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『特別な人』118
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遠野さんだったら私のように匠吾や島本玲子から逃げ出したりせず、
各々と向き合い対決して怒りをぶつけたり、折り合いをつけたりと、
自分でちゃんと決着つけられるのかもしれない、とふとそんなことを思った。
当時の私は無防備で、相手に依存し安心しきっていた上に完璧を求め過ぎ、
そして何より弱すぎた。
ある日突然終わってしまった私の悲しい恋と恋心。
あの日から私の時間は止まってしまった。
私はちゃんと生きているのかな?
時々戸惑いを覚える。
あんなに好きだった人にあの日から会いたいと思ったことは
一度もない。
遠野からの意外な告白を聞いた日からちょうど一週間が過ぎ、夜間保育の
金曜になったけれど芦田から遠野の話は出ていないし、また遠野本人から
夜間保育の担当になれたという報告も受けていない。
わざわざ自分から遠野に訊くのも違うような気がして、花はいつものように
自分の担当部署の仕事を片付けると夜間保育の仕事場へと向かった。
◇ ◇ ◇ ◇
遠野はというと、花に夜間保育の件を話した後週明けすぐに芦田に
直談判していた。
芦田からは、派遣社員は雇用形態がこちらの社員とは違うので副業で
夜間だけ働いてもらうことは難しいとバッサリ断られていたのだった。
それは確かに芦田が断る一つの理由でもあったのだが、実はもうひとつの
理由があった。
遠野の言動から夜間保育を志望する理由というのが、凛をはじめ、
子どもたちのことを可愛く思ってのことではなく凛の父親狙いというのが
透けて見えた為だった。
遠野さんだったら私のように匠吾や島本玲子から逃げ出したりせず、
各々と向き合い対決して怒りをぶつけたり、折り合いをつけたりと、
自分でちゃんと決着つけられるのかもしれない、とふとそんなことを思った。
当時の私は無防備で、相手に依存し安心しきっていた上に完璧を求め過ぎ、
そして何より弱すぎた。
ある日突然終わってしまった私の悲しい恋と恋心。
あの日から私の時間は止まってしまった。
私はちゃんと生きているのかな?
時々戸惑いを覚える。
あんなに好きだった人にあの日から会いたいと思ったことは
一度もない。
遠野からの意外な告白を聞いた日からちょうど一週間が過ぎ、夜間保育の
金曜になったけれど芦田から遠野の話は出ていないし、また遠野本人から
夜間保育の担当になれたという報告も受けていない。
わざわざ自分から遠野に訊くのも違うような気がして、花はいつものように
自分の担当部署の仕事を片付けると夜間保育の仕事場へと向かった。
◇ ◇ ◇ ◇
遠野はというと、花に夜間保育の件を話した後週明けすぐに芦田に
直談判していた。
芦田からは、派遣社員は雇用形態がこちらの社員とは違うので副業で
夜間だけ働いてもらうことは難しいとバッサリ断られていたのだった。
それは確かに芦田が断る一つの理由でもあったのだが、実はもうひとつの
理由があった。
遠野の言動から夜間保育を志望する理由というのが、凛をはじめ、
子どもたちのことを可愛く思ってのことではなく凛の父親狙いというのが
透けて見えた為だった。
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