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第一章 転生そして成長
第84話 再会
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次の日、ルアは由良と東雲とともに実家がある街へと帰省することにしていた。天使によって家の中を荒らされたままだったことと、冒険者ギルドから発行されるライセンスの更新が迫ってきていたからだった。
由良が移動魔法を発動させると、一瞬にしてルアたちは馴染みある実家の中へと移動した。
やはりというかなんというか家の中は、数日間留守にしていたため少し埃が積もっているし、由良とクロロが天使によって吹き飛ばされぶつかったところには、本や花瓶などが散乱していた。
「むぅ、これはやはり掃除から始めねばならんのぉ~。」
荒れている家の中の惨状を見て由良は思わず深くため息を吐いた。そんな彼女に東雲が声をかけた。
「そんなもの魔法で全部片付くだろう。落ちた物は浮かせて元の位置に戻せばいい。積もった埃は風で吹き飛ばせばよい。これも修行の一環だ、魔法のみで掃除を終わらせて見せよ。」
「な、なんと……こんなことまでも魔法の修練に充てるのですじゃ!?」
「当り前だ。むしろこういう時に繊細な魔法の扱い方を身につけるのだ。」
そう東雲は由良に教えを説いた。それに渋々ながらも由良は頷いた。
「じゃ、じゃあ僕はギルドに行ってくるよ……。」
「うむ、気を付けて行ってくるのじゃぞ~。」
魔法で床に散らばっていたものを浮かしながら由良はルアへと手を振った。
そしてルアは数日ぶりに戻ってきた街のなつかしさを感じながら一人ギルドへと向かう。少し懐かしさを感じるギルドの扉を開けて中に入ると、受付にいるメルルアと視線が合った。
「あっ!!ルアちゃん!!」
「メルルアさんお久しぶりですっ。」
メルルアは受付から出てくるとルアのもとに駆け寄った。
「無事でよかったぁ~……由良さんのお家で事故があった……って聞いてたけど、由良さんも怪我とかはなかった?」
「はい、大丈夫です。」
由良の家に天使が襲ってきた……ということは表面では隠されている。というのも、襲ってきたのが天使……ということが知れ渡れば、ルアの存在が公になってしまう可能性があったため、ロレットの指示のもとあの時のことはある程度隠蔽されているのだ。
ただ、天使を目撃した人物は何人もいるため……あくまでも天使が姿を現したというぐらいまでしか隠蔽はできていないのが現状だ。
もちろんルアもその事はわかっているため、メルルアに話を合わせている。
「あっ!!そういえば、今日はライセンスの更新に来たんだよね?」
「はいっ、お願いします。」
ルアはポケットから自分のライセンスカードを取り出すとメルルアに手渡した。
「はいはいっと、承りました。それじゃあちょっと座って待っててね~。」
メルルアはルアからライセンスカードを受け取ると受付の中に戻っていく。そして何か作業を始めた。
ルアは更新が終わるまでゆっくりと座って待つことにした。彼が丸いテーブルの周りに並べられた椅子に腰かけると、ふと後ろに気配を感じた。
誰かと思い振り返ろうとする前にルアは後ろからぎゅっと抱きしめられる。
「むぅっ!?」
「にひひひ♪だ~れだ?」
ルアはその特徴的な笑いかたと、聞き慣れた声から一瞬で自分を後ろから抱き締めているのが誰なのか察した。
「く、クロロさんでしょ?」
「せいか~い♪」
クロロはルアの正面の椅子に腰かけると、笑いながら話しかけてくる。
「久しぶりだね~、元気だった?」
「はいっ、クロロさんは…………聞くまでもなく元気そうですね。なんか安心しました。」
「え~?それどういう意味~?な~んか傷つくなぁ。」
ぶ~っと口を尖らせるクロロだが、気の変わりが早い彼女はすぐに話題を切り替えた。
「あ、そういえば今日は由良さんもいる?」
「家にいますよ。掃除してると思います。」
「あ~……たしかけっこうごちゃごちゃになっちゃってたもんね。」
クロロもあの時由良の家にいた。だから由良の家が例の件によって散らかってしまっているのはわかっていた。
ふと、クロロは辺りを見渡して人がいないことを確認すると、ルアにあることを問いかけてきた。
「そういえばなんだけど……あの後ってどうなったの?」
「一応天使は倒しました。それ以上はボクの口からは言えないんですけど……。」
「あ~、わかってるわかってる。特秘事項ってやつでしょ?詳しくは言わなくていいよ。ただ、あれがどうなったのかが知りたかったんだ。」
ルアの事情を察した上でクロロはそう言った。
そしてルアとクロロの間に一瞬の沈黙が訪れた。お互いに口を開けずにいると、その状況を切り開いてくれる人物が現れた。
「ルアちゃんお待たせ~……ってクロロさんもいる。」
「あ、やっほ~メル~。」
ルアのもとに駆けつけてきたメルルアにクロロは軽く手を振りながら挨拶をする。
「今日は何か依頼を受けていくんですか?」
「う~ん、今日はこの後予定ができちゃったからパスかな。」
「わかりました。あ、ルアちゃんこれ新しいライセンス。」
「ありがとうございます!」
新しいライセンスを受け取ると、ルアはそれを大事そうにポケットにしまった。
そしてそれを見たクロロはスッと席を立ち上がった。
「さ~てと、じゃあこれからルアちゃんとデートしてくるから~……またね~メル~?」
