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『特別な人』78

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「あっ、つまんないことで騒いじゃってて恥ずかしいです。
こちらこそよろしくデス」


「じゃぁその辺のテーブル席へ移動しませんか」



 今度は隣にいた男性ひとが声を掛けてきた。

 2人ともなかなかなイケボで、なんだか楽しそうな時間を過ごせそうで
よかった。



 星野はどっちの人が好みかな。

 私は……関係ないけど、隣にいた人がいいと思う。

 話を聞くところによると彼らは同じ職場の同期だということらしい。
 もちろん恋人なし。

 私は星野に合わせて恋人なしということにしておいた。



 どうも彼らも未来の花嫁候補をGetする気満々なようで、
食事もそこそこに人懐っこくかつ積極的に私たちに絡んでくれた。


 最初に声を掛けてきたのが宮内隆みやうちたかしさん、そして
もうひとりが柳井寛やないひろしさんという。

 4人での話は盛り上がり、あっという間にパーティーのお開きの時間に
なった。


 お開きの後、隣接しているバーへと河岸を変え、私たちはお酒で
喉を潤しつつ、フランクに各々が自分たちのことを互いによく知り合いたいという
情熱を傾けて楽しい時間を過ごした。


 そして私たちはグループLINEを作り別れた。



 彼らは大手不動産(株)勤務で柳井さんは総合職の都市事業ユニット推進部
のグループリーダーをしており、宮内さんは同じ総合職の都市事業ユニット
事業本部の係長ということだった。



 宮内さんは眼鏡をかけていてにこやかでおっとり系、一緒にいると
癒される感じ。




 柳井さんは近くで見ても遠目に見てもシュっとした鼻筋と綺麗で広めの
額から下がりそこそこ彫を深く見せる目元と盛り上がった頬骨からの顎に
かけてのシャープなラインがちょいエキゾチックな雰囲気を醸し出している。


 星野はどちらが好みなんだろう。



 私は宿泊したその夜のホテルでも帰りの新幹線の中でも彼らの話で
盛り上がったものの肝心の星野の意中の相手のことは敢えて聞かなかった。

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