転生したみたいなので異世界生活を楽しみます

さっちさん

文字の大きさ
50 / 207
到着

50.

しおりを挟む
団員達が集まってきてワイワイ騒ぐ。揉みくちゃにされそうになりアイザックの方に逃げた。
「一応子供だからそれくらいにしてやってくれ」
アイザックに抱っこしてもらい避難するも中々しつこい。仕方がないので奥の手を出すことにした。
#ガル、出といて#
「ガウッ」
「「「「うわっ」」」」
いきなり大きなホワイトパンサーが目の前に現れてみんな後ずさった。
アイザックに下ろしてもらいガルの側にいく。
その横にファルとクロイスも並ぶ。当然、本来の大きさだ。
「ホワイトパンサーのガルだよ。あと、ドラゴンのファルにアイザックの従魔でブラックウルフのクロイス」
次々に出てくる従魔達にまた違った騒ぎが起きている。
あまりの騒がしさに呆れていると団長の怒鳴り声が聞こえた。
「お前ら、うるさい。一旦落ち着け」
「おやおや、大声で何を騒いでるのかな」
入口から声が聞こえて来たので振り向くとルーズベルト公爵が入ってきた。
途端にみんな整列し出迎える。
「あっ、おじいちゃん」
私がとてとて走って寄って行くと少し戸惑ってしまい立ち止まった。
「あの子達私の従魔なの。紹介するね」
気にせず手を引いてガル達の前に連れていく。
「この子がガルでこっちがファル、あとねプヨ、プル、パヨだよ。で外のがシルバーとシッコクなの」
おじいちゃんの顔を覗きこんで話をしているとなんとか声を絞り出して答えてくれた。
「外のとはバトルホースのことかい」
「そうなの。おっきいでしょ」
「沢山、仲間がいるんだな。そっちのブラックウルフは違うのかい」
「あの子はアイザックの従魔だよ」
私達二人の会話を不思議そうに周りはきいている。
「皆、ご苦労様。実はな報告がある。この子ククルなんだがダリアの、五年前に死んだ娘の子だ。冒険者を続けたいそうだから街には留まらないが居てる間はよろしく頼むぞ」
周りの空気が一瞬固まった。私もまさか紹介されるとは思わず固まってしまった。
「ククル、そなたの好きな様にしたら良いぞ。ただ、ワシの孫に違いない。それくらいは保証させてくれ」
そう言ってルーズベルト家の紋章の入った指輪を改めて渡された。
昨日の指輪は母の物だったのでおじいちゃんに返したのだが私の指輪を用意してくれたみたいで恥ずかしそうに差し出してくる。
私はそれを笑顔で受け取った。
「ありがとう、おじいちゃん。大切にするね」
「「「「公爵おめでとうございます。ククル様、ありがとうございます」」」」
中には涙目になっている騎士もいる。
「えへ、ありがとうございます」
「その指輪は一度はめて魔力を流すと使用者が限定できる。やってご覧なさい。」
言われたのではめて魔力を流すと指に吸い付く様に馴染んだ。
「この指輪はルーズベルトの血にしか反応しない。他のものが持っていてもただの指輪にしかならないからな。必要なら存分に活用したら良いぞ」
そうして嬉しそうに話している公爵に改めてお礼を伝える。
「ありがとうございます。私で力に慣れる事がありましたらいつでも言って下さい。」
「そんなに改まらなくて良い良い。」
それからは私はおじいちゃんと話をする。アイザックやガル達は団員を蹴散らかしている。
先程の魔導士との事を話すと実は見ていたらしくこちらもやはりビックリした様だ。
「あの実力なら多少の事では大丈夫そうだなと確信したわい。立派な従魔も連れているし、安心したよ。ところでなククル、今日は泊まっていかないかい。ゆっくり話がしたいんだが」
「いいよ。後でアイザックにも言っとくね」
「彼も一緒の方が良いからその様に伝えてくれ」
また、昼食時にと屋敷に戻っていった。
それから私も蹴散らかしに混ざって楽しむ。私とガルの連携に右に出る者は居ない。
お腹も空いて来たので訓練を終了しアイザックに先程の事を伝えて屋敷に向かった。
「おかえりなさいませ。ククル様、アイザック様。旦那様を呼んで参りますので先にリビングでお待ちください」
執事のマルクスが出迎えてくれてリビングに案内してくれた。
暫く待っているとおじいちゃんが現れた。
「お二人共お疲れ様。お腹も空いただろう。先ずは食事にしようか」
ちょっと豪華な昼食に嬉しくなって一生懸命食べた。
「ごちそうさまでした。美味しかった」
お腹もいっぱいになって今度は応接室で寛いでいる。
「ククル、アイザック殿、実は甥を紹介したくて今晩到着するから夕食に同席してもらえるだろうか」
今度領主を下げ渡す方が来られるとか。
「私の様な他人が居てはお邪魔になりませんか?」
「他人と言ってもククルの保護者はアイザック殿だ。気にしなくて良いぞ」
こうして夕方までゆっくりさせてもらう事になり、叔父とその家族に面会する事になったのだ。
しおりを挟む
感想 133

あなたにおすすめの小説

異世界に転移したら、孤児院でごはん係になりました

雪月夜狐
ファンタジー
ある日突然、異世界に転移してしまったユウ。 気がつけば、そこは辺境にある小さな孤児院だった。 剣も魔法も使えないユウにできるのは、 子供たちのごはんを作り、洗濯をして、寝かしつけをすることだけ。 ……のはずが、なぜか料理や家事といった 日常のことだけが、やたらとうまくいく。 無口な男の子、甘えん坊の女の子、元気いっぱいな年長組。 個性豊かな子供たちに囲まれて、 ユウは孤児院の「ごはん係」として、毎日を過ごしていく。 やがて、かつてこの孤児院で育った冒険者や商人たちも顔を出し、 孤児院は少しずつ、人が集まる場所になっていく。 戦わない、争わない。 ただ、ごはんを作って、今日をちゃんと暮らすだけ。 ほんわか天然な世話係と子供たちの日常を描く、 やさしい異世界孤児院ファンタジー。

憧れのスローライフを異世界で?

