40 / 43
第三章 前日譚
隣人
しおりを挟む
カワイイ
……可愛い!?誰が!?
「あはは。シェフレラ君も、サザンカのこと可愛いって思ってたんだ。奇遇だね?」
シェフレラ君のことを見て笑顔で話しているキールだが、なんだか声のトーンが低い。
ていうか可愛いって俺のことか!?話の流れ的にそうかなとは思ったけど、まさか本当に俺のことだったとは。
可愛い…そうか今のが可愛いのか…
…でも可愛いのは俺っていうより、
「キールの方が可愛いと思うけどなあ」
キラキラと輝く太陽のように優しい金髪も、菫のように可愛らしい紫色の瞳も、何より俺の事を見つめる表情が。
少し顔を赤くしてボソッとそう言った。その呟きを聞き逃さなかったキールは、先程までシェフレラ君の方を見ていたが、勢いよくこちらを向いた。ぐわんっと効果音が着きそうなほどに勢いが凄かった。
「サ、サザンカ…そんな可愛い顔でかっこいいこと言うのやめて。」
そう言ってジト目でこちらを見るキールは、やはり俺なんかよりも可愛い。
「ふふっ。キール、照れてるの?やっぱり可愛いなあ。」
なんだかほのぼのとした気持ちになって思わずニコニコしてしまう。
「サザンカは自分の可愛さをわかってるのか?」
俺のニコニコ顔を見てキールは何か呟いていたけど、よく聞き取れなかった。その後も不満そうに口篭っているキールを俺は生暖かい目で見つめていた。
弟に対して持つ感情とは似ているようで違う、この庇護欲をそそる感じ。学校の後輩とかともなんか違うな。
「ゴホン。2人とも、寮が見えてきたぞ。」
シェフレラ君が咳払いをしてそう教えてくれた。ちなみにシェフレラ君はキールから君とは仲良くなれそうな気がするよ、と敬語は取り外されてしまったのだ。
まあゲームではキールとシェフレラ君は側近と主という関係だったし、仲良くなるのも分かる。
だけど、その言葉を聞いて、なんだか胸の奥の方が重くなった気がした。俺の友達が俺の友達を取ったみたいで嫌だったのだろうか?それとも、ゲームの2人に近づいているみたいで不安になったのだろうか。自分でもよく分からないけれど。
そんなこんなで考えているうちに、2つの洋館に到着した。1つは全体的に赤色の洋館で、もう1つは全体的に青色の洋館だった。
寮は、男子寮と女子寮で建物が分けられている。2つの建物の距離は遠くない。
貴族の男女は近すぎる関係は婚姻前交渉とみなされ、世間からの評判は当然ながら悪くなる。だが、学校では将来の婿や嫁を探す者も少なくない。貴族だけではなく平民も入学できるので、学校ではごく稀に身分差の恋愛もあるそうだ。身分差の恋は兎も角、優秀な者を嫁や婿にするためにこの学校に入学する生徒も珍しくないので、"学校側の配慮"で、男女の寮は距離が遠すぎない場所にある。
"学校側の配慮"というものの中には、所謂お見合いというのものもある。婚約者が居ない生徒達で花開く会というお茶会が3ヶ月に1度催される。
そこでふと、俺の将来について考える。ゲームのサザンカの最期は、明るいものではなかった。だから、今までは結婚なんて全く眼中になかった。でも、ストーリーを変えられる可能性が出てきた。
俺も、一人の人間として誰かを愛し、そして愛される未来を考えてもいいのだろうか。前世は恋人なんていなかったから、今世は絶対作ってやろう。
そう決意をした俺は、2人と別れ、自分の部屋に向かった。今朝、自分の荷物をこの部屋に運んだ時には既に隣人の姿はなかったため、まだ隣人の姿は見ていない。
恐らく努力家な人なのだろう。隣人のベッドには剣が置かれていた。朝から鍛錬でもしていたのかもしれない。
いい人だといいなあ。と期待に胸を膨らませながら部屋をノックする。
………返事がない。
仕方なく扉を開ける。
「し、失礼します。」
恐る恐る中に入る。入ってすぐに共有スペースがあり、その奥にベッドスペースがある。そして手前にはユニットバスがある。辺りを見渡すが、人の気配はない。
誰もいないみた───··
と、思っていたらパァン!と横から大きな音がした。
「わあ!!!びっくりしたか!?初めまして!!!俺、スイレンって言うんだ!よろしくな!!!」
扉の裏から、クラッカーを持った少年が俺の目の前に現れた。
……可愛い!?誰が!?
