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『特別な人』102

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『あと一日出勤したら休みだぁ~、あと一日がんばっ、そしたらたっぷり
朝寝して過ごせる休みなのよぉ~』

と仕事帰りにも係わらす身も心も軽やかなまま、
花は下へ降りるエレベーターに飛び乗った。


 体制を変えて振り向くと目の前に後から乗って来た相原が目の前に
飛び込んで来た。


『えっ、えっ、どどっ、どうしよう』

 私が押すはずだったボタンを彼が押した。



「掛居さん、何か俺のこと避けてない?」


『するどい、避けてますぅ~、なんて言えないよね。
 ……じゃなくって避けてたとして何が悪いの。
 どんな不都合があるっていうのだ。

 元々仕事だって被ってないし、凛ちゃんのことがなければ
接点などなかったのだからそんな風に絡まれる筋合いなどないはず』





「私に絡む……の、やめてください」


『それに相原さん何故にボタンから手を放さずしかも何か威圧的な体制に
なってンの。

 近い、近過ぎる。

 箱の中で逃げ場がない場所で詰問されるのは精神的にキツイ』



「君こそただ訊いただけなのに絡むとかって……なんかすごく
大事にしてない? 

 そういうのが男を落とす君の手管なのかな?」



「何を……もうそれっ、セクハラですよ」

 花はそう言い放つもすでに涙目になっていた。


「私はここへは仕事をしに来てるんです。
 男を落とすとか、失礼なこと言わないで!」


「あれっ、だけど掛居さん相馬と付き合ってるんでしょ?」



 私は彼の言い草を聞いて目が点になってしまった。

 何ですと、私は相馬さんとはよろしくやってる癖に相原さんの気を引く為に
 わざともったいぶって避けてるんだろ? ってそう言いたいわけ? 

 マジ、最悪。



 何なのだろう、この拗らせセクハラ親父め! 


 しかも今だエレベーターのボタン押したまま……私を閉じ込めたまま……。

 とんでもない男だ。


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