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お祭り
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「こんなふうに仕立てるのはどうかな……?」
と、アーロンに相談したら、なんだか不機嫌そうに「まずは仕立て直しで済みそうな布ものの資源ゴミを探せ」と叱られた。
「お前は、どうしてこのように自分の仕事を増やすのだ? 今週はジャムを作ったりなんだり休んでいないだろう。この上縫い物まで増やす気か?」
確かにな~、とは思うけど、怒らなくてもいいじゃん、アーロン。
アリスちゃんが帰ったあと、一階の四隅に夏雪草のみんなからもらった飾りを吊るした。やっぱり前回と同じで、家中がぴかっと光に満たされた。
アーロン曰く、四隅に夏雪草のみんなが作ってくれた飾りがある環境は「神力が使いやすい」のだそうだ。
神官補が言ってた「神域」ってきっとそのことなんだろうな。
で、出てきてくれたアーロンは不機嫌だったけれど、彼がくれたアドバイスのおかげで確かに少し形を変えれば違和感のなさそうな厚手の綿の服を見つけた。最初から全部縫うよりずっと楽だった。
「お前は、危なっかしい」
アーロンはまだお説教モードだ。
「人の子というのはみんなこのように危なっかしいものなのか、と思うな……」
そんな事を言われてもな~。可愛い服を作りたいスイッチが入っちゃったんだよ。
アーロンは、それだけ言うとふいっと消えてしまったけれど、夏雪草の飾りのせいか、私の家にはなんとなくアーロンの気配が残り、その夜は縫いものをしながら夜ふかししたのに、全然さみしくなかった。
やり始めたら興が乗ってしまって、アップリケもかなり凝ったものになってしまったけれど、後悔はないよ!
祭りの日は、早く起きて、お祭りの料理を仕込む。スタンピードランチで味をしめたので、鍋帽子で作る煮物を今回は差し入れる予定。あとはフラットブレッドをたくさん。
ジャムも、少し持っていくことにした。
チャーリーの話によると川べりの野原にみんな集まるということだったけど、この村、そんなに大きくないし、まあ、焚き火の側でピクニックくらいのものだよね。
……なあんて、思っていた時もありました。
なにこれ?なんなの?!
一体ヒルトップ村ってどこにこんな人口がいたの?!
夕暮れの川べりで私は今、かなり途方にくれてます。
すごい。
想像もしていなかった大きい焚き火が焚かれていて、子豚がまるまる一匹焼くための準備がされている。
そして、人!
「あー!マージョいた!!」
大きい声に振り返ると、アリスちゃんがニコニコしてた。
「すごいでしょ。みんなあちらこちらからお祭りのために帰って来たんだよ!」
あ……そうか。徒弟にでてたりしている人が帰ってきているんだ。だから、普段あまり見かけない人がたくさんいるんだね。
それにしてもアリスちゃんが可愛い。アップリケのデザインとアイデアは私のものだけど、実際の縫い物はかなりアリスちゃんがやったものね。すごいな。上手。
「マージョのドレス、きれい……」
アリスちゃんは、私のワンピースに興味津々だ。
ドレス、なんて呼べるようなものじゃないですけどね。
「……本当、きれいだ」
いつの間にかそばに来ていたチャーリーが、ぼそっと言った。
何、やだわ、この子ったら!いつの間にかずいぶん口が上手になって!
なんとも微笑ましくなっていたら、「二歳しか違わねーだろ……」と、チャーリーが呟いた。
あれ、チャーリー、いつ十四才になったの?
「……先週……」
うわ。
マージョは十六歳だから、確かに2つ違いだ。前世の記憶もあるし、おばちゃん目線で見てたけど……そっかぁ。
チャーリーには少し年上のお姉さんに見えるのかー。
そんな少し年上のお姉さんに照れずに褒め言葉が言えるなんて、チャーリーかっこいいなあ。
そう言ったら、アリスちゃんとチャーリーがなんだか微妙な顔で私を見た。
え?!何?!なんなの~?!
