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イダラマの同志編
1503.再びコウヒョウに戻るコウエン
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「くっ……! ま、待て!」
「おい! このまま隊長や仲間を倒れたままにして追いかける気か!」
「し、しかし、さっきの『妖魔召士』の向かっているところは『妖魔山』だぞ! 麓は『結界』が張られているが、それも先程の『妖狐』を使役出来る程の『妖魔召士』であれば、下手をしたら『結界』ごと破壊して『妖魔山』から『妖魔』をおびき出されるかもしれない!!」
これまではその代の『妖魔召士』達が山を管理していた為、都度『結界』が施されて今も『妖魔山』の麓には、妖魔達が山から下りてこないように『結界』が施されている。
しかし先程の『妖狐』を『式』にしていた『妖魔召士』であれば、下手をすれば『結界』を張った『妖魔召士』よりも魔力が高いかもしれない。
それ程までに先程の予備群達を蹴散らして見せた『妖狐』は強かったと彼らに印象付けたようである。
「ぐっ……! お、お前達、奴らを追いかけるのはやめておけ……!」
「「た、隊長!?」」
その場に居る『予備群』達が追いかけるべきかどうか、悩みを見せていると意識を取り戻した『予備群』の隊長が口を開くのであった。
「あ、あの『妖狐』は……、俺達が束になっても絶対に勝てない。そ、それよりも直ぐに本部に通達をしろ!」
「わ、分かりまし……」
「待て、その必要はないぞ」
隊長の言葉に護衛隊の部下の『予備群』が返事をしようとしたが、それを遮る言葉が後ろから聞こえてくるのであった。
――その男は体格が大きく長い髭が印象的で、赤い狩衣を着た妖魔召士の『コウエン』であった。
どうやらコウエンは先程町の外で出会った『予備群』から事情を聞いて、数人の『妖魔召士』を引き連れて戻ってきたようであった。
「あ、あんた達は……?」
「ちょ、ちょっと待て! こやつらも『妖魔召士』だぞ! さ、さっきの奴の仲間かもしれない!」
コウエンを見た数人の予備群は直ぐに刀を構え始めるが、それを見たコウエンは大きく溜息を吐いた。
コウエンを『妖狐』を使役した妖魔召士の仲間だと判断した『予備群』達は、その数を活かすようにしてコウエンを取り囲み始めたが、そこで先程町の外へと飛び出していった『予備群』の男がこの場にようやく追いつくと、慌てて口を開くのであった。
「ま、待たれよ! この御方は敵ではない! 旅籠町に応援に向かう道中で偶然に出会った妖魔召士の方々なのだ! 急ぎであるところに無理に事情を話して『妖狐』を止めてもらう為に来て頂いたのだ!」
「そ、そうなのか……? し、しかしそんな偶然が本当に……」
「お主ら、そんな悠長に話をしていていいのか? せっかくこのワシが止めてやろうと戻ってきたのだ。さっさとその『妖狐』が居る場所に案内せい!」
彼の言葉を聞いて訝しそうにする護衛隊の予備群の仲間達だったが、言い終わる前にコウエンの怒号を聞いて慌て始めるのだった。
「は、はい! ど、どうやら『妖狐』は野良ではなく、貴方と同じ赤い狩衣を着た『妖魔召士』が使役したようでして、先程隊長たちを襲撃した後、何やら『妖魔山』の管理は『妖魔召士』が行う必要があるなどと口にして『妖魔山』の麓の方へと向かっていかれました!」
予備群の言葉を聴いた『コウエン』は眉を寄せ始める。
(その『妖魔召士』は間違いなくワシらの『同志』であろうが、何故そんな真似をしたのだ?)
