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39話 魔法学科の裏側

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 膝から崩れて泣いている生徒会長の妹。それを見ている僕。そしてその現場を目撃した生徒会長。

 これは、僕の学園生活もそろそろ終わりが近いか?今回は短かったなぁ……。

 まあ、やめる気はさらさらない。そもそもこの状況で僕が折れるような素振りを見せるようなら本気で罪を認めたことになる。こういう時に出番が来るんですよ、詐欺の交渉手段というのは。
 生徒会長は僕の方に向かって歩いてきて、僕の横を通り抜け、彼の妹の方へ向かっていく。

「誰にやられた?どうしてこうなったんだ?」

 冷静な声。それは、決して大きな声ではなかったが、なにか恐怖のようなものすら感じさせた。前にフルヤさんに叱られた時のことを思い出す。
 それとは対象的に小さく、弱い声が嗚咽に紛れてとぎれとぎれに聞こえてくる。

「……ちがう、あの人……違うから」

 生徒会長は僕の方を向く。そして、僕のクラスのチラシを拾った。

「どうやら私の妹が迷惑をかけてしまったらしい。彼女には……」

「いいや、妹さんの話を聞いてあげてください。理由もわからずうやむやにされるのは嫌いなんです」

 生徒会長の声を制止してまでこういったのは、どういう結論に至ろうとその理由を聞かなければ納得できないという日本での反省である。
 泣きながらチラシを破るなんて一体どういう経緯でそうなったのかという好奇心も若干あったのだが。

「そうか。なら、それを聞いてから考え直すことにしてみるか」

 生徒会長がそう言い、妹の方を向いた。彼女は涙をこらえながら言った。

「命令、されたんです。チラシを剥がしておかないと魔法で……」

 脅された、ということなのだろうか。たちが悪いというか少女にやらせるとか外道の域だと思う。
 しかも生徒会長の妹であるのだからそれはもう。

「脅迫された、ということか?どういう人にされたか分かるか?」

「名前はわからないです。が、魔法学科の先輩で……」

 イマイチ絞りきれない。この学校には魔法学科の先輩というだけで軽く八百人は超すからである。こういった時にもう少し情報が絞り込めればなぁ……。

「もしかしたら、分かるかもしれません」

「シュン、どういうことだ?」

 無属性魔法の「Giveギブ」の項目には、物を与えるという魔法があるわけなのだが確か、記憶を与えることが出来る物もあったような気がするのだ。
 これが使えれば彼女の記憶の中にある人物を絵のような形で見ることが出来る、というわけだ。
 ちなみに、この魔法は相手の承諾がないとできないという、ある意味で一番厄介な素材を必要とするのだが。

「魔法でその人の顔を写すことが出来るかもしれません。記憶を開示してくれませんか?」

「開示、って記憶をすべて見ることが出来るということか!?待て!」

「いいえ、見れるのは彼女が見せようとするものだけです。それに、どういう情報が必要かを僕も事前にわかっておく必要があります」

 要するに、相手と自分の見たいものと見せたいものが一致しなければこの魔法は使えない、というわけだ。一般的に普及はされていないので当然の反応だけれども。

「記憶を、開示します」

 彼女はそれを聞いて意を決したのか許諾した。

Give:MEMギブ・メモリー

 どういう人物が現れるのだろうか、と好奇心がだいぶ勝っていたのだが、すぐにそれは落胆へと変わっていった。

 いや、むしろ驚愕に近いかもしれない。
 その顔は、とても見知った顔だったからだ。

__________僕が、写っていた。
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