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『特別な人』80

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◇ガラスの城

 そして、この会話のあった次の週末は久しぶりに4人で会うことになる。


 4人が出会ったのはたまたま東京でのパーティーでだったのだが、居住地は皆
関西ということで大阪梅田に近いホテルで落ち合うことになる。


 ディナーとお酒を時間を掛けて楽しもうと一泊の予定が組まれた。



 星野と魚谷は念入りに化粧を施し、目いっぱいドレスアップした。



 少し早めに着いたので部屋に入る前に4人揃ってラウンジで飲み物を頼み
当たり障りのない会話をしていた時である。




「えっと、俺の親友がたまたま近くの書店まで来ててさ、ちょっと挨拶だけ
してもらっていいだろうか。

 星野さんと魚谷さんのことを可愛いっていう話をしたらぜひっ、拝ませて……
じゃなかった、お会いしてみたいだと」



「「え――っ、可愛いだなんてそんなぁ~、ほんとのこと言って
どうするんですかぁ~」」




「ブッ、そこハモる~?」
 宮内が女性軍を弄る。



 ほのぼのとした幸せな風景があった。
 そして4人はテンション高く浮かれていた。



 4人は互いのパートナーと向かい合って座っており、女性たちは入り口に
背を向けて座っていた。



「あっ、噂をすれば……だ。来た来たっ。こっち、こっち」


 柳井が入り口付近に向かって声を掛けた。

「あいつ、婚約者がいるんたけどさ、今日は誘って先約があるからと断られて
可哀そうな奴なんで、皆でヨシヨシしてやろう」


 柳井は3人に向けて告げた。


 柳井の親友とやらがテーブルに近づいたのを見計らって星野と魚谷は
席を立ち挨拶の体勢に入った。




「彼が俺の親友で雨宮。
 で、こちらが同期の宮内とその彼女の星野さん、それと俺の彼女の
魚谷さん」と柳井が親友に紹介をした。



 宮内と星野はふたりの様子から雨宮と魚谷の挙動を視線で追いかける。



 紹介していた為、柳井は気がつかないでいる。


 雨宮はずっと魚谷を見ていて、魚谷はオロオロした後俯いてしまった。

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