1,141 / 1,906
サカダイ編
1124.新たな発見と、伴う高揚感
しおりを挟む
どうやらソフィを一筋縄でいく相手ではないと理解したナギリは、これまでの先入観を全て捨てて相手をランク『4.5』以上ではなく『5』以上の存在と上方修正を行い、一人で鍛錬を行っていた時と同じように瞑想をするように目を瞑りながら呼吸を整えていく。
遠目からそれを見たソフィは、隙だらけの今のナギリを攻め立てるような、そのような無粋な真似をせずに、何か新たな事をしようとしているナギリを見て嬉しそうに顔を綻ばせながら何をしてくれるのだろうかと期待に胸を膨らませ始める。
(クックック……! さぁナギリとやら、我がお主を一目見た時に感じた何かを我の見立てを越えるような、そんな力を見せてもらおうか!)
ソフィ自身何故ナギリに対して特別なモノを感じたのかは分からない。単なる強さだけならばナギリよりも、それこそ同じ『妖魔退魔師』の『スオウ』の方が遥かに上だろう。しかし『スオウ』を見た時にソフィはその特別な感覚は得られなかった。
これまでも『アレルバレル』の世界でいえば『エルシス』や『九大魔王』に『ヌー』。そして『リラリオ』の世界でいえば『ラルフ』や『リディア』に『レア』にも同じ感情を抱いた。
しかし大魔王『ダルダオス』に『ミラ』といった既にある程度完成されている者に対しては、ソフィはその特別な感情を抱く事はなかった。つまり現状での強さに対してソフィの本能が、反応しているわけではないのだろう。
この事に関してはソフィ自身もよく分かっていない為、この特別な感情を抱く気になる者に対しては、研鑽を重要だと信じて疑わず、現状で満足せずに更に上を目指そうとする気概を持つ者達に、興味を持っている証なのだろうと、ソフィは勝手にそう思い込むようにしている。
――ある意味でソフィは無意識に、その本質を本能で見極めているのかもしれない。
だからこそ『九大魔王』や『ラルフ』達を傍に置いて、強くなるようにと期待して待っている。そしてこの特別な感情を抱く新たな者が、この目の前に居るナギリなのであった。
ソフィはこのナギリに対して既に『代替身体』の『レキ』と同じような強さを持ちながら、自分自身がまだよく分かっていないこの感情を唆らせる彼に、そう思えた自分の本能を信じて、大きな期待を寄せていたのであった。
「出し惜しみをする相手ではない、という事だな」
自分に期待を寄せて来るソフィに対して、どうやら遠慮の要らない相手だとナギリは判断したようで、ソフィを強者と認めるに至った。これより先は本当にランク『5』以上の妖魔を相手にする時と同じように全力でぶつかってみようと、これまで抱いていた考えを全て破棄し直すナギリであった。
そしてその決断を下したナギリの周囲に、ソフィの周囲を覆っているのと同じ青のオーラが纏われ始めていく。その青は先程ナギリが瞑想を行っていた時の『青』とは明確に違う青色で『瑠璃』と呼ぶに相応しくとてもくっきりとした濃い『青色』であった。
(我の使う青とまたヌーやレキの放っていた青とも違う『三色併用』を体現する為の模る『青』ではないのか……。それとも違う何かの力の影響?)
オーラという力は似て非なる色であっても行き着く到達点は『三色併用』のオーラなのだと、長い年月を掛けて意識付けて来たソフィ。その終着点が『三色併用』なのであってもその過程となる力の影響を理解していなかった。
今回ノックスの世界へ来た事でヌーが『三色併用』に目覚める事となったが、その到達点である三色併用へ向かうまでの過程。青のオーラや紅のオーラが持つ色に明確な意味があり、防御力や攻撃力の上昇その効力を理解するに至ったソフィであったが、更に今ナギリのオーラを見た事でその過程となるオーラの色にも少しだけ違いがあるという新たな発見につながったソフィであった。
まだナギリの青の濃さが目立つ『瑠璃色』と、ソフィやヌー達の纏う鮮明な青の『天色』。そして多くの魔族達が体現する通常の『淡い青』と呼ばれるオーラ『浅葱色』。
それぞれが同じ『青』で表されるオーラの種類であるが、もしかするとこの防御力を高める青のオーラにも色の濃さや薄さによっては、練度と考える概念と同じく何か意味合いが込められているのかもしれないと、ソフィはそこまで思考が進んでいくが、同時にその色を示し始めたナギリを見て、一体どういう変化を表してどういう攻撃を仕掛けて来るのだろうかと『第二形態』となっている今の彼が高揚感に包まれながら大いなる期待に胸を膨らませ始めるのであった。
遠目からそれを見たソフィは、隙だらけの今のナギリを攻め立てるような、そのような無粋な真似をせずに、何か新たな事をしようとしているナギリを見て嬉しそうに顔を綻ばせながら何をしてくれるのだろうかと期待に胸を膨らませ始める。
(クックック……! さぁナギリとやら、我がお主を一目見た時に感じた何かを我の見立てを越えるような、そんな力を見せてもらおうか!)