コウエンは右手で髭をイジりながら胸中でそう呟くと、共に連れてきた同志の者達の顔を見る。
「こ、コウエン殿! その『妖魔召士』とは、厠へ行くと言って戻って来なかった『同志』で間違いないでしょう。あの者は確かに『妖狐』を手懐けて『式』にしていましたし……」
「うむ、分かっておる。ひとまずワシらも『妖魔山』へ向かうとしよう。どうせ『サクジ』達や他の者達も『サカダイ』付近の『旅籠町』で逗留する筈だ。その妖魔召士をさっさと連れ戻して合流を果たそうぞ」
「はい!」
このコウエンが連れてきた『同志』は、このコウヒョウの町を出る時に『同志』が戻ってきていないから、待って欲しいと告げていた『妖魔召士』の男であり、追いかけてきた予備群の話を聞いて、その時にも『同志』かもしれないとコウエンを説得して、この場についてきたのであった。
「その『妖魔召士』はもしかすると知り合いかもしれぬ。ワシらがお主らの代わりに連れ戻してきてやるから、お主らは大人しく負傷者の傷を見ていてくれ」
コウエンは『同志』と話を終えた後、直ぐにこの場に居る複数の『コウヒョウ』野町の護衛隊である『予備群』達にそう告げるのであった。
「し、しかし……!」
「分からぬか? 先程そこに倒れているお主らの隊長とやらも口にしていただろう? この場に現れた『妖狐』とやらは、お主らでは手に負えぬと申しているのだ」
――そう告げた次の瞬間、コウエンはこの場で膨大な魔力を纏い始める。
「「うっ……!!」」
まだ貴方がたを信用出来ないと口にしようとした予備群やその周りに居る護衛隊の者達は、全員が足を竦ませて恐ろしい威圧を放つコウエンの前で口を閉ざすのであった。
「分かったならば、さっさと怪我人を連れてお主らの屯所へ戻れ! 後はワシらに任せよ」
「お、お前達……! その御方の言う通りにせよ!」
「「た、隊長!?」」
部下に肩を借りて立ち上がっていた隊長は、悔しそうにしている部下の予備群達にそう言い放つのだった。
「この御方の言う通り、あの『妖狐』は我々の手に負える相手ではなかった。俺達の役目は『コウヒョウ』の町を守る事だ! このままその任務を無視して『妖魔山』へ向かったところで全滅だ。それよりも俺達にはやるべき事があるだろう!」
「た、隊長……! わ、分かりました」
『コウヒョウ』の町の護衛隊の隊長である『予備群』の男がそう言うと、悔しそうにしながらも他の者達も頷くのであった。
「まことに情けない話だが、後の事は貴方にお任せする……」
「うむ。これ以上はこの町に被害が出ぬように『妖狐』を何とかしてみせようぞ。お主らも立派であった! 町民の事は任せたぞ!」
コウエンは予備群の男にそう言い残すと、同志の『妖魔召士』達を連れて『妖魔山』の方へと駆けて行くのであった。
……
……
……
「おい! このまま隊長や仲間を倒れたままにして追いかける気か!」
「し、しかし、さっきの『妖魔召士』の向かっているところは『妖魔山』だぞ! 麓は『結界』が張られているが、それも先程の『妖狐』を使役出来る程の『妖魔召士』であれば、下手をしたら『結界』ごと破壊して『妖魔山』から『妖魔』をおびき出されるかもしれない!!」
これまではその代の『妖魔召士』達が山を管理していた為、都度『結界』が施されて今も『妖魔山』の麓には、妖魔達が山から下りてこないように『結界』が施されている。
しかし先程の『妖狐』を『式』にしていた『妖魔召士』であれば、下手をすれば『結界』を張った『妖魔召士』よりも魔力が高いかもしれない。
それ程までに先程の予備群達を蹴散らして見せた『妖狐』は強かったと彼らに印象付けたようである。
「ぐっ……! お、お前達、奴らを追いかけるのはやめておけ……!」
「「た、隊長!?」」
その場に居る『予備群』達が追いかけるべきかどうか、悩みを見せていると意識を取り戻した『予備群』の隊長が口を開くのであった。
「あ、あの『妖狐』は……、俺達が束になっても絶対に勝てない。そ、それよりも直ぐに本部に通達をしろ!」
「わ、分かりまし……」
「待て、その必要はないぞ」
隊長の言葉に護衛隊の部下の『予備群』が返事をしようとしたが、それを遮る言葉が後ろから聞こえてくるのであった。
――その男は体格が大きく長い髭が印象的で、赤い狩衣を着た妖魔召士の『コウエン』であった。
どうやらコウエンは先程町の外で出会った『予備群』から事情を聞いて、数人の『妖魔召士』を引き連れて戻ってきたようであった。
「あ、あんた達は……?」