さくらもち
ファンタジー
アラフォー独身女子 雪菜は最近ではネット小説しか楽しみが無い寂しく会社と自宅を往復するだけの生活をしていたが、仕事中に突然目眩がして気がつくと転生したようで幼女だった。 日々成長しつつネット小説テンプレキターと転生先でのんびりスローライフをするための地盤堅めに邁進する。

転生チート薬師は巻き込まれやすいのか? ~スローライフと時々騒動~ 

志位斗 茂家波
ファンタジー
異世界転生という話は聞いたことがあるが、まさかそのような事を実際に経験するとは思わなかった。 けれども、よくあるチートとかで暴れるような事よりも、自由にかつのんびりと適当に過ごしたい。 そう思っていたけれども、そうはいかないのが現実である。 ‥‥‥才能はあるのに、無駄遣いが多い、苦労人が増えやすいお話です。 「小説家になろう」でも公開中。興味があればそちらの方でもどうぞ。誤字は出来るだけ無いようにしたいですが、発見次第伝えていただければ幸いです。あと、案があればそれもある程度受け付けたいと思います。

裏の林にダンジョンが出来ました。~異世界からの転生幼女、もふもふペットと共に~

あかる
ファンタジー
私、異世界から転生してきたみたい? とある田舎町にダンジョンが出来、そこに入った美優は、かつて魔法学校で教師をしていた自分を思い出した。 犬と猫、それと鶏のペットと一緒にダンジョンと、世界の謎に挑みます!

婚約破棄されたので森の奥でカフェを開いてスローライフ

あげは
ファンタジー
「私は、ユミエラとの婚約を破棄する!」 学院卒業記念パーティーで、婚約者である王太子アルフリードに突然婚約破棄された、ユミエラ・フォン・アマリリス公爵令嬢。 家族にも愛されていなかったユミエラは、王太子に婚約破棄されたことで利用価値がなくなったとされ家を勘当されてしまう。 しかし、ユミエラに特に気にした様子はなく、むしろ喜んでいた。 これまでの生活に嫌気が差していたユミエラは、元孤児で転生者の侍女ミシェルだけを連れ、その日のうちに家を出て人のいない森の奥に向かい、森の中でカフェを開くらしい。 「さあ、ミシェル! 念願のスローライフよ! 張り切っていきましょう!」 王都を出るとなぜか国を守護している神獣が待ち構えていた。 どうやら国を捨てユミエラについてくるらしい。 こうしてユミエラは、転生者と神獣という何とも不思議なお供を連れ、優雅なスローライフを楽しむのであった。 一方、ユミエラを追放し、神獣にも見捨てられた王国は、愚かな王太子のせいで混乱に陥るのだった――。 なろう・カクヨムにも投稿

転生したら神だった。どうすんの?

埼玉ポテチ
ファンタジー
転生した先は何と神様、しかも他の神にお前は神じゃ無いと天界から追放されてしまった。僕はこれからどうすれば良いの? 人間界に落とされた神が天界に戻るのかはたまた、地上でスローライフを送るのか?ちょっと変わった異世界ファンタジーです。

魔物の装蹄師はモフモフに囲まれて暮らしたい ~捨てられた狼を育てたら最強のフェンリルに。それでも俺は甘やかします~

うみ
ファンタジー
 馬の装蹄師だった俺は火災事故から馬を救おうとして、命を落とした。  錬金術屋の息子として異世界に転生した俺は、「装蹄師」のスキルを授かる。  スキルを使えば、いつでもどこでも装蹄を作ることができたのだが……使い勝手が悪くお金も稼げないため、冒険者になった。  冒険者となった俺は、カメレオンに似たペットリザードと共に実家へ素材を納品しつつ、夢への資金をためていた。  俺の夢とは街の郊外に牧場を作り、動物や人に懐くモンスターに囲まれて暮らすこと。  ついに資金が集まる目途が立ち意気揚々と街へ向かっていた時、金髪のテイマーに蹴飛ばされ罵られた狼に似たモンスター「ワイルドウルフ」と出会う。  居ても立ってもいられなくなった俺は、金髪のテイマーからワイルドウルフを守り彼を新たな相棒に加える。  爪の欠けていたワイルドウルフのために装蹄師スキルで爪を作ったところ……途端にワイルドウルフが覚醒したんだ!  一週間の修行をするだけで、Eランクのワイルドウルフは最強のフェンリルにまで成長していたのだった。  でも、どれだけ獣魔が強くなろうが俺の夢は変わらない。  そう、モフモフたちに囲まれて暮らす牧場を作るんだ!

ペットたちと一緒に異世界へ転生!?魔法を覚えて、皆とのんびり過ごしたい。

千晶もーこ
ファンタジー
疲労で亡くなってしまった和菓。 気付いたら、異世界に転生していた。 なんと、そこには前世で飼っていた犬、猫、インコもいた!? 物語のような魔法も覚えたいけど、一番は皆で楽しくのんびり過ごすのが目標です! ※この話は小説家になろう様へも掲載しています

処理中です...