ソフィ自身何故ナギリに対して特別なモノを感じたのかは分からない。単なる強さだけならばナギリよりも、それこそ同じ『妖魔退魔師』の『スオウ』の方が遥かに上だろう。しかし『スオウ』を見た時にソフィはその特別な感覚は得られなかった。
これまでも『アレルバレル』の世界でいえば『エルシス』や『九大魔王』に『ヌー』。そして『リラリオ』の世界でいえば『ラルフ』や『リディア』に『レア』にも同じ感情を抱いた。
しかし大魔王『ダルダオス』に『ミラ』といった既にある程度完成されている者に対しては、ソフィはその特別な感情を抱く事はなかった。つまり現状での強さに対してソフィの本能が、反応しているわけではないのだろう。
この事に関してはソフィ自身もよく分かっていない為、この特別な感情を抱く気になる者に対しては、研鑽を重要だと信じて疑わず、現状で満足せずに更に上を目指そうとする気概を持つ者達に、興味を持っている証なのだろうと、ソフィは勝手にそう思い込むようにしている。
――ある意味でソフィは無意識に、その本質を本能で見極めているのかもしれない。
だからこそ『九大魔王』や『ラルフ』達を傍に置いて、強くなるようにと期待して待っている。そしてこの特別な感情を抱く新たな者が、この目の前に居るナギリなのであった。
ソフィはこのナギリに対して既に『代替身体』の『レキ』と同じような強さを持ちながら、自分自身がまだよく分かっていないこの感情を唆らせる彼に、そう思えた自分の本能を信じて、大きな期待を寄せていたのであった。
「出し惜しみをする相手ではない、という事だな」
自分に期待を寄せて来るソフィに対して、どうやら遠慮の要らない相手だとナギリは判断したようで、ソフィを強者と認めるに至った。これより先は本当にランク『5』以上の妖魔を相手にする時と同じように全力でぶつかってみようと、これまで抱いていた考えを全て破棄し直すナギリであった。
そしてその決断を下したナギリの周囲に、ソフィの周囲を覆っているのと同じ青のオーラが纏われ始めていく。その青は先程ナギリが瞑想を行っていた時の『青』とは明確に違う青色で『瑠璃』と呼ぶに相応しくとてもくっきりとした濃い『青色』であった。
(我の使う青とまたヌーやレキの放っていた青とも違う『三色併用』を体現する為の模る『青』ではないのか……。それとも違う何かの力の影響?)
オーラという力は似て非なる色であっても行き着く到達点は『三色併用』のオーラなのだと、長い年月を掛けて意識付けて来たソフィ。その終着点が『三色併用』なのであってもその過程となる力の影響を理解していなかった。
今回ノックスの世界へ来た事でヌーが『三色併用』に目覚める事となったが、その到達点である三色併用へ向かうまでの過程。青のオーラや紅のオーラが持つ色に明確な意味があり、防御力や攻撃力の上昇その効力を理解するに至ったソフィであったが、更に今ナギリのオーラを見た事でその過程となるオーラの色にも少しだけ違いがあるという新たな発見につながったソフィであった。
まだナギリの青の濃さが目立つ『瑠璃色』と、ソフィやヌー達の纏う鮮明な青の『天色』。そして多くの魔族達が体現する通常の『淡い青』と呼ばれるオーラ『浅葱色』。
それぞれが同じ『青』で表されるオーラの種類であるが、もしかするとこの防御力を高める青のオーラにも色の濃さや薄さによっては、練度と考える概念と同じく何か意味合いが込められているのかもしれないと、ソフィはそこまで思考が進んでいくが、同時にその色を示し始めたナギリを見て、一体どういう変化を表してどういう攻撃を仕掛けて来るのだろうかと『第二形態』となっている今の彼が高揚感に包まれながら大いなる期待に胸を膨らませ始めるのであった。
0
お気に入りに追加
421
あなたにおすすめの小説
勇者召喚に巻き込まれ、異世界転移・貰えたスキルも鑑定だけ・・・・だけど、何かあるはず!
よっしぃ
ファンタジー
9月11日、12日、ファンタジー部門2位達成中です!