「ちょ、ちょっと待て! こやつらも『妖魔召士』だぞ! さ、さっきの奴の仲間かもしれない!」
コウエンを見た数人の予備群は直ぐに刀を構え始めるが、それを見たコウエンは大きく溜息を吐いた。
コウエンを『妖狐』を使役した妖魔召士の仲間だと判断した『予備群』達は、その数を活かすようにしてコウエンを取り囲み始めたが、そこで先程町の外へと飛び出していった『予備群』の男がこの場にようやく追いつくと、慌てて口を開くのであった。
「ま、待たれよ! この御方は敵ではない! 旅籠町に応援に向かう道中で偶然に出会った妖魔召士の方々なのだ! 急ぎであるところに無理に事情を話して『妖狐』を止めてもらう為に来て頂いたのだ!」
「そ、そうなのか……? し、しかしそんな偶然が本当に……」
「お主ら、そんな悠長に話をしていていいのか? せっかくこのワシが止めてやろうと戻ってきたのだ。さっさとその『妖狐』が居る場所に案内せい!」
彼の言葉を聞いて訝しそうにする護衛隊の予備群の仲間達だったが、言い終わる前にコウエンの怒号を聞いて慌て始めるのだった。
「は、はい! ど、どうやら『妖狐』は野良ではなく、貴方と同じ赤い狩衣を着た『妖魔召士』が使役したようでして、先程隊長たちを襲撃した後、何やら『妖魔山』の管理は『妖魔召士』が行う必要があるなどと口にして『妖魔山』の麓の方へと向かっていかれました!」
予備群の言葉を聴いた『コウエン』は眉を寄せ始める。
(その『妖魔召士』は間違いなくワシらの『同志』であろうが、何故そんな真似をしたのだ?)
コウエンは右手で髭をイジりながら胸中でそう呟くと、共に連れてきた同志の者達の顔を見る。
「こ、コウエン殿! その『妖魔召士』とは、厠へ行くと言って戻って来なかった『同志』で間違いないでしょう。あの者は確かに『妖狐』を手懐けて『式』にしていましたし……」
「うむ、分かっておる。ひとまずワシらも『妖魔山』へ向かうとしよう。どうせ『サクジ』達や他の者達も『サカダイ』付近の『旅籠町』で逗留する筈だ。その妖魔召士をさっさと連れ戻して合流を果たそうぞ」
「はい!」
このコウエンが連れてきた『同志』は、このコウヒョウの町を出る時に『同志』が戻ってきていないから、待って欲しいと告げていた『妖魔召士』の男であり、追いかけてきた予備群の話を聞いて、その時にも『同志』かもしれないとコウエンを説得して、この場についてきたのであった。
「その『妖魔召士』はもしかすると知り合いかもしれぬ。ワシらがお主らの代わりに連れ戻してきてやるから、お主らは大人しく負傷者の傷を見ていてくれ」
コウエンは『同志』と話を終えた後、直ぐにこの場に居る複数の『コウヒョウ』野町の護衛隊である『予備群』達にそう告げるのであった。
「し、しかし……!」
「分からぬか? 先程そこに倒れているお主らの隊長とやらも口にしていただろう? この場に現れた『妖狐』とやらは、お主らでは手に負えぬと申しているのだ」
――そう告げた次の瞬間、コウエンはこの場で膨大な魔力を纏い始める。
「「うっ……!!」」
まだ貴方がたを信用出来ないと口にしようとした予備群やその周りに居る護衛隊の者達は、全員が足を竦ませて恐ろしい威圧を放つコウエンの前で口を閉ざすのであった。
「分かったならば、さっさと怪我人を連れてお主らの屯所へ戻れ! 後はワシらに任せよ」
「お、お前達……! その御方の言う通りにせよ!」
「「た、隊長!?」」
部下に肩を借りて立ち上がっていた隊長は、悔しそうにしている部下の予備群達にそう言い放つのだった。
「この御方の言う通り、あの『妖狐』は我々の手に負える相手ではなかった。俺達の役目は『コウヒョウ』の町を守る事だ! このままその任務を無視して『妖魔山』へ向かったところで全滅だ。それよりも俺達にはやるべき事があるだろう!」
「た、隊長……! わ、分かりました」
『コウヒョウ』の町の護衛隊の隊長である『予備群』の男がそう言うと、悔しそうにしながらも他の者達も頷くのであった。
「まことに情けない話だが、後の事は貴方にお任せする……」
「うむ。これ以上はこの町に被害が出ぬように『妖狐』を何とかしてみせようぞ。お主らも立派であった! 町民の事は任せたぞ!」
コウエンは予備群の男にそう言い残すと、同志の『妖魔召士』達を連れて『妖魔山』の方へと駆けて行くのであった。
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