と、アーロンに相談したら、なんだか不機嫌そうに「まずは仕立て直しで済みそうな布ものの資源ゴミを探せ」と叱られた。
「お前は、どうしてこのように自分の仕事を増やすのだ? 今週はジャムを作ったりなんだり休んでいないだろう。この上縫い物まで増やす気か?」
確かにな~、とは思うけど、怒らなくてもいいじゃん、アーロン。
アリスちゃんが帰ったあと、一階の四隅に夏雪草のみんなからもらった飾りを吊るした。やっぱり前回と同じで、家中がぴかっと光に満たされた。
アーロン曰く、四隅に夏雪草のみんなが作ってくれた飾りがある環境は「神力が使いやすい」のだそうだ。
神官補が言ってた「神域」ってきっとそのことなんだろうな。
で、出てきてくれたアーロンは不機嫌だったけれど、彼がくれたアドバイスのおかげで確かに少し形を変えれば違和感のなさそうな厚手の綿の服を見つけた。最初から全部縫うよりずっと楽だった。
「お前は、危なっかしい」
アーロンはまだお説教モードだ。
「人の子というのはみんなこのように危なっかしいものなのか、と思うな……」
そんな事を言われてもな~。可愛い服を作りたいスイッチが入っちゃったんだよ。
アーロンは、それだけ言うとふいっと消えてしまったけれど、夏雪草の飾りのせいか、私の家にはなんとなくアーロンの気配が残り、その夜は縫いものをしながら夜ふかししたのに、全然さみしくなかった。
やり始めたら興が乗ってしまって、アップリケもかなり凝ったものになってしまったけれど、後悔はないよ!
祭りの日は、早く起きて、お祭りの料理を仕込む。スタンピードランチで味をしめたので、鍋帽子で作る煮物を今回は差し入れる予定。あとはフラットブレッドをたくさん。
ジャムも、少し持っていくことにした。
チャーリーの話によると川べりの野原にみんな集まるということだったけど、この村、そんなに大きくないし、まあ、焚き火の側でピクニックくらいのものだよね。
……なあんて、思っていた時もありました。
なにこれ?なんなの?!
一体ヒルトップ村ってどこにこんな人口がいたの?!
夕暮れの川べりで私は今、かなり途方にくれてます。
すごい。
想像もしていなかった大きい焚き火が焚かれていて、子豚がまるまる一匹焼くための準備がされている。
そして、人!
「あー!マージョいた!!」
大きい声に振り返ると、アリスちゃんがニコニコしてた。
「すごいでしょ。みんなあちらこちらからお祭りのために帰って来たんだよ!」
あ……そうか。徒弟にでてたりしている人が帰ってきているんだ。だから、普段あまり見かけない人がたくさんいるんだね。
それにしてもアリスちゃんが可愛い。アップリケのデザインとアイデアは私のものだけど、実際の縫い物はかなりアリスちゃんがやったものね。すごいな。上手。
「マージョのドレス、きれい……」
アリスちゃんは、私のワンピースに興味津々だ。
ドレス、なんて呼べるようなものじゃないですけどね。
「……本当、きれいだ」
いつの間にかそばに来ていたチャーリーが、ぼそっと言った。
何、やだわ、この子ったら!いつの間にかずいぶん口が上手になって!
なんとも微笑ましくなっていたら、「二歳しか違わねーだろ……」と、チャーリーが呟いた。
あれ、チャーリー、いつ十四才になったの?
「……先週……」
うわ。
マージョは十六歳だから、確かに2つ違いだ。前世の記憶もあるし、おばちゃん目線で見てたけど……そっかぁ。
チャーリーには少し年上のお姉さんに見えるのかー。
そんな少し年上のお姉さんに照れずに褒め言葉が言えるなんて、チャーリーかっこいいなあ。
そう言ったら、アリスちゃんとチャーリーがなんだか微妙な顔で私を見た。
え?!何?!なんなの~?!
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