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051:妖魔コロボックル2

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 妖魔の様子を見てくれているシルフィーに、ここに連れてきた理由を説明した。

「ダンジョンに吸収されるか……成る程、あり得るわね」シルフィーは納得したように頷いている。

「それにしても、かなり存在を吸われた感じね、ここまでになると自然回復はもう無理ね……かなり賭けになるけど試してみるしかないようね」

 そう言うと、精霊樹に飛んでいき、葉の繁った辺りに入って行った。戻ってきた時には一本の小さな葉のついた枝を握っていた。

「上手く行くかは分からないけど、この枝に宿らせてみましょう。どこにしようかな?」

 暫く辺りを飛び回り、精霊樹の側の少し森林寄りの空いている地面に、その枝を突き刺した。

「ここなら成長しても回りに迷惑にならないし、私の精霊樹も何かあったら助けられるかな」

 僕達はシルフィーに呼ばれ妖魔を抱えて、その場所に集まった。そして、シルフィーの指示で刺した枝の側にその眠ったように動かない妖魔を置いた。

「今回は少しでも成功率が上がるように三人の力を貸して貰って、精霊石の大地の癒しを行います」シルフィーがそう告げた。
 
 僕達はやるべき事を理解し、キャロが右手に精霊石の小石を持ち、左にルナそして僕の順番に並んで手を繋いだ。

 僕が魔力循環を行い、ルナに送り、ルナを経由してキャロに届いた。

 魔力の流れを感じたキャロが「【小石さん大地を癒して下さい】」と右手を掲げた。

 精霊石の小石から、金色に輝く砂粒のようなものが吹き出し、精霊樹の枝の周辺に吸い込まれるように消えていく……

 それと一緒に吸い込まれるように妖魔の姿も輪郭がボヤけたかと思うと透明になりやがて消えてしまった。

 僕は、その成り行きに驚いていた、まさか消えてしまうとは思ってもみなかったからだ。

 だが変化はそれで終わらず、地面に刺しただけの枝が大地に根を張っただけでなく成長までしたのだ。

 只の枝だったものが急成長を遂げ、キャロの顎の辺りの高さまでになり、今や小さな若木と呼んでもいいような物に成長してしまった。

「普通はこんな急成長なんて有り得ない事よ、三人の魔力と妖魔の魔素を苗床にしたからでしょうね。それに」僕の方をチラリと見て

「ユーリと精霊石の成長も大きいわね、特に精霊石の力が増してるのが分かるわ、一体、何をしたのかしら?」

 僕はダンジョンで自分が吸収できない分の魔素を全て【ごはん】として精霊石に与えている事を話した。

「うーん、ユーリ、この事は秘密にしておきなさい……二人もいいわね?」シルフィーはルナとキャロに確認した。

 ルナは黙って頷き、キャロは口を両手で押さえてウンウン頷いている。

「ユーリ、あなた普通より成長が早い事を自覚しているかしら?」

 全く自覚のなかった僕が、何の事かと尋ねようとした時、口を押さえていたキャロが

「なんか光ってるよ!」そう言って小さな精霊樹の若木を指差していたのだった。
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