僕はもうすぐ25歳になる常山 順平 24歳。
つねやま じゅんぺいと読む。
何処にでもいる普通のサラリーマン。
仕事帰りの電車で、吊革に捕まりうつらうつらしていると・・・・
突然気分が悪くなり、倒れそうになる。
周りを見ると、周りの人々もどんどん倒れている。明らかな異常事態。
何が起こったか分からないまま、気を失う。
気が付けば電車ではなく、どこかの建物。
周りにも人が倒れている。
僕と同じようなリーマンから、数人の女子高生や男子学生、仕事帰りの若い女性や、定年近いおっさんとか。
気が付けば誰かがしゃべってる。
どうやらよくある勇者召喚とやらが行われ、たまたま僕は異世界転移に巻き込まれたようだ。
そして・・・・帰るには、魔王を倒してもらう必要がある・・・・と。
想定外の人数がやって来たらしく、渡すギフト・・・・スキルらしいけど、それも数が限られていて、勇者として召喚した人以外、つまり巻き込まれて転移したその他大勢は、1人1つのギフト?スキルを。あとは支度金と装備一式を渡されるらしい。
どうしても無理な人は、戻ってきたら面倒を見ると。
一方的だが、日本に戻るには、勇者が魔王を倒すしかなく、それを待つのもよし、自ら勇者に協力するもよし・・・・
ですが、ここで問題が。
スキルやギフトにはそれぞれランク、格、強さがバラバラで・・・・
より良いスキルは早い者勝ち。
我も我もと群がる人々。
そんな中突き飛ばされて倒れる1人の女性が。
僕はその女性を助け・・・同じように突き飛ばされ、またもや気を失う。
気が付けば2人だけになっていて・・・・
スキルも2つしか残っていない。
一つは鑑定。
もう一つは家事全般。
両方とも微妙だ・・・・
彼女の名は才村 友郁
さいむら ゆか。 23歳。
今年社会人になりたて。
取り残された2人が、すったもんだで生き残り、最終的には成り上がるお話。
異世界転移しましたが、面倒事に巻き込まれそうな予感しかしないので早めに逃げ出す事にします。
sou
ファンタジー
蕪木高等学校3年1組の生徒40名は突如眩い光に包まれた。
目が覚めた彼らは異世界転移し見知らぬ国、リスランダ王国へと転移していたのだ。
「勇者たちよ…この国を救ってくれ…えっ!一人いなくなった?どこに?」
これは、面倒事を予感した主人公がいち早く逃げ出し、平穏な暮らしを目指す物語。
なろう、カクヨムにも同作を投稿しています。
せっかくのクラス転移だけども、俺はポテトチップスでも食べながらクラスメイトの冒険を見守りたいと思います
霖空
ファンタジー
クラス転移に巻き込まれてしまった主人公。
得た能力は悪くない……いや、むしろ、チートじみたものだった。
しかしながら、それ以上のデメリットもあり……。
傍観者にならざるをえない彼が傍観者するお話です。
基本的に、勇者や、影井くんを見守りつつ、ほのぼの?生活していきます。
が、そのうち、彼自身の物語も始まる予定です。
特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった
なるとし
ファンタジー
鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。
特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。
武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。
だけど、その母と娘二人は、
とおおおおんでもないヤンデレだった……
第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。
おっさんの神器はハズレではない
兎屋亀吉
ファンタジー
今日も元気に満員電車で通勤途中のおっさんは、突然異世界から召喚されてしまう。一緒に召喚された大勢の人々と共に、女神様から一人3つの神器をいただけることになったおっさん。はたしておっさんは何を選ぶのか。おっさんの選んだ神器の能力とは。
異世界で魔法が使えるなんて幻想だった!〜街を追われたので馬車を改造して車中泊します!〜え、魔力持ってるじゃんて?違います、電力です!
あるちゃいる
ファンタジー
山菜を採りに山へ入ると運悪く猪に遭遇し、慌てて逃げると崖から落ちて意識を失った。
気が付いたら山だった場所は平坦な森で、落ちたはずの崖も無かった。
不思議に思ったが、理由はすぐに判明した。
どうやら農作業中の外国人に助けられたようだ。
その外国人は背中に背負子と鍬を背負っていたからきっと近所の農家の人なのだろう。意外と流暢な日本語を話す。が、言葉の意味はあまり理解してないらしく、『県道は何処か?』と聞いても首を傾げていた。
『道は何処にありますか?』と言ったら、漸く理解したのか案内してくれるというので着いていく。
が、行けども行けどもどんどん森は深くなり、不審に思い始めた頃に少し開けた場所に出た。
そこは農具でも置いてる場所なのかボロ小屋が数軒建っていて、外国人さんが大声で叫ぶと、人が十数人ゾロゾロと小屋から出てきて、俺の周りを囲む。
そして何故か縄で手足を縛られて大八車に転がされ……。
⚠️超絶不定期更新⚠️
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
【書籍化決定】俗世から離れてのんびり暮らしていたおっさんなのに、俺が書の守護者って何かの間違いじゃないですか?
歩く魚
ファンタジー
幼い頃に迫害され、一人孤独に山で暮らすようになったジオ・プライム。
それから数十年が経ち、気づけば38歳。
のんびりとした生活はこの上ない幸せで満たされていた。
しかしーー
「も、もう一度聞いて良いですか? ジオ・プライムさん、あなたはこの死の山に二十五年間も住んでいるんですか?」
突然の来訪者によると、この山は人間が住める山ではなく、彼は世間では「書の守護者」と呼ばれ都市伝説のような存在になっていた。
これは、自分のことを弱いと勘違いしているダジャレ好きのおっさんが、人々を導き、温かさを思い出す物語。
※書籍化のため更新をストップします。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる