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ケイノト編
861.妖魔のランク区分
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「ランクが定められ始めたのは、まだ『妖魔召士』が『式』という術式を身につける前の話だと言われている」
エイジの口振りを聞いているとランクが定められたのは、どうやら相当に古い話のようであった。
「まず『妖魔』に定められているランクだが最低が『ランク無し』と呼ばれる妖魔達だ」
「ランク『1』では無く、その『ランク無し』もカウントされるのか?」
ランクの内容説明を始めたエイジだったが、いきなりの言葉にソフィは口を挟まずにはいられなかった。
「ああ『ランク無し』と呼ばれる妖魔達は一応は人を襲う危険性はあるが、子供であっても追い払える程の比較的弱い妖魔達でな。先人たちはランク無しと定めたようだ。当然『式』として契約することは出来るが『ランク無し』と呼ばれる『式』の役割は、仲間達に何かを知らせたい時に使役したり、物を届けさせたりと非戦闘の使い方が昔から一般的だったようだ」
「成程。戦闘では無く使い魔か」
「『ランク無し』には犬神や黒猫、それにカラスといった鳥等、種類は縛られずに数多くの妖魔達が居る」
魔族の中にも魔王になれば魔物を生み出したり、既存の魔物達に『名付け』を行って使い魔として扱う者もいる為、エイジの説明で『ランク無し』と呼ばれる妖魔達の事を正しく理解するのだった。
「次にランク『1』だが、先人達がランクを定めた妖魔は、ランク『1』でも一般的な人間であれば、太刀打ちが出来ないレベルだ。森や山で山菜やらキノコ等を採りに行く途中で出会ったら戦わずに一目散に逃げざるを得なくなる。これがランク『1』だな」
「戦闘員として数えられる妖魔というワケだな」
ソフィの確認にコクリと頷くエイジ。そして横で聞いていたシュウが補足とばかりに口を開いた。
「因みにランク『1』では、そこまで年の取っていない妖狐や、小鬼。それに一部の犬神などもこのランク帯に入ってくるぞ」
「さっき言っていた『ランク無し』に、犬の名前が無かったか?」
今度はソフィの横で聞いていたヌーが質問をする。
「『ランク無し』の犬神は、死後に霊となったモノが偶然憑いて妖魔となった存在だが、ランク『1』で定められた犬神。お主らには少し字を変えて『狗神』と呼んだ方がよいか。こちらの狗神となった妖魔は、生きている時に強い恨みを持ち、死後も強い怨恨や思念を抱く妖魔となり果てた者だ」
ヌーは納得し始めたのか、話を聞きながら軽く頷く。
「当然、このランク『1』と定められる程の狗神は、退魔士になりたてのそれこそ昔の時代であれば『式』にするのも容易では無い。
『式』という概念が無い時代に脅威があるとされていた妖魔だ。まぁ従わせるのが難しいのは当然と言えば、当然と言えるがな」
「ランク『2』はまたランク『1』とは、比較にならない程に強さが増す。現代の退魔士では複数人で挑まなければならぬ程に強い妖魔がランク『2』だな」
「妖魔の中でもそこそこに長く生きた鬼や、複数の尾を持った『妖狐』と呼ばれる狐が、このクラスに該当し、退魔組の連中でいえば『中位退魔士』と呼ばれる者達が、数人掛かりで討伐に向かう階級だ」
エイジとシュウが、交互にランク『2』の説明をソフィ達に行っている。
(成程。妖狐に鬼か。そういえば『リラリオ』の世界でラルフやリディアに稽古をつけていたサイヨウが使役していた者達が、確か狐の女や鬼の女だったな)
この世界に来る前にラルフが戦っていた相手に強い力を持つ、妖狐の女『朱火』の事を、思い出すのであった。
「サイヨウが使役していた『式』にも『朱火』という妖狐がおったが、あやつでランク『2』なのか……」
確かあの時にソフィが『漏出』で測った時には、朱火の戦力値は30億程だったと記憶している。つまりこの世界の妖魔達の指標としてランク『2』で戦力値が30億相当だという事なのだろう。
――ソフィがそう考えていると、何やらエイジとシュウが顔を見合わせていた。
「そういえばソフィ殿は、サイヨウ様の扱う『式』を知っていたのだったか。あやつは少し事情が異なるのだソフィ殿。実はその『朱火』は先の『妖魔団の乱』の時に『災厄級』に指定された妖狐でな。力量的にもランク『2』などでは無く、最低でもランク『7』に認定されている妖魔だ」
「何?」
エイジの説明を聞いたソフィは、先程シュウが動忍鬼の事をランク『4』と言っていた事を思い出す。
「我達の世界で見た朱火とやらよりも、この世界で我が直接手を合わせた『動忍鬼』の方が、戦力値が上だったのだが、それでも『朱火』の方がランクが上なのか?」
その言葉を聞いたシュウが、エイジに『どうなんだ?』と小声で声を掛ける。
「そのソフィ殿が前に見たという『朱火』の力は、本来の妖狐『朱火』の力では無く『妖魔召士』との契約後に、サイヨウ様が指定なされた分量での朱火の戦力値という事だろうな」
エイジの説明にソフィは『加護の森』で、動忍鬼が同じような事を言っていたのを思い出す。
「成程。そういえばお主達『妖魔召士』とやらは、一度『式』にした妖魔達の力を制御出来るのだったか? その辺の事も出来れば詳しく知りたいところだな」
ソフィがそう言うと、エイジは笑みを見せながら頷く。
「サイヨウ様の知り合いのソフィ殿でしたら、もちろん小生で良ければ説明しますぞ』
「おお、感謝する」
ソフィがエイジに礼を言っている横で、ヌーも腕を組んで無言を貫いている。どうやら舌打ちをしたり口を挟んだりしてこないところを見ると、彼もまた少しはこの話題に興味があるようであった。
……
……
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エイジの口振りを聞いているとランクが定められたのは、どうやら相当に古い話のようであった。
「まず『妖魔』に定められているランクだが最低が『ランク無し』と呼ばれる妖魔達だ」
「ランク『1』では無く、その『ランク無し』もカウントされるのか?」
ランクの内容説明を始めたエイジだったが、いきなりの言葉にソフィは口を挟まずにはいられなかった。
「ああ『ランク無し』と呼ばれる妖魔達は一応は人を襲う危険性はあるが、子供であっても追い払える程の比較的弱い妖魔達でな。先人たちはランク無しと定めたようだ。当然『式』として契約することは出来るが『ランク無し』と呼ばれる『式』の役割は、仲間達に何かを知らせたい時に使役したり、物を届けさせたりと非戦闘の使い方が昔から一般的だったようだ」
「成程。戦闘では無く使い魔か」
「『ランク無し』には犬神や黒猫、それにカラスといった鳥等、種類は縛られずに数多くの妖魔達が居る」
魔族の中にも魔王になれば魔物を生み出したり、既存の魔物達に『名付け』を行って使い魔として扱う者もいる為、エイジの説明で『ランク無し』と呼ばれる妖魔達の事を正しく理解するのだった。
「次にランク『1』だが、先人達がランクを定めた妖魔は、ランク『1』でも一般的な人間であれば、太刀打ちが出来ないレベルだ。森や山で山菜やらキノコ等を採りに行く途中で出会ったら戦わずに一目散に逃げざるを得なくなる。これがランク『1』だな」
「戦闘員として数えられる妖魔というワケだな」
ソフィの確認にコクリと頷くエイジ。そして横で聞いていたシュウが補足とばかりに口を開いた。
「因みにランク『1』では、そこまで年の取っていない妖狐や、小鬼。それに一部の犬神などもこのランク帯に入ってくるぞ」
「さっき言っていた『ランク無し』に、犬の名前が無かったか?」
今度はソフィの横で聞いていたヌーが質問をする。
「『ランク無し』の犬神は、死後に霊となったモノが偶然憑いて妖魔となった存在だが、ランク『1』で定められた犬神。お主らには少し字を変えて『狗神』と呼んだ方がよいか。こちらの狗神となった妖魔は、生きている時に強い恨みを持ち、死後も強い怨恨や思念を抱く妖魔となり果てた者だ」
ヌーは納得し始めたのか、話を聞きながら軽く頷く。
「当然、このランク『1』と定められる程の狗神は、退魔士になりたてのそれこそ昔の時代であれば『式』にするのも容易では無い。
『式』という概念が無い時代に脅威があるとされていた妖魔だ。まぁ従わせるのが難しいのは当然と言えば、当然と言えるがな」
「ランク『2』はまたランク『1』とは、比較にならない程に強さが増す。現代の退魔士では複数人で挑まなければならぬ程に強い妖魔がランク『2』だな」
「妖魔の中でもそこそこに長く生きた鬼や、複数の尾を持った『妖狐』と呼ばれる狐が、このクラスに該当し、退魔組の連中でいえば『中位退魔士』と呼ばれる者達が、数人掛かりで討伐に向かう階級だ」
エイジとシュウが、交互にランク『2』の説明をソフィ達に行っている。
(成程。妖狐に鬼か。そういえば『リラリオ』の世界でラルフやリディアに稽古をつけていたサイヨウが使役していた者達が、確か狐の女や鬼の女だったな)
この世界に来る前にラルフが戦っていた相手に強い力を持つ、妖狐の女『朱火』の事を、思い出すのであった。
「サイヨウが使役していた『式』にも『朱火』という妖狐がおったが、あやつでランク『2』なのか……」
確かあの時にソフィが『漏出』で測った時には、朱火の戦力値は30億程だったと記憶している。つまりこの世界の妖魔達の指標としてランク『2』で戦力値が30億相当だという事なのだろう。
――ソフィがそう考えていると、何やらエイジとシュウが顔を見合わせていた。
「そういえばソフィ殿は、サイヨウ様の扱う『式』を知っていたのだったか。あやつは少し事情が異なるのだソフィ殿。実はその『朱火』は先の『妖魔団の乱』の時に『災厄級』に指定された妖狐でな。力量的にもランク『2』などでは無く、最低でもランク『7』に認定されている妖魔だ」
「何?」
エイジの説明を聞いたソフィは、先程シュウが動忍鬼の事をランク『4』と言っていた事を思い出す。
「我達の世界で見た朱火とやらよりも、この世界で我が直接手を合わせた『動忍鬼』の方が、戦力値が上だったのだが、それでも『朱火』の方がランクが上なのか?」
その言葉を聞いたシュウが、エイジに『どうなんだ?』と小声で声を掛ける。
「そのソフィ殿が前に見たという『朱火』の力は、本来の妖狐『朱火』の力では無く『妖魔召士』との契約後に、サイヨウ様が指定なされた分量での朱火の戦力値という事だろうな」
エイジの説明にソフィは『加護の森』で、動忍鬼が同じような事を言っていたのを思い出す。
「成程。そういえばお主達『妖魔召士』とやらは、一度『式』にした妖魔達の力を制御出来るのだったか? その辺の事も出来れば詳しく知りたいところだな」
ソフィがそう言うと、エイジは笑みを見せながら頷く。
「サイヨウ様の知り合いのソフィ殿でしたら、もちろん小生で良ければ説明しますぞ』
「おお、感謝する」
ソフィがエイジに礼を言っている横で、ヌーも腕を組んで無言を貫いている。どうやら舌打ちをしたり口を挟んだりしてこないところを見ると、彼もまた少しはこの話題に興味があるようであった。
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