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第一章
第4話「なめらかな曲線」
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少年から上着を脱がすと、泥で汚れていても分かる滑らかな腰と形の良いふっくらした尻たぶが露わになった。
そこには引っ掻かれた様な細い傷がいくつも赤い線を引いている。これは枝先に引っ掛かり付いた傷と同じだとウクダーは感じた。
にしても、水を流せばさぞかし麗しい肌と身体が目の前に現れるのは間違いない。
今でも少年の小さな尻を鷲掴みにして、揉みしだきたい衝動が溢れ出てくる。
(俺は……素肌を見せられて正気でいられるだろうか……)
心臓の鼓動が低音を強く鳴り響かせてくる。ウクダーは心音のけたたましさに頭を振りながら、期待と葛藤で眩暈を起こしそうになっていた。
「……早速洗っていくぞ」
「うん」
まずは少年の白く長い髪に水をかけた。そしてこびり着いた葉の破片や小さなゴミを流していく。
十数回と水を流しながら指の間で髪を梳いていると、やがて少年の髪は、虹色に光る絹糸に様変わりしていった。
(肌の白さに気を取られていたが……見た事の無い髪だ。いや、少年の髪は俺の髪と同じものなのか? もしこの髪で布を編んだら、麗しい膜が出来上がりそうだ)
少年の白い髪はとても長く、彼の膝下辺りまで伸びている。
妖精と見紛う美しさに、ウクダーは再び視線を奪われてしまっていた。
「……お兄さん、水が沁みて背中が痛い。それに寒いよ……」
「あ! あぁ、すまん……」
一人だけ時が止まっていたウクダーに、少年が卑しそうな眼差しで後ろを振り向く。
まだ全身は泥だらけで、彼は身を縮こませてピリピリした痛みと寒さに耐えていた。
「……ふぇっくしゅっ!」
「わ、悪い、ボーッとしてしまった……すぐ身体を拭いてやるからな」
ウクダーは慌てて手拭いを湯に浸した。少年の髪を束にして前に垂らし、背中にこびり付いた泥を拭い取ろうとした。
「――ひゃぁっ! いだいっっ!」
手拭いで少年の背中を拭いた途端、彼はつんざく痛みが走って飛び上がり悲鳴を上げた。
「いだいよぉ! その布、擦れると傷にひびくんだけどぉ!」
「え!? 仕方ないだろ? これで拭かないと、しっかり汚れが落とせないぞ?」
「でもその布使うのイヤだぁ! 痛いのイヤだぁぁっ!」
「そんな事言われてもな……」
ウクダーは手拭いと傷だらけな少年の背中に何度も視線を行き来させて数秒後、一つだけ方法を思い付いた。
しかしその方法は、ウクダーの理性を更に惑わすやり方でもある。
「俺の手で直接……でも良いのか?」
「痛くなければいいよ?」
少年の気持ちを最大限に汲んだつもりでウクダーは聞いたのだが、当の本人はキョトンとして話の真意を全く理解していない。
美しくなだらかな曲線の肌に触れられる……ウクダーにとっては心が跳ね上がる事態だ。しかしあくまでも冷静に、少年の気持ちを傷つけない様にしなくてはならない。
「キミがそれで良いのならそうするが、もしイヤだと思ったり気持ち悪いと感じたらすぐに言うんだぞ?」
「ん? うん、分かった」
無垢な返答が、かえってウクダーを気まずい心境にさせる。
ウクダーは暴走しそうな下腹部にグッと力を込めながら、少年の華奢な背中にそっと右手を乗せていった。
そこには引っ掻かれた様な細い傷がいくつも赤い線を引いている。これは枝先に引っ掛かり付いた傷と同じだとウクダーは感じた。
にしても、水を流せばさぞかし麗しい肌と身体が目の前に現れるのは間違いない。
今でも少年の小さな尻を鷲掴みにして、揉みしだきたい衝動が溢れ出てくる。
(俺は……素肌を見せられて正気でいられるだろうか……)
心臓の鼓動が低音を強く鳴り響かせてくる。ウクダーは心音のけたたましさに頭を振りながら、期待と葛藤で眩暈を起こしそうになっていた。
「……早速洗っていくぞ」
「うん」
まずは少年の白く長い髪に水をかけた。そしてこびり着いた葉の破片や小さなゴミを流していく。
十数回と水を流しながら指の間で髪を梳いていると、やがて少年の髪は、虹色に光る絹糸に様変わりしていった。
(肌の白さに気を取られていたが……見た事の無い髪だ。いや、少年の髪は俺の髪と同じものなのか? もしこの髪で布を編んだら、麗しい膜が出来上がりそうだ)
少年の白い髪はとても長く、彼の膝下辺りまで伸びている。
妖精と見紛う美しさに、ウクダーは再び視線を奪われてしまっていた。
「……お兄さん、水が沁みて背中が痛い。それに寒いよ……」
「あ! あぁ、すまん……」
一人だけ時が止まっていたウクダーに、少年が卑しそうな眼差しで後ろを振り向く。
まだ全身は泥だらけで、彼は身を縮こませてピリピリした痛みと寒さに耐えていた。
「……ふぇっくしゅっ!」
「わ、悪い、ボーッとしてしまった……すぐ身体を拭いてやるからな」
ウクダーは慌てて手拭いを湯に浸した。少年の髪を束にして前に垂らし、背中にこびり付いた泥を拭い取ろうとした。
「――ひゃぁっ! いだいっっ!」
手拭いで少年の背中を拭いた途端、彼はつんざく痛みが走って飛び上がり悲鳴を上げた。
「いだいよぉ! その布、擦れると傷にひびくんだけどぉ!」
「え!? 仕方ないだろ? これで拭かないと、しっかり汚れが落とせないぞ?」
「でもその布使うのイヤだぁ! 痛いのイヤだぁぁっ!」
「そんな事言われてもな……」
ウクダーは手拭いと傷だらけな少年の背中に何度も視線を行き来させて数秒後、一つだけ方法を思い付いた。
しかしその方法は、ウクダーの理性を更に惑わすやり方でもある。
「俺の手で直接……でも良いのか?」
「痛くなければいいよ?」
少年の気持ちを最大限に汲んだつもりでウクダーは聞いたのだが、当の本人はキョトンとして話の真意を全く理解していない。
美しくなだらかな曲線の肌に触れられる……ウクダーにとっては心が跳ね上がる事態だ。しかしあくまでも冷静に、少年の気持ちを傷つけない様にしなくてはならない。
「キミがそれで良いのならそうするが、もしイヤだと思ったり気持ち悪いと感じたらすぐに言うんだぞ?」
「ん? うん、分かった」
無垢な返答が、かえってウクダーを気まずい心境にさせる。
ウクダーは暴走しそうな下腹部にグッと力を込めながら、少年の華奢な背中にそっと右手を乗せていった。
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