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サカダイ編
1123.敵わない理由
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「クックック、安心するがよい。我は確かに人間ではないが、お主を殺めようとする悪しき存在ではない。怯えずにお主の全ての力を我にぶつけてみせるがよい」
バチバチとオーラにスパークが入り、恐ろしい程の圧力を掛けながらソフィは『怯む事なく存分に戦え』とばかりにそうナギリに告げるのであった。
「へっ……! 俺は特務所属の『妖魔退魔師』だ。人間であろうとなかろうと、アンタ以上の力を持つ妖魔とさえ、俺はこれまで戦って来てるんだ。怯える事なんざ……、しねぇよっ!!」
そう言うが早いかナギリは刀を持つ手に力を込めて、思いきり地を蹴って、一気にソフィへと駆け出していく。
「……速い!」
ナギリがソフィの間合いに入り込むまでには、もう一呼吸分の猶予があるとソフィはそう考えていたのだが、それはかなり見通しが甘かったようである。
『真なる大魔王化』を果たしている今の第二形態のソフィであっても、距離を取ったとして一歩目で距離を詰められて、二歩目には斬られる程の速度差がある事を瞬時に悟ったソフィは、どうせ避けられぬと判断したようでこの戦闘が始まる前に思いついた事を早速、この本番で行おうと行動を開始するのだった。
「せやぁっ!」
ナギリはソフィの間合いに入りながら水平に刀を振り切る。攻撃を仕掛けた彼だが、目だけはソフィの動きを注視しており、このまま避けられないと判断すれば、ギリギリのラインを見極めて刀を持つ手を止めようとしていた。
『妖魔退魔師』であるナギリにとって、今の剣速で思いきり的を狙って刀を出せば、相手がランク『4.5』以上の妖魔であっても、一撃で斬り伏せる事を彼自身が一番よく理解している為、先程ソフィ自身が言っていたように、ソフィを討伐に値する悪しき者では無いと分かっているナギリは寸止めを行って、この実力試しのような戦闘を終わらせようと考えているのであった。
――だが、ナギリが攻撃を緩める必要がなくなってしまった。
ソフィの首元を目掛けて振り切られたナギリの刀の前で、ぬっとソフィの手が出て来たかと思うと彼自身の周囲を纏っていた色のオーラの一部。くっきりとした紅色に包まれたオーラの刀の上から、更に鮮明な青のオーラに包まれたソフィの右手でナギリの水平に振り切った刀の一撃を止めたからである。
「なっ……!?」
自分の刀を止められるとは思っていなかったナギリは、二色の湯気に包まれたソフィの手によって、鍔迫り合いを起こしている現状を信じられないとばかりに驚愕して見るのであった。
「クックック、どうした? お主の力はこんなものではないのだろう? さぁ、もっと我を楽しませてくれ! ナギリとやら!」
ナギリの水平に振り切られた刀を右手でガードしながら、同じようにくっきりとした紅いオーラを纏った左手の手刀で今度はソフィが反撃に転じてナギリを突きに行く。
「ちぃっ!」
刀を持つ手にいくら力を込めようともこのまま押し切れないと判断したナギリは、迫りくるソフィの左手の突きを避ける為、咄嗟に右足を前に突き出してソフィの身体を目掛けて思いきり蹴って、ナギリはそのままサマーソルトをするように空中で後ろに回転をしながら後方へと距離を取る。
綺麗な体捌きで静かに地面に着地すると、そのまま視線をソフィに向けたままナギリは、更に後方へと大きく跳躍をして試合が始まる直前に居た場所へと戻った。
「はぁっ……、はぁっ……!」
あの黒い羽の生えた妖魔のような人間とたった一手斬り結んだだけだというのに、全速力でかなりの距離を走り抜けたような疲労感を覚えさせられたナギリであった。
(あ、あのソフィとかいう奴の身体を蹴った時、まるで高ランクの象徴である『鬼人』の妖魔の皮膚を蹴ったような厚さを感じた。や、奴は本当に何なのだ……? こんな生物は見たことがない!)
ナギリはたった一手講じただけでソフィという存在の強さをある程度理解し、試合を行う前まで手加減をしようと考えていた自分が、如何にあり得ない事を考えていたのかと反省を行いながら気を引き締め直すのであった。
…………
(なるほど、ナギリを相手にこれ程までとは……。確かにこのソフィ殿が相手であれば、いくら中位程度の『妖魔召士』達が、束になって襲い掛かったとしてもそりゃ歯が立たずに取り押さえられるわけだ。少なくてもソフィ殿は『予備群』や『妖魔退魔師衆』で太刀打ちが出来る相手じゃないね)
たった一回の攻防。それも自分が行ったワケでもないというのに『妖魔退魔師』組織の『二組』の組長『スオウ』は、ソフィという存在の強さを認めたのであった。
バチバチとオーラにスパークが入り、恐ろしい程の圧力を掛けながらソフィは『怯む事なく存分に戦え』とばかりにそうナギリに告げるのであった。
「へっ……! 俺は特務所属の『妖魔退魔師』だ。人間であろうとなかろうと、アンタ以上の力を持つ妖魔とさえ、俺はこれまで戦って来てるんだ。怯える事なんざ……、しねぇよっ!!」
そう言うが早いかナギリは刀を持つ手に力を込めて、思いきり地を蹴って、一気にソフィへと駆け出していく。
「……速い!」
ナギリがソフィの間合いに入り込むまでには、もう一呼吸分の猶予があるとソフィはそう考えていたのだが、それはかなり見通しが甘かったようである。
『真なる大魔王化』を果たしている今の第二形態のソフィであっても、距離を取ったとして一歩目で距離を詰められて、二歩目には斬られる程の速度差がある事を瞬時に悟ったソフィは、どうせ避けられぬと判断したようでこの戦闘が始まる前に思いついた事を早速、この本番で行おうと行動を開始するのだった。
「せやぁっ!」
ナギリはソフィの間合いに入りながら水平に刀を振り切る。攻撃を仕掛けた彼だが、目だけはソフィの動きを注視しており、このまま避けられないと判断すれば、ギリギリのラインを見極めて刀を持つ手を止めようとしていた。
『妖魔退魔師』であるナギリにとって、今の剣速で思いきり的を狙って刀を出せば、相手がランク『4.5』以上の妖魔であっても、一撃で斬り伏せる事を彼自身が一番よく理解している為、先程ソフィ自身が言っていたように、ソフィを討伐に値する悪しき者では無いと分かっているナギリは寸止めを行って、この実力試しのような戦闘を終わらせようと考えているのであった。
――だが、ナギリが攻撃を緩める必要がなくなってしまった。
ソフィの首元を目掛けて振り切られたナギリの刀の前で、ぬっとソフィの手が出て来たかと思うと彼自身の周囲を纏っていた色のオーラの一部。くっきりとした紅色に包まれたオーラの刀の上から、更に鮮明な青のオーラに包まれたソフィの右手でナギリの水平に振り切った刀の一撃を止めたからである。
「なっ……!?」
自分の刀を止められるとは思っていなかったナギリは、二色の湯気に包まれたソフィの手によって、鍔迫り合いを起こしている現状を信じられないとばかりに驚愕して見るのであった。
「クックック、どうした? お主の力はこんなものではないのだろう? さぁ、もっと我を楽しませてくれ! ナギリとやら!」
ナギリの水平に振り切られた刀を右手でガードしながら、同じようにくっきりとした紅いオーラを纏った左手の手刀で今度はソフィが反撃に転じてナギリを突きに行く。
「ちぃっ!」
刀を持つ手にいくら力を込めようともこのまま押し切れないと判断したナギリは、迫りくるソフィの左手の突きを避ける為、咄嗟に右足を前に突き出してソフィの身体を目掛けて思いきり蹴って、ナギリはそのままサマーソルトをするように空中で後ろに回転をしながら後方へと距離を取る。
綺麗な体捌きで静かに地面に着地すると、そのまま視線をソフィに向けたままナギリは、更に後方へと大きく跳躍をして試合が始まる直前に居た場所へと戻った。
「はぁっ……、はぁっ……!」
あの黒い羽の生えた妖魔のような人間とたった一手斬り結んだだけだというのに、全速力でかなりの距離を走り抜けたような疲労感を覚えさせられたナギリであった。
(あ、あのソフィとかいう奴の身体を蹴った時、まるで高ランクの象徴である『鬼人』の妖魔の皮膚を蹴ったような厚さを感じた。や、奴は本当に何なのだ……? こんな生物は見たことがない!)
ナギリはたった一手講じただけでソフィという存在の強さをある程度理解し、試合を行う前まで手加減をしようと考えていた自分が、如何にあり得ない事を考えていたのかと反省を行いながら気を引き締め直すのであった。
…………
(なるほど、ナギリを相手にこれ程までとは……。確かにこのソフィ殿が相手であれば、いくら中位程度の『妖魔召士』達が、束になって襲い掛かったとしてもそりゃ歯が立たずに取り押さえられるわけだ。少なくてもソフィ殿は『予備群』や『妖魔退魔師衆』で太刀打ちが出来る相手じゃないね)
たった一回の攻防。それも自分が行ったワケでもないというのに『妖魔退魔師』組織の『二組』の組長『スオウ』は、ソフィという存在の強さを認めたのであった。
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