は私と同じ見解で物事を見る事が出来る対等の立場の『同志』になり得た存在だったようだ」
「むっ……!」
イダラマはコウエンを見る目が、少しばかり優しいモノになったかと思うと満足そうに頷く。
そして何かを決心したような強い瞳へと変貌をさせ始めるのだった。
「貴方の考え方は確かに理解が出来るし納得も出来る。貴方は『妖魔山』で目的を抱くに至り、そこから数十年もの間に渡って辛抱を行い続けて、ようやくその大望を叶えるに至るところまで迫る事が出来た。だからこそ、私は今回貴方を『妖魔山』に誘おうと思えた。何故なら私と貴方の考え方は過程は違えども結論は同義のモノになり得ると理解したからだ」
イダラマにしては珍しく真剣な目をしながらコウエンに真意を語りかけ続ける。
そこにはあまり他者に興味を感じない『エヴィ』でさえ、イダラマの相手に聞いてもらいたいという心の熱意が伝わってくる程であった。
「だが、それでも私は貴方のように大望をなす為に数十年も待ってはいられない。もし貴方がその『志』を抱き続けて尚、今も私が目指した頃の『コウエン』殿の強さのままであったならば、私は納得をして『サクジ』殿達と『同志』を救出する為に行動を共にしたかもしれなかった。しかし今の貴方は全盛期の頃の強さを取り戻せない程に老いてしまっている。技術自体は全盛期の頃よりも上回っているだろうし、齢を重ねた事でその『技』自体にも磨きがかかっているだろう」
そこでイダラマは一度言葉を切って、大きく息を吸い込んだ。
――それは、次の吐き出す言葉の中に、印象をより一層強くさせようとする狙いが含まれているようであった。
「それでもその『技』自体を繰り出す『体力』が衰えている。それはつまり『志』を継続させる為に必要な『体力』そのものが失われてしまっている事に他ならないのだ。コウエン殿、それは貴方自身も存外『後悔』している事なのではないのか?」
「!」
先程イラダマに諭すような言葉を吐いたコウエンだが、今はそのイダラマの言葉に衝撃を受けるように絶句するのであった。
「貴方は幸運の女神には前髪しかないという諺を知っているか? 確かに物事には順序があり、大望を叶える為には必要な経路というモノはあるだろうが、ここぞというところで妥協を行っていては、本当に必要なモノは手に入らないのだ! 全盛期の頃の貴方のままで、今この時に私の前で現れていたならば、私は唯一貴方だけを尊敬し、貴方に付き従ってみせていただろう! だが、そんな見るにも堪えない情けない姿で『力』を失った貴方に用はない! この場で私が直々に『妖魔召士』の時代を変えてみせよう!」
イダラマはそう言い放った後、自身に見る者が可視化が出来る程の膨大な『魔力』を纏わせ始めるのだった。
どうやら今のイダラマが纏っている『魔力』こそが、今の彼が持ち得る『魔力』の最大数なのであろう。
あの『蔵屋敷』で見せた時の彼の『魔力』とは、もはや比較にもならない程の『魔力』であった――。
「ふんっ、確かに全盛期の頃に比べれば、ワシの『体力』は衰えているだろう。じゃが、その分『魔力』の使い方はまだまだお主ら程度の半人前には劣っておらぬわ!」
啖呵を切るように叫んだコウエンもまた、大魔王エヴィが目を見開く程の『魔力』を纏わせ始める。
しかしこの『妖魔山』の麓には既に『イダラマ』が魔力の感知を妨げる『阻害系』の『結界』が施されている為、この場に居る者達以外には、この恐ろしい『魔力』を感じ取れる者達は、誰一人として居なかった。
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