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『特別な人』107

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 相原さんのお宅は120戸ほどある8階建てのマンションだった。



「こんにちは~、お加減いかがでしょうか」



「熱が出ちゃってね。
 一人ならなんとかなるだろうけど、チビ助の面倒までとなると
ちょっとキツくてね。

 Help要請してしまったんだけどははっ、掛居さんが来るとは
予想外だった。

 なんかヘタレてるところ見られたくなかったなぁ~」




『へーへー、そうですか。
 私も来たくなかったけどもぉ~』
と子供っぽく心の中で応戦。





「芦田さんじゃなくてスミマセンね。
 ま、私が来たからには小舟に乗ったつもりでいて下さいな」



「プッ、大船じゃなくて小舟って言ってしまうところが掛居さんらしいよね」




 何よぉー、知ったかぶりしちゃってからに。
 私のこと知りもしないクセに……って、反撃は良くないわよね。


 私の繰り出したっむ~いギャグに付き合ってくれただけなんだから。





「フフっ相原さん……ということで私凛ちゃん見てるのでゆっくり横に
なります? それとも何か口に入れときます?」



 今は積み木を舐めて『アウアウ』ご満悦な凛ちゃんを横目に彼に訊いてみた。


「う~ん、じゃあ買ってきてもらったお粥だけ食べてから寝るわ」


「林檎も剝きますね。林檎、🍎嫌いじゃないですよね?」



「好きだよン」



 わざとなのか病気のせいなのか、鼻にかかったセクシーボイスで私を
ジトっと見つめ意味深な言い方をする相原さん。



「ね、相原さん……」

「ン?」


「ほんとに熱あるんですかぁー? 仮病だったりしてー」



「酷い言われようだなー、参った。
 お粥と林檎🍎食べたら大人しくするよ」




「そうですね、病人は大人しくしてないとね。
 さてと、準備しますね。少しお待ちくださぁ~い」



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