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第一部  第五章  拗らせとすれ違いの先は……

20  愛する貴女と共に生きる事  リーヴァイSide

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「あら公爵、貴方がヴィヴィアン様に相応しいと私を含めまだまだヴィヴィアン様を愛でる会のメンバー全員が認めておりませんわよ。ねぇヴィヴィアン様次に先日の様に公爵よりお逃げになられるのでしたら是が非とも私達愛でる会員達が全力で以ってヴィヴィアン様を、いいえヴィヴィアンお姉様をお護り致しますわっ」

 ええそれこそあらゆるコネと権力を幾らでも行使致しますともっ!!

「ふーん、その控えめな胸を精一杯前へ突っ張らなくとも心配御無用。僕は決してもう二度と我が愛する妻を離したりはしませんよと言うか、さっさと国へ帰れっ、この我儘王太子妃!!」

 ない胸を、まな板同然の胸をこれでもかと俺の前で突っ張る必要等何処にもない。
 いや返ってそれを見せられた日には気分が悪くなるだけ迷惑と言うモノだ。
 

 こいつ……サリスの王太子妃であるシェリル妃とその夫で王太子のレイモンドとは年齢の近い事もあり気心の知れた悪友と言う存在である。

 また同時にシェリルとはヴィヴィアンを巡り何度もこうして出口のない堂々巡りの争いをしているのだ。

 だが何度も言うが俺の愛するヴィーは誰のモノでもなくこの俺だけの唯一なる存在。

 俺とヴィーの間に何人も割って入る事は適わぬと申しているのにも拘らずだ。


 そして何故か男よりも女、然もである。

 ほんの小さな子供から棺桶に片足……いや両足を勢いよく突っ込んだ様な婆さんまでと何とも幅の広い年齢層の、その行く先々でヴィーは直ぐに人気者へとなってしまう。
 

 またヴィー自身も乞われればいやだとはっきり言えない性格。
 はあ、アレはもう度の超えたお人好しだな。
 

 だがそんな可愛らしい性格のヴィーを見るだけで俺はもう数え切れない程に貴女へ恋に堕ちている。

 それと同時に人の輪の中で微笑んでいる貴女を見るとどうしようもなく胸の中はどす黒いドロドロの嫉妬心で満ちると共に叶うものであれば貴女を直ぐにでも俺の腕の中へと囲い込みたいのだ。

 そうして貴女の美しい紫水晶の瞳には今後一切俺だけしか映らない様にしてしまいたいと言う欲望となけなしの、ああそれこそ吹けば飛んで行く様な理性が俺の心の中は常にせめぎ合っているのだよ。


 狭量な男だと罵られてもいい。
 貴女を生涯俺だけのモノに出来るのであれば俺は今直ぐにでも、ああ何でもしてみせよう。

 それは俺と言う籠の檻の中でしか生きる事を望まない貴女だからこそ、俺は今まで惨い転生を繰り返してきた貴女だからこそ――――だ!!

 俺は俺の篭の中に貴女を閉じ込めたくはない。

 俺は今まで貴女に対し酷い仕打ちをしたリーヴァイではなく、結人であり他にも色々と転生を繰り返しこうして紆余曲折を経てようやく愛する貴女の夫と言う権利を手に入れられたのだよ。

 俺は今もこれからも決して貴女を傷つけたりはしない。

 何時までも俺は貴女の可愛らしい笑顔を見て、そして誰よりも貴女の傍近くで一緒に生きていたいのだよ。


 ねぇヴィー、貴女は前世を思い出している様だけれど俺の事を何時になれば気付いてくれるのかな。
 

 先ず最初に俺から結人だと打ち明けたい。

 でもそれは流石に得策ではないだろう。

 何故なら俺は貴女の辛過ぎる過去を、貴女は決して結人には知られたくはないのだろうと思う。
 

 ねぇヴィー、何故貴女は俺にそれを知られたくないのか気付いているのかな。


 俺は多分その意味を知っている。

 だから本音を言えば俺は毎晩いや、時間さえあれば貴女の心と身体の丸ごとを何時でも愛でていたいと思っているのだけれどね。
 
 ただ辛い過去を持つ貴女にとって過度の交わりは心の負担になると思ったのだよ。
 でもだからと言って俺自身28歳の精力共に体力漲る年齢だけではなく念願叶って貴女とこうして夫婦になれたと言うのにだ。


 理性では十分過ぎる程に愛する貴女の心情をおもんばかってはいるのだよ。

 しかしだね、僕のとある息子さんの具合がどうしてもだ。

 愛らしい貴女をどうしても愛でたいと暴走してしまう。


 そこで僕はアルコールの弱い貴女へ特別製の甘い飲み物を作り出したのだよ。

 それは一切アルコール特有の苦みや味を感じさせる事のない


 まあ使用したアルコールは1%程度だし身体的にも全く問題のないものだ。
 貴女もぐっすりと眠れて俺と俺の息子も十分に満足の出来る優れもの。

 事情を知っているシンディーやをウィルクス夫人辺りが時折煩いのは聞かない事とする。


 だが幾ら腕の中へ掻き抱き俺の昂ぶりを何度貴女の中で突き上げ慾を放出しても、次の瞬間にはまた貴女を愛してしまいたくなるのだよ。

 今までに無体な事を働いてきた自覚もある。

 それでもっ、どうしようもなく貴女を愛しているのだ。

 そうたとえ貴女が彼らを見送った後直ぐに逃亡を図ろうとしていてもだよ。


 ああ愛しのヴィー、貴女には自由に逃げる権利も与えてあげよう。


 だが俺は幾ら遠くへ、そして何度逃げようとも絶対に貴女を俺の腕の中へ捕えてみせるよ。

 そうだね、逃げる度に貴女の身体で以って俺の貴女への愛の深さをゆっくりと教えてあげようか。

 ふふ、今度は何処まで逃げようとしているのかな。

 大丈夫、この世界中に俺の影達が貴女の行動を常に見守っているからね。
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