「あはは。シェフレラ君も、サザンカのこと可愛いって思ってたんだ。奇遇だね?」
シェフレラ君のことを見て笑顔で話しているキールだが、なんだか声のトーンが低い。
ていうか可愛いって俺のことか!?話の流れ的にそうかなとは思ったけど、まさか本当に俺のことだったとは。
可愛い…そうか今のが可愛いのか…
…でも可愛いのは俺っていうより、
「キールの方が可愛いと思うけどなあ」
キラキラと輝く太陽のように優しい金髪も、菫のように可愛らしい紫色の瞳も、何より俺の事を見つめる表情が。
少し顔を赤くしてボソッとそう言った。その呟きを聞き逃さなかったキールは、先程までシェフレラ君の方を見ていたが、勢いよくこちらを向いた。ぐわんっと効果音が着きそうなほどに勢いが凄かった。
「サ、サザンカ…そんな可愛い顔でかっこいいこと言うのやめて。」
そう言ってジト目でこちらを見るキールは、やはり俺なんかよりも可愛い。
「ふふっ。キール、照れてるの?やっぱり可愛いなあ。」
なんだかほのぼのとした気持ちになって思わずニコニコしてしまう。
「サザンカは自分の可愛さをわかってるのか?」
俺のニコニコ顔を見てキールは何か呟いていたけど、よく聞き取れなかった。その後も不満そうに口篭っているキールを俺は生暖かい目で見つめていた。
弟に対して持つ感情とは似ているようで違う、この庇護欲をそそる感じ。学校の後輩とかともなんか違うな。
「ゴホン。2人とも、寮が見えてきたぞ。」
シェフレラ君が咳払いをしてそう教えてくれた。ちなみにシェフレラ君はキールから君とは仲良くなれそうな気がするよ、と敬語は取り外されてしまったのだ。
まあゲームではキールとシェフレラ君は側近と主という関係だったし、仲良くなるのも分かる。
だけど、その言葉を聞いて、なんだか胸の奥の方が重くなった気がした。俺の友達が俺の友達を取ったみたいで嫌だったのだろうか?それとも、ゲームの2人に近づいているみたいで不安になったのだろうか。自分でもよく分からないけれど。
そんなこんなで考えているうちに、2つの洋館に到着した。1つは全体的に赤色の洋館で、もう1つは全体的に青色の洋館だった。
寮は、男子寮と女子寮で建物が分けられている。2つの建物の距離は遠くない。
貴族の男女は近すぎる関係は婚姻前交渉とみなされ、世間からの評判は当然ながら悪くなる。だが、学校では将来の婿や嫁を探す者も少なくない。貴族だけではなく平民も入学できるので、学校ではごく稀に身分差の恋愛もあるそうだ。身分差の恋は兎も角、優秀な者を嫁や婿にするためにこの学校に入学する生徒も珍しくないので、"学校側の配慮"で、男女の寮は距離が遠すぎない場所にある。
"学校側の配慮"というものの中には、所謂お見合いというのものもある。婚約者が居ない生徒達で花開く会というお茶会が3ヶ月に1度催される。
そこでふと、俺の将来について考える。ゲームのサザンカの最期は、明るいものではなかった。だから、今までは結婚なんて全く眼中になかった。でも、ストーリーを変えられる可能性が出てきた。
俺も、一人の人間として誰かを愛し、そして愛される未来を考えてもいいのだろうか。前世は恋人なんていなかったから、今世は絶対作ってやろう。
そう決意をした俺は、2人と別れ、自分の部屋に向かった。今朝、自分の荷物をこの部屋に運んだ時には既に隣人の姿はなかったため、まだ隣人の姿は見ていない。
恐らく努力家な人なのだろう。隣人のベッドには剣が置かれていた。朝から鍛錬でもしていたのかもしれない。
いい人だといいなあ。と期待に胸を膨らませながら部屋をノックする。
………返事がない。
仕方なく扉を開ける。
「し、失礼します。」
恐る恐る中に入る。入ってすぐに共有スペースがあり、その奥にベッドスペースがある。そして手前にはユニットバスがある。辺りを見渡すが、人の気配はない。
誰もいないみた───··
と、思っていたらパァン!と横から大きな音がした。
「わあ!!!びっくりしたか!?初めまして!!!俺、スイレンって言うんだ!よろしくな!!!」
扉の裏から、クラッカーを持った少年が俺の目の前に現れた。
771
あなたにおすすめの小説
愛してやまなかった婚約者は俺に興味がない
了承
BL
卒業パーティー。
皇子は婚約者に破棄を告げ、左腕には新しい恋人を抱いていた。
青年はただ微笑み、一枚の紙を手渡す。
皇子が目を向けた、その瞬間——。
「この瞬間だと思った。」
すべてを愛で終わらせた、沈黙の恋の物語。
IFストーリーあり
誤字あれば報告お願いします!
