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『特別な人』76

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 星野から電話で聞いた話では今回のパーティーは商社に勤める
友人柿谷さんからの紹介らしかった。



 柿谷さんも私たちと同じ大学だったけれどグループが違っていた人だ。



 在学中に少し親しくしていたみたいで、たまたま最近繁華街で出会って
立ち話もなんだからとお茶して近況を話し合ってるうちに……ということ
らしい。





 学生時代からの友人星野は自分とは違い堅実にずっと同じ職場で
頑張っている。

 医科大で正社員として勤務している。

 昨今大学の事務員というのもほとんどが時給の契約社員とか
日給の派遣社員がほとんどらしいから流石新卒で入社して頑張ってるだけ
あるよね、星野は。


 私も当初は正規雇用の銀行員だったのにさ、なんでこうなっちゃったんだろう
なんて思う日もあったわ。



 でも伴侶を見付けるなら大手企業への派遣入社も悪くはないよね。

 実際、私は研究員のエリート捕まえたもん。


 ここはひとつ星野が良い男性ひとと出会えるよう協力を
惜しまないつもり。


 星野ぉ~、あんたいい友だち持ったね~。


          ◇ ◇ ◇ ◇




 金曜日の夜に彼女から再度連絡があり、私たちが参加するのは
レセプションパーティーで開催時間は17:00からと聞く。

 ホテルのチェックインの時間に合わせて行くことに決めた。



 夜は少し肌寒くなるかもしれないからとふたりともスプリングコートを
羽織って行くことにしたのでフォーマルなドレスの見せあいっこは
ホテルにチェックインしてからになった。


 星野はほどよいマキシ丈でウエストにゴムが入っているネイビー色の
シンプルだけど華やかさも併せ持つドレス。


 ハイネックマキシドレスで襟元のビジューがパールでドレスと相まって
彼女の印象に華やかさをプラスしている。


「星野、いいじゃない、そのドレスと襟元のパールのネックレス、
むちゃくちゃいいわ。きっといい男性ひと見つかるね」


「ふふっ、サンキュー。そう言ってもらうと心丈夫だわ」



 私はというと、今回クローゼットを覗いて黒のにするか今着ている
ペールブルーにするか迷ったけれど、透明感があって袖がシースルーの透けた
レース生地になっている清楚系デザインの丈短めドレスにした。


 私もネックレスはパールだ。



 ふたりでしばし、互いのドレスを褒め合いパーティーに向けて
気分を上げた。


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