推しの完璧超人お兄様になっちゃった

紫 もくれん

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8歳

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「第1皇子殿下にご挨拶申し上げます。」

「おー。苦しゅうない。」

「言いたかっただけですよね。」

「よきにはからへの方が良かったか?」

最後に第1皇子への挨拶。
相変わらずの態度だね。僕は公の場だからちゃんとやるよ。いつもみたいに喧嘩腰になっちゃうのはご愛嬌。

というかウザイから無視。そしたら今度は横に並んできた。邪魔すぎる。逃げたいのに。


「優勝おめでとう。でも俺がでてたらその座は俺のだったな。」

「ご冗談を。僕に模擬戦で勝ったことないでしょう。」

「殺していいなら勝てるわ。」


ほんと減らず口を聞くもんだ。

「僕はそこまでしなくても勝てますよ。」

「じゃあ俺は片手で勝てるわ。」

これ以上やっても似たりよったりだろう。大人な僕が引いてあげるよ。感謝してよね。

「そうですね。殿下。」

「うーわ。思ってもねぇくせによく言うわ。」

ニコッて笑って無視してやる。思ってないもん。仕方ないじゃん。

「兄上、これ解いてください!」

「テオは元気だね。でも先にご挨拶を。」

テオ様は僕の隣にいるルディに目を向けて次に僕の向こうにいる皇后陛下と第2皇子を見て肩を揺らした。

「皇后陛下、第1皇子殿下、第2皇子殿下にご挨拶申し上げます。」

「会うのは初めてね。クラウスの弟らしく良い子だこと。」

ふふふっと愛らしく微笑む皇后陛下。様になってるなぁ。本当は義母に男たちの目を奪われて面白くないだろうに。

テオ様の後ろで小さい赤色がウゴウゴしてる。テオ様より小さいだけで背の高い美人だけど。

「ご挨拶申し上げます。陛下。」

テオ・をおしのけて出てきた真っ赤な人。その人は目を奪われるほどの一礼をして見せた。
これだけの時間でここまでできるとは…やっぱり感性は悪くない。

その綺麗な一礼から頭を上げたらぶわっさって感じで真っ赤な髪の毛を払う。
その髪の毛からいい匂いがした。花?かな。僕が必死こいて戦いっている間にいくら使ったんだか。

義母から視線を逸らすためにテオ様にかけた魔法を解いてあげる。ゲームそのままの幻影だからすっごい眼福だった。かっこいいなぁ。やっぱりテオ様は僕の推しだ。


「ダンスがお上手なのね。パーティも慣れているのかしら。」

上手くやってくれよ。「ダンスは常識ですから。」くらいで済ませてくれ。相手は皇族。喧嘩は売らないでくれよ。



「ダンスと芸術鑑賞は趣味ですから。」

…終わった。
ダンスを趣味はダメだ。

そもそもダンスを趣味だ仕事だと言うのは異国の踊り子のことだ。踊り子なんてこの国では差別の対象になる。娼婦とかの性の対象。やっちゃったなぁ。

案の定クスクスと周りの女性たちがヒソヒソし始めた。

「ダンスが趣味ですって。」
「育ちがしれましてよ。」
「これだから男爵家の娘は。」

はぁ。どうすんのこの空気。僕は手を貸さないよ。

義母は気にした様子もなく背筋を伸ばして真っ赤な目を揺らがした。












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