「え、あ、ちょ……クロロさん!?」
ずるずるとクロロに引きずられ、ギルドを後にするルア……その後ろ姿をメルルアは羨ましそうに眺めていた。
由良が移動魔法を発動させると、一瞬にしてルアたちは馴染みある実家の中へと移動した。
やはりというかなんというか家の中は、数日間留守にしていたため少し埃が積もっているし、由良とクロロが天使によって吹き飛ばされぶつかったところには、本や花瓶などが散乱していた。
「むぅ、これはやはり掃除から始めねばならんのぉ~。」
荒れている家の中の惨状を見て由良は思わず深くため息を吐いた。そんな彼女に東雲が声をかけた。
「そんなもの魔法で全部片付くだろう。落ちた物は浮かせて元の位置に戻せばいい。積もった埃は風で吹き飛ばせばよい。これも修行の一環だ、魔法のみで掃除を終わらせて見せよ。」
「な、なんと……こんなことまでも魔法の修練に充てるのですじゃ!?」
「当り前だ。むしろこういう時に繊細な魔法の扱い方を身につけるのだ。」
そう東雲は由良に教えを説いた。それに渋々ながらも由良は頷いた。
「じゃ、じゃあ僕はギルドに行ってくるよ……。」
「うむ、気を付けて行ってくるのじゃぞ~。」
魔法で床に散らばっていたものを浮かしながら由良はルアへと手を振った。
そしてルアは数日ぶりに戻ってきた街のなつかしさを感じながら一人ギルドへと向かう。少し懐かしさを感じるギルドの扉を開けて中に入ると、受付にいるメルルアと視線が合った。
「あっ!!ルアちゃん!!」
「メルルアさんお久しぶりですっ。」
メルルアは受付から出てくるとルアのもとに駆け寄った。
「無事でよかったぁ~……由良さんのお家で事故があった……って聞いてたけど、由良さんも怪我とかはなかった?」
「はい、大丈夫です。」
由良の家に天使が襲ってきた……ということは表面では隠されている。というのも、襲ってきたのが天使……ということが知れ渡れば、ルアの存在が公になってしまう可能性があったため、ロレットの指示のもとあの時のことはある程度隠蔽されているのだ。
ただ、天使を目撃した人物は何人もいるため……あくまでも天使が姿を現したというぐらいまでしか隠蔽はできていないのが現状だ。
もちろんルアもその事はわかっているため、メルルアに話を合わせている。
「あっ!!そういえば、今日はライセンスの更新に来たんだよね?」
「はいっ、お願いします。」
ルアはポケットから自分のライセンスカードを取り出すとメルルアに手渡した。
「はいはいっと、承りました。それじゃあちょっと座って待っててね~。」
メルルアはルアからライセンスカードを受け取ると受付の中に戻っていく。そして何か作業を始めた。
ルアは更新が終わるまでゆっくりと座って待つことにした。彼が丸いテーブルの周りに並べられた椅子に腰かけると、ふと後ろに気配を感じた。
誰かと思い振り返ろうとする前にルアは後ろからぎゅっと抱きしめられる。
「むぅっ!?」
「にひひひ♪だ~れだ?」
ルアはその特徴的な笑いかたと、聞き慣れた声から一瞬で自分を後ろから抱き締めているのが誰なのか察した。
「く、クロロさんでしょ?」
「せいか~い♪」
クロロはルアの正面の椅子に腰かけると、笑いながら話しかけてくる。
「久しぶりだね~、元気だった?」
「はいっ、クロロさんは…………聞くまでもなく元気そうですね。なんか安心しました。」
「え~?それどういう意味~?な~んか傷つくなぁ。」
ぶ~っと口を尖らせるクロロだが、気の変わりが早い彼女はすぐに話題を切り替えた。
「あ、そういえば今日は由良さんもいる?」
「家にいますよ。掃除してると思います。」
「あ~……たしかけっこうごちゃごちゃになっちゃってたもんね。」
クロロもあの時由良の家にいた。だから由良の家が例の件によって散らかってしまっているのはわかっていた。
ふと、クロロは辺りを見渡して人がいないことを確認すると、ルアにあることを問いかけてきた。
「そういえばなんだけど……あの後ってどうなったの?」
「一応天使は倒しました。それ以上はボクの口からは言えないんですけど……。」
「あ~、わかってるわかってる。特秘事項ってやつでしょ?詳しくは言わなくていいよ。ただ、あれがどうなったのかが知りたかったんだ。」
ルアの事情を察した上でクロロはそう言った。
そしてルアとクロロの間に一瞬の沈黙が訪れた。お互いに口を開けずにいると、その状況を切り開いてくれる人物が現れた。
「ルアちゃんお待たせ~……ってクロロさんもいる。」
「あ、やっほ~メル~。」
ルアのもとに駆けつけてきたメルルアにクロロは軽く手を振りながら挨拶をする。
「今日は何か依頼を受けていくんですか?」
「う~ん、今日はこの後予定ができちゃったからパスかな。」
「わかりました。あ、ルアちゃんこれ新しいライセンス。」
「ありがとうございます!」
新しいライセンスを受け取ると、ルアはそれを大事そうにポケットにしまった。
そしてそれを見たクロロはスッと席を立ち上がった。
「さ~てと、じゃあこれからルアちゃんとデートしてくるから~……またね~メル~?」
「え、あ、ちょ……クロロさん!?」
ずるずるとクロロに引きずられ、ギルドを後にするルア……その後ろ姿をメルルアは羨ましそうに眺めていた。
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