転生したみたいなので異世界生活を楽しみます

さっちさん

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ダンジョン攻略 第三領〜第四領

80.

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無事にカタカタに到着した。
「とりあえず宿を取って今日はゆっくりするか」
街に入る前にシルバーとシッコクは影に入れて歩いて向かった。
アイザックが言うにはちょっと荒者が多い街で用心に越したことはないとか。
少し高そうな宿に着いた。
安宿はそれこそゆっくり出来ないからと商人が泊まりそうなところを選ぶ。
「ようこそいらっしゃいました。お二人様でよろしいですか」
「はい、子供がいるので出来たら角部屋でお願いします」
「畏まりました。三階の奥でしたら空いていますがそちらでよろしいでしょうか」
「それでお願いします」
角部屋イコール他の人と関わりたく無いと言う意味も含まれるらしい。
アイザックと案内された部屋にいく。
夕食も部屋食となる為他の宿泊客にはあまり顔を合わさなくて済む。
中に入った途端、アイザックが結界を張った。
「ククル、街の入口から付けてくる奴がいる。念の為、結界は常時展開しておくぞ」
「そうなの。だったら結界石使おうよ。部屋の四隅においたら大丈夫なやつだから」
収納から結界石を出して設置し、魔力を流して発動させる。
「相変わらず便利な物を持ってるよな。とりあえず休憩するか。」
「そだね、付けてきてる人に悪意はありそうだった?」
「いや、こっちの様子を伺っている感じだったぞ。」
「そっか、とりあえず様子見だね。」
この日はそれから一歩も部屋から出ずに過ごした。
翌日、とりあえずギルドに向かう。
「アイザック、ポーションは出さない方が良いかな?」
「ギルド自体は大丈夫だと思うが周りの様子がわからんから暫く様子を見てからのが良いかな」
「わかった。とりあえず大人しくしとくよ」
今日は完全に子供になる事にしてギルドの中に入った。
一瞬此方への視線を感じたが特に何かを言ってもこない。
そのまま受付に向かいアイザックが以前の事を話すと少し待たされた後、ギルマスのところに案内された。
部屋に入り適当に座らされる。
そこからはアイザックとギルマスが当時の事を話しているのを眺めていた。

漸く話が終わり、手続きをしてギルドを出る事にした。
宿に戻りながら少し観光する。
特に変わったものもなさそうで適当に店先を覗きながら歩いた。
街の中央の広場にたどり着いた。
屋台で色々お店がでている。
「ククル、お腹空いてないか?」
「甘いの食べたい」
ぐるりと店を見渡すとクレープみたいなのが目に入った。
「アレ食べたい」
「はいはい、買ってきてやるからここで待ってるか」
ちょっと腰掛けられる場所があったのでそこに座って待っている事にした。
アイザックは人混みをすり抜けて店の方に向かう。
おやつが食べれるのが楽しみでウキウキしながら腰を下ろした。
「ククル?」
急に呼ばれたので声の方を向くと会いたく無い奴の顔が見えた。
「カ、カイト」
「街に戻ったらいなくなってて心配したぞ」
優しく話かけてくるが正直キミが悪い。
腕を掴まれて頭を撫でようとするのでのけぞる。
「離してよ」
「こんなところで一人か。」
「ほっといてよ。貴方には関係無い」
「まあ、そんなに嫌うなよ。こっちにこいや。そうだ、俺が泊まってる宿で飯でも食うかい?」
この人、人の話を聞かない。
周りの人も他人には興味がないようで知らん顔だ。
「嫌だ」
「お前、何してる」
アイザックの声に掴まれてた手を振り切って駆け寄った。
「誰だ?俺は前に世話したククル、この子が1人で困ってたから話をしてたけだ。ほっといてくれ」
カイトがぶっきら棒に言い放つとククルを掴もうとするので咄嗟に逃げた。
「私は困ってなんか無い。カイトには用なんてない。来ないで」
「だ、そうだ。」
「その子の保護者は俺だ。ククルも我儘言ってないでこっちにこい」
とうとうカイトが意味の分からない事を言い出した。
「ほう、この子供の保護者と言うなら証明してもらおうか。見たところ冒険者のようだ。どうせならギルドで話をつけよう。いいな」
「なに、生意気言いやがって。ああ、構わない、いくぞ。ククルも逃げるなよ」
実は最初の登録時に未成年だからと身元保証がカイトになっていたのだ。
ただ、あの街を出た際にアイザックが登録を書き換えカイトが近づいてきた際の捕獲対象にしてくれている。
このままギルドに連れて行けたら二度と関わらないで済む。
前からもし何処かでかち合わせたらギルドに連行する予定だったのだ。
ついでに取られたポーションの代金も回収出来る様にアイザックがマーサスにギルドの真実の水晶を使用できる書面を貰ってくれてる。
真実の水晶とはその名の通り犯罪や偽りを暴く魔道具で本来なら使用許可が取れないとか。
王都でアイザックがカイトの事を調べたら結構犯罪ギリギリの事をあちこちでやらかしている様で捕らえるにも尾尻を掴ませ無いとか。
マーサスから許可が取れたのもこの事が絡んでるからと聞かされはしていた。
ギルドに到着し、個室を借りる。
アイザックが事情を説明し、ギルドの立会人が同席する。
カイトの様子をみる限りは恐らく自分が不利になるとは気づいていない。
案内された部屋で立会人を待っていると先程のギルマスが現れた。
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