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Chapter9*ビール売りの少女@三十路目前
ビール売りの少女@三十路目前[2]—④
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ただでさえ恐ろしいほど整った顔立ちをしているのに、更にそんなふうに可愛く顔をのぞき込まれたら勝てる気がしない。
ううん、完全にわたしの負け。
どう足掻いたって、このドラネコには勝てやしないのだ。
ぎゅっと目を閉じて、何も考えずに口を開いた。
「わっ、わたしも……きみに……アキに会いたい。一緒にいたい」
しんと沈黙が降りる。
あれ、わたし何か間違った……?
何も言わないアキに不安になって、恐る恐るまぶたを持ち上げた瞬間。
「ぅわ、」
わたしはひょいと彼の肩に担ぎ上げられた。
「っ……!」
米俵みたいに担がれたせいで、高い位置で顔が真下を向いている。お腹以外は宙に浮いていて、高さと不安定さの恐怖から体がすくんだ。手足をジタバタさせることなんて絶対無理。
それなのにアキと言ったら、その細い体のどこにそんな力があるかと思うほどしっかりとわたしを担いだまま、軽やかな足取りで廊下を進んでいく。
そしてそのままキッチンの横を通ってダイニングを素通りし、「あっ!」と思った時にはベッドルームへと侵入。後ろ向きで運ばれているわたしの目に一瞬、炬燵の上に並べられた“ご褒美晩餐”が入った。
(そうだった! あのビールを飲むところだったんだ!)
そう思った時には、ベッドの上でアキがわたしの上に圧し掛かるところだった。
「アキ…ちょっとま、」
「待たない」
間髪入れずに返事が返ってくる。
いやいやいやいや。そこは待ちましょう!待てってば、マテ!
押し返そうと伸ばした手を逆に捕まえられてベッドに押しつけられる。
「ちょ、……わたし、んっ、……今からちょうど、ぁっ、楽しみにしてた、ぁんっ、……ご褒美のっ、ん、やっ、」
『今からちょうど、楽しみにしていたご褒美のご飯を食べるところだったの』
そう言いたかったのに、アキが唇を啄んだり首筋に吸い付いたりするせいで、全然ままならない。
「いい匂い。静さんの匂いだ」
そう言いながら首筋に鼻をこすりつけられて、くすぐったいようなぞわりとした感触に身を竦ませる。
その隙を狙ったかのように両手をひとつにまとめられ、頭の上に縫い留められた。そうなれば、部屋着の裾から侵入してきた手に対抗するすべもない。体を捻りたくても腰の上に彼がまたがっているから無理。
ううっ、なんかこれってまずいヤツ。オオカミに捕食される子ヤギってこんな気持ちなのか!?
いや、この場合、オオカミではなくドラトラ……。
「早くあなたに会いたくて、頑張って仕事を終わらせて来たんだ。だから僕にもご褒美をちょうだい」
「う、うん……じゃあ……一緒にご褒美飯をたべ、」
「僕にとってのご褒美はあなただ――吉野」
わたしにまたがったままそう言ってネクタイの結び目に指を掛けクイッと斜めに引く。口の端を持ち上げ瞳を細めながら、シュルリと首から抜き取った。
い、色気ダダ漏れ! 無駄遣い禁止!
「観念して? あんな可愛いこという言うあなたが悪いんだ」
ゆっくりと近付いてくる綺麗な顔にうっかり見惚れていると、触れるだけのキスが降ってきた。
柔らかく押し当てながら、食んだり啄んだり。直前の獰猛な色香を忘れさせるほど、甘く戯れるようなくちづけに、体からゆるゆると力が抜けていく。
出会った時から変わらない極上のキスが、わたしを溶かしていく。
だけどあの時とは違う。お互いを想い合うキスが、激しく胸を高鳴らせる。
触れ合うだけのくちづけがもどかしくなったわたしは、自分から彼のものに舌を絡めた。
ううん、完全にわたしの負け。
どう足掻いたって、このドラネコには勝てやしないのだ。
ぎゅっと目を閉じて、何も考えずに口を開いた。
「わっ、わたしも……きみに……アキに会いたい。一緒にいたい」
しんと沈黙が降りる。
あれ、わたし何か間違った……?
何も言わないアキに不安になって、恐る恐るまぶたを持ち上げた瞬間。
「ぅわ、」
わたしはひょいと彼の肩に担ぎ上げられた。
「っ……!」
米俵みたいに担がれたせいで、高い位置で顔が真下を向いている。お腹以外は宙に浮いていて、高さと不安定さの恐怖から体がすくんだ。手足をジタバタさせることなんて絶対無理。
それなのにアキと言ったら、その細い体のどこにそんな力があるかと思うほどしっかりとわたしを担いだまま、軽やかな足取りで廊下を進んでいく。
そしてそのままキッチンの横を通ってダイニングを素通りし、「あっ!」と思った時にはベッドルームへと侵入。後ろ向きで運ばれているわたしの目に一瞬、炬燵の上に並べられた“ご褒美晩餐”が入った。
(そうだった! あのビールを飲むところだったんだ!)
そう思った時には、ベッドの上でアキがわたしの上に圧し掛かるところだった。
「アキ…ちょっとま、」
「待たない」
間髪入れずに返事が返ってくる。
いやいやいやいや。そこは待ちましょう!待てってば、マテ!
押し返そうと伸ばした手を逆に捕まえられてベッドに押しつけられる。
「ちょ、……わたし、んっ、……今からちょうど、ぁっ、楽しみにしてた、ぁんっ、……ご褒美のっ、ん、やっ、」
『今からちょうど、楽しみにしていたご褒美のご飯を食べるところだったの』
そう言いたかったのに、アキが唇を啄んだり首筋に吸い付いたりするせいで、全然ままならない。
「いい匂い。静さんの匂いだ」
そう言いながら首筋に鼻をこすりつけられて、くすぐったいようなぞわりとした感触に身を竦ませる。
その隙を狙ったかのように両手をひとつにまとめられ、頭の上に縫い留められた。そうなれば、部屋着の裾から侵入してきた手に対抗するすべもない。体を捻りたくても腰の上に彼がまたがっているから無理。
ううっ、なんかこれってまずいヤツ。オオカミに捕食される子ヤギってこんな気持ちなのか!?
いや、この場合、オオカミではなくドラトラ……。
「早くあなたに会いたくて、頑張って仕事を終わらせて来たんだ。だから僕にもご褒美をちょうだい」
「う、うん……じゃあ……一緒にご褒美飯をたべ、」
「僕にとってのご褒美はあなただ――吉野」
わたしにまたがったままそう言ってネクタイの結び目に指を掛けクイッと斜めに引く。口の端を持ち上げ瞳を細めながら、シュルリと首から抜き取った。
い、色気ダダ漏れ! 無駄遣い禁止!
「観念して? あんな可愛いこという言うあなたが悪いんだ」
ゆっくりと近付いてくる綺麗な顔にうっかり見惚れていると、触れるだけのキスが降ってきた。
柔らかく押し当てながら、食んだり啄んだり。直前の獰猛な色香を忘れさせるほど、甘く戯れるようなくちづけに、体からゆるゆると力が抜けていく。
出会った時から変わらない極上のキスが、わたしを溶かしていく。
だけどあの時とは違う。お互いを想い合うキスが、激しく胸を高鳴らせる。
触れ合うだけのくちづけがもどかしくなったわたしは、自分から彼のものに舌を絡めた。
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