悪役令息ですが破滅回避で主人公を無視したら、高潔な態度だと勘違いされて聖人認定。なぜか溺愛ルートに入りました
水凪しおん
BL
BL小説『銀の瞳の聖者』の悪役令息ルシアンに転生してしまった俺。
原作通りなら、主人公ノエルをいじめ抜き、最後は断罪されて野垂れ死ぬ運命だ。
「そんなの絶対にお断りだ! 俺は平和に長生きしたい!」
破滅フラグを回避するため、俺は決意した。
主人公ノエルを徹底的に避け、関わらず、空気のように生きることを。
しかし、俺の「無視」や「無関心」は、なぜかノエルにポジティブに変換されていく。
「他の人のように欲望の目で見ないなんて、なんて高潔な方なんだ……!」
いじめっ子を視線だけで追い払えば「影から守ってくれた」、雨の日に「臭いから近寄るな」と上着を投げつければ「不器用な優しさ」!?
全力で嫌われようとすればするほど、主人公からの好感度が爆上がりして、聖人認定されてしまう勘違いラブコメディ!
小心者の悪役令息×健気なポジティブ主人公の、すれ違い溺愛ファンタジー、ここに開幕!
婚約者の王子様に愛人がいるらしいが、ペットを探すのに忙しいので放っておいてくれ。
フジミサヤ
BL
「君を愛することはできない」
可愛らしい平民の愛人を膝の上に抱え上げたこの国の第二王子サミュエルに宣言され、王子の婚約者だった公爵令息ノア・オルコットは、傷心のあまり学園を飛び出してしまった……というのが学園の生徒たちの認識である。
だがノアの本当の目的は、行方不明の自分のペット(魔王の側近だったらしい)の捜索だった。通りすがりの魔族に道を尋ねて目的地へ向かう途中、ノアは完璧な変装をしていたにも関わらず、何故かノアを追ってきたらしい王子サミュエルに捕まってしまう。
◇拙作「僕が勇者に殺された件。」に出てきたノアの話ですが、一応単体でも読めます。
◇テキトー設定。細かいツッコミはご容赦ください。見切り発車なので不定期更新となります。
悪役令息の兄って需要ありますか?
焦げたせんべい
BL
今をときめく悪役による逆転劇、ザマァやらエトセトラ。
その悪役に歳の離れた兄がいても、気が強くなければ豆電球すら光らない。
これは物語の終盤にチラッと出てくる、折衷案を出す兄の話である。
BL世界に転生したけど主人公の弟で悪役だったのでほっといてください
わさび
BL
前世、妹から聞いていたBL世界に転生してしまった主人公。
まだ転生したのはいいとして、何故よりにもよって悪役である弟に転生してしまったのか…!?
悪役の弟が抱えていたであろう嫉妬に抗いつつ転生生活を過ごす物語。
公爵家の次男は北の辺境に帰りたい
あおい林檎
BL
北の辺境騎士団で田舎暮らしをしていた公爵家次男のジェイデン・ロンデナートは15歳になったある日、王都にいる父親から帰還命令を受ける。
8歳で王都から追い出された薄幸の美少年が、ハイスペイケメンになって出戻って来る話です。
序盤はBL要素薄め。
性悪なお嬢様に命令されて泣く泣く恋敵を殺りにいったらヤられました
まりも13
BL
フワフワとした酩酊状態が薄れ、僕は気がつくとパンパンパン、ズチュッと卑猥な音をたてて激しく誰かと交わっていた。
性悪なお嬢様の命令で恋敵を泣く泣く殺りに行ったら逆にヤラれちゃった、ちょっとアホな子の話です。
(ムーンライトノベルにも掲載しています)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる