空から来た少年

ジャム

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本編

俺の運命の相手

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「はぁ・・・」

俺は放課後の屋上でフェンスを掴み溜息をついた

「いつになったら・・・」

一体・・・いつになったら現れるんだ・・・
周りはもう運命の相手を見つけて付き合って楽しい学生ライフを送ってるっていうのに・・・

「もう三年だぞ・・・」

俺は高校最後の年・・・
もう三年生だ
そのうち運命の相手に出会って楽しい学生ライフを送れる・・・
と、思っていたが・・・甘かった・・・

「運命の相手どころか・・・出会いすらない・・・」

運命の相手・・・という贅沢は言わない・・・
でも・・・恋人の一人や二人ぐらい・・・

「俺の・・・青春が・・・」

青春が・・・終わってしまう・・・
貴重な青春が・・・俺の青春が・・・

「くそ・・・」

確かにモテはするんだ・・・
毛並みは・・・

女子『豹谷くん毛並み綺麗だね!』

女子『真っ白でサラサラ・・・』

女子『いいな~私もこんな毛並みに生まれたかった!!』

「・・・はぁ・・・」

俺は白豹獣人という稀に見るアルビノ個体だ
だからモテるんだよ・・・
毛並みだけはな・・・
俺自身は・・・モテない・・・
付き合おうというと・・・

女子『え・・・無理wもう運命の相手いるしw』

女子『無理かなw毛並みはいいんだけど・・・タイプじゃないからw』

もう聞き飽きたよ・・・
友達にも

友達『お前毛並みだけはモテるよな~w』

友達『な!はたから見たらモテモテに見えるんだけどなw』

友達『でも実際にモテてるのは毛並みというw』

「・・・なんで・・・」

なんで俺はモテないんだ・・・
俺を見てくれる奴・・・
毛並みじゃなくて・・・俺自身を見てくれる奴・・・
なんで・・・現れない・・・
なんで・・・出会わない・・・

「・・・っ!!」

俺はフェンスを強く掴み

「俺に!!運命の相手を!!!会わせてくれよ!!!」

大声を出して学校中に聞こえるぐらい叫んだ

「神とやら!!もしいるなら俺に運命の相手を巡り合わせてくれよ!!」

もし・・・神がいるなら・・・俺の願いを叶えてくれよ・・・

「今すぐ!!!!!」

俺は息が続く限り叫んだ
神も仏も・・・俺は信じてない
これまでの人生・・・何度神頼みをしたことか・・・

「・・・はぁ・・・何やってんだろう・・・俺・・・」

もう・・・諦めようかな・・・
この際、独身貴族を貫くのもいいかも・・・
自分の好きなことだけをして、好きな物を食べ、好きな仕事をして・・・
相手を気にせず、自分のことだけを考えて・・・

「・・・そう・・・しようかな・・・」

そんなことを考えていた時

???『・・・けて・・・』

「ん?」

どこからか声が聞こえた・・・気がした

「気のせい・・・か?」

???『そ・・人!・・・・けて・・・・!』

「!?気のせいじゃない!?」

俺は周りを見渡した
でも、見つけることができない
そしてふと空を見た

「ん?・・・え!?」

夕日が煌めく空から一人の人間?がこっちに向かってきていた

???『助けて!!!!』

その人間?は俺に助けを求めているらしい

「は!?え!?なんで空から!?てか、どう助けろと!?」

俺はどうしたらいいかわからなかった
そして・・・

「っ!?」

ドサッ!!

人間は俺の上に落ちてきた

(あ・・・思ったより重くないし、痛くない・・・)

すごい勢いで落ちて来たから死ぬと思ったが・・・
思っていた以上に痛くはなかった

人間「い・・・生き・・・てる?」

人間は自分の身体を確認している
そして

人間「よ、よかった~・・・生きてる~~~~」

生きている安心からか、笑顔で声を上げる
それはいい・・・それはいいんだが・・・

「お、重い・・・」

さっきまで重くなかったのに急に重くなってきた

人間「え?あ!すみません!!お怪我は・・・え!?」

人間は俺の心配をしたと同時にものすごい驚き様だった
まるで化け物を見るかのような感じだ

「どいてくれないか?」

人間は慌てて俺からどいた
そしてすごい勢いで俺から離れた

「いきなり・・・空から・・・なにがあったんだよ・・・」

いきなり空から降ってくるなんて・・・
どこの有名なアニメの序盤シーンだよ・・・
そのシーンでは女の子がゆっくり空から降ってくるけどな・・・

人間「え・・・へ・・・?」

俺は立ち上がり服装を整えていた
それを人間は見てくる

人間「な・・・なにが・・・?」

人間は状況がわかっていないようだ
俺もだが・・・
それにすごい見てくる
びっくりするぐらい見てくる

「なんだよ」

人間「え・・・?え!?」

話は・・・通じるみたいだな
人間は相当パニックなんだろう
俺もだが・・・

「っ!?お前・・・」

俺は人間の顔を今、ちゃんと見た
その時、心臓にものすごい衝撃が走った
そして俺は理解した
こいつが・・・
俺は人間に近づいた
人間は後ずさりし壁に背を付ける

人間「っ!?」

追い詰めたところで俺は人間の両頬を掴んだ

「・・・お前がそうなのか?」

人間「な、なにを言ってるんですか?」

人間は自覚していないみたいだ
俺の母さんもだけど・・・人間は感じにくいらしいからな・・・

「・・・まぁいい」

そのうち、理解するだろう
それより今はいろいろ知りたいことが多すぎる

「お前。名前は?どこから来た?見慣れない制服を着てるけど・・・どこ校?なんで空から降ってきたんだ?」

人間「そ、それは・・・」

いっぺんに聞いたからなのか、人間は戸惑っていた

人間「えっと・・・名前は『萩野 悠斗』です。で・・・えっと・・・高校は〇〇高等学校です」

『萩野 悠斗』・・・だな
苗字は別だが、名前が母さんと一緒・・・
これも・・・運命か?
てか、○○高等学校?
そんな高校・・・あったか?

「?〇〇高等学校?どこにあるんだ?」

萩野「え、東京にある高等学校です」

「ちょっと待てよ・・・」

俺はスマホのマップで検索してみた

「・・・お前・・・嘘言ってないか?」

萩野「い、言ってないですよ!」

「だが、そんな学校ないぞ?」

萩野「え!?」

人間・・・えっと・・・萩野は驚き俺のスマホを覗いてくる
萩野からミルクのようないい匂いがしてくる

(甘い匂い・・・)

萩野「そんな・・・」

萩野は自分のスマホを取り出し何かをしている

萩野「ここに・・・高校なんてあったっけ・・・?」

萩野は一瞬動きが止まったと思ったらどこかに電話をかけ始めた

萩野「え・・・?」

萩野は何度も電話をかけている
だが、電話相手は電話に出てくれないみたいだ

萩野「ど、どうしよう・・・」

萩野は絶望したような顔をしていた

萩野「・・・」

そして俺を見つめてきた

「なんだよ」

怯えたような・・・
怖がっているような顔をしていた

萩野「・・・よし」

萩野は軽く気合を入れ屋上の出入り口に向かった

「どこ行くんだ?」

萩野「・・・家に帰ります。失礼しました・・・」

そう早口で言うと俺に背を向けて屋上を出て行った

「・・・」

ここでこのまま離れたら、もう二度と会えないかもしれない・・・
折角・・・折角、運命の相手に会えたんだ!

「ここで逃がしてなるものか!!」

俺は萩野の後を追いかけた・・・
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