エンドロールに贈る言葉

冬木雪男

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僕らの過去と未来

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「はい、お待たせしました。これでギルドへの登録は全て完了致しました。今日からユーフェ・オリビナさんは正式にギルド登録冒険者です」

 僕は今、ギルドへ初回登録を終えたところだ。長ったらしい手続きに辟易とさせられたが、やっと終わった……。どうしてこう、手続きっていうのは長いんだろう。

 ギルドへの登録証を身に着けると、誇らしい気持ちになった。今日から僕は懐かしいあの生活が出来る……!! そう思うとやる気に満ち溢れていた。
 といっても、昔のように「一流冒険者になりたい!」なんて夢を持つ気はさらさらない。食べていける依頼料を期待するわけでもない。半分以上趣味の領域でやっていけたらいいな、と思ってる。
 今度の僕のテーマは「命大事に」なのだ。


「……――と、いうわけで、くれぐれも気をつけるように」
「「はい!!」」

 夏に登録した新米冒険者をまとめて指導する会があったので、僕はそれに参加していた。出来るだけ貪欲に技術は学びたい。先輩冒険者達が出払って、新米を指導する。僕も先輩であるペトラさんに教わっている。
 ……のだが、ペトラさんはわりと天然で、教えてる傍から抜けてる部分があったりするので、僕の方から指摘している。その度に「ごめんねぇ~」と謝られて先輩らしくない人だ。職業と役目は、短剣使いのアタッカー。基本的に親切で、僕の心配を一々してくれる。正直、冒険者で優しい先輩など前世ではついぞお目にかかったことはなかった。この地域の魔物の難易度や穏やかな風土が関係しているのかもしれない。

 夏の中日。僕は薄手の格好でピピンラビッツを狩っている。薄茶色の角兎は、なかなか素早く、体が小さいので、出の早い攻撃か、先を読んだ必中の攻撃が求められる。レイピアの訓練にはうってつけだ。一点に向けて素早く突く。腕だけじゃなく、全身を使って剣を押し出す動作を繰り返す。貰った頃よりはこの細身の武器も僕の体に馴染んできたと思う。

 でも……時折両手剣が恋しくなる。大ぶりの剣を振るう感覚が懐かしい。振るった瞬間が最高に手ごたえがあって楽しかった。筋力にものを言わせてなぎ払う時、僕は剣の魅力に酔いしれていた。

 いつか……真っ白なレイピアにも、そんな感覚を覚える日が来るだろうか?


「大規模討伐依頼のお知らせです! 緊急の案件ですので、参加出来る冒険者は全員参加、とのこと。ランクは……」

 あれから僕はランクを一つ上げた。初心者冒険者から下級冒険者となり、受けた依頼の数もそれなりになった。当初は薬草採取の依頼ばかりを引き受けていたが、最近では討伐依頼がメインだ。だって戦うのが最高に楽しいから。血湧き肉躍る様は、最高の快感を引き出す。僕はやっぱり脳筋だった。
 多少の無理をして母さんに叱られ、父さんに心配される中、師匠であるレオンの教えも受けていた。あれから強化練習会はほとんどの生徒が冒険者となったことで、解散となった。冒険者になることを諦めたり、初めから体力づくりに参加した子供たちもいた。

 緊急の案件……か。あ、僕にも参加出来るや。じゃあとりあえず、参加しようかな?

 するとギルド内がにわかに騒がしくなった。何事かと振り向けば、……見てしまった。
 あのレオンが、両手剣を持っている所を。

 え、……ええッ!? レオンってば、いつから前衛職に転職したの!? ていうか、引退したんじゃなかったの!?

 僕の中は疑問でいっぱい。それに答える形でレオンが、副ギルド長が答えた。

「本日からラグーナ村のギルドは大規模討伐依頼にとりかかる。場所はヒェーナ草原。普段なら、低レベルモンスターしか存在しない緑豊かなのどかな草原だが、西地区からビーブリンボアーの群れが流入してきた。各パーティーならびに個人は各個撃破して欲しい。当ギルドの上層部の参加は勿論、著名なパーティーもいくつか遠方から駆けつけることが決まった。心してかかるように!」

 ビーブリンボアーとは、茶色に赤と白の縞がある牙の太い、中くらいのイノシシ型の魔物である。

 上層部まで参加……? 思ってたより切羽詰っている? ……てことは、ああ! だからレオンも参戦するのか! でも、剣の腕前の方はどうなのだろうか?? そもそも彼に剣は使えるのか?

 そこでそっとレオンに近づいて聞いてみた。

「ねぇ、レオン」
「なんだ?」
「レオンってさ……剣、使えるの?」
「今更な疑問だな」
「だ、だって! レオンは壁役でしょ!」
「よく知ってるな」

 レオンが驚いた顔をしているが、そんなのは無視だ。

「で、どうなの?」
「かりにも俺がお前に稽古をつけているんだぞ? その俺が……使えないわけないだろう」
「そっか……なら安心だね」
「一応、冒険者は引退したが、急な出張やらで一人旅をすることはあったからな。それなりには使えるが……やはり本職には負けるな」


 なーんてレオンは仰っておりました。ええ、そうですとも、僕はよぉく覚えております。

 現在、ビーブリンボアー相手に怯むことなく、頭目掛けて容赦なく両手剣を振り下ろし、時には目潰しをし、足を払い、背後の敵に目掛けて剣を繰り出す、という荒業まで彼はやってのけた。

 レオンの嘘吐き。十分使えてるじゃないか……!

 そこらの本職よりも、巧みな剣さばきに、大盾で鍛えられた腕力を惜しみなく使う彼。普通に前衛として使えるだろう実力に、僕ばかりではなく、周囲の人間も驚いていた。

 って、こうしちゃいられない! 僕も成果を上げなきゃ!

 ……それにしても数がやけに多いよな。繁殖期でもあったのかな? ビーブリンボアーはその肉が美味しいので、普段なら重宝される魔物だ。ただ草原を埋めんばかりの数がいると、ただの害獣だ。あちらこちらの花や草木を食べて動き回っている。

 突いて、突いて、突きまくる! すると利き腕が疲れてきた。いくら軽いレイピアでも技をこうも連続で繰り出すと、重くなる。それにレオンとは違って、僕は腕力に乏しいから、一撃で沈めるのは難しい。四、五撃加えないとなかなか倒れてくれない。こういう時、パーティーが恋しくなる。そういえば、あの二人はどうしてるだろうか?

「……少し、休憩したらどうだ?」

 背後から声を掛けられて、僕は咄嗟に振り返った。レオンだ。手には水袋を持っている。
「ありがとう。いただきます」
「ああ」
「っぷはぁ!」
「くすくす、いい飲みっぷりだな?」
「まあね」

 レオンが笑うのを見ると、僕の心臓は落ち着かない。自分の告白を無かったことにして、僕はレオンの傍にいる。
 僕のお節介を前向きに検討する、そう言った彼の心境は今どうなのか?

 小高い丘に移動して、座り込んだ。腕は相変わらず重く、どっかりと座り込めば、疲労を認識した。

「ユーフェ……今、いいか?」
「どうぞ?」
「あれから……考えたんだ。だが、俺にはやっぱり君の言葉は理想的過ぎた。前を向くにはいささか綺麗事に思えたんだ。俺は――やっぱりマルスを忘れられないみたいなんだ。いや、どこかで忘れたくないとすら、思ってる。あの悲惨な出来事を、美化するのは、……俺には出来ない」
「……そうですか」
「すまないな。君には悪いと思ってる」
「いえ、いいんです。だって僕にはその権利はないから」
「そうか」

 暖かい風が吹きぬける。暑中、じっとりと汗をかく。太陽は燦燦さんさんと輝き、僕らを照らしている。だけど、彼にはどれだけ光が当たっているのだろうか? その心に少しでも明かりがあることを、僕は願いたい。

「レオンはやっぱり昔から優しいね」
「は――? 昔ってどうい、――!?」


 その時だった。
 草原に異変が生じる。何千頭というビーブリンボアーが騒がしく動き始めた。それも一斉に同じ方向を見据えて。スタンピードかとも思ったが、違った。それを証明する、あるものが出現していたから。

 〝ドラケニアウルフ〟

 大きな狼型の魔物で、紫の体毛に鋭い牙と二本角を持つ。性質は極めて獰猛。ひとたび獲物を見つければ、地の底まで相手を追いかけるという話もある危険な魔物だ。

 ただの集団暴走ではなく、ビーブリンボアーは逃げ惑っていたか。

 ドラケニアウルフの大きさに圧倒される面々。

「まずいっ!!」

 そう思った時は、ドラケニアウルフがとっしんした後だった。獲物であるビーブリンボアーの群れ目掛けて、ドラケニアウルフは走りこむ。その速度は巨体に見合った速さで、ぶつかったビーブリンボアーが吹き飛ばされる。肉を噛み千切り、咀嚼するその姿は見るものを恐れさせる。噂によれば、満腹になるまではけして離れないと聞く。高難易度の魔物に類する。

 こんな場所まで来るなんて……!

 騒然とする現場。群れに混じって討伐していた為に、怪我を負った者もいるようだ。早く、助けなきゃ!!

 レオンは颯爽とドラケニアウルフ目掛けて駆け出していた。目前に、狙いをつけられた冒険者がいるのだ。僕も急いで向かう、が。

「お前はついてくるな!!」

 レオンが叫ぶ。

「ランクに見合ってない! 下がれ!!」

 でも僕は必死に後をついていく。しかし、圧倒的に体格が違う。持久力のない僕では差は広まるばかり。その後姿目掛けて走るが……距離はさらに開く。

 冒険者の一太刀を受けて、ドラケニアウルフが怒ったような咆哮をあげる。目標が固定された。奴の目は、その冒険者を擁立するパーティーを睨み付けている!
 
 逃げてっ!!

 僕の声も虚しく、冒険者が吹き飛ばされる。正面衝突し、地面に落下していく。でもそれだけで惨事は終わらず、パーティーの面々が持つ武器をくわると……噛み砕いた。顎の力も桁違いらしい。さらに、真下に居た冒険者をロックオンすると、鋭い牙で、……噛み付いた。血飛沫が上がる。

 大惨事。

 目を背けたくなる光景。それでも、僕は目を逸らせなかった。だって、そんな危険な場所に、引退した冒険者であるレオンが、向かっているから。彼には責任がある。それは分かる。誰かが犠牲になるのは勿論嫌だ。でも、なにも彼でなくてもいいじゃないか、そう思う僕はけして綺麗じゃない。

 ついにレオンが最前線に到着する。今の彼はラフな真っ白のシャツにグレーのパンツ姿。借り出されたままの格好だ。
 逞しい筋肉はあっても、頼もしい鎧は着込んでいない。せめて、あの大盾がここにあれば……!!

 ドラケニアウルフの牙が迫る、その瞬間、レオンの剣が防ぐ。小競り合いが始まった。剣の力と牙の力。双方が押し合う。しかし、魔物の力にレオンは負けてしまう。その次の瞬間、レオンの剣がドラケニアウルフの角で弾かれる。

 彼は、冒険者を庇うように、手を広げた。

 僕より大きな背中が、小さく見えてしまう。

 やめて……

 退いて。お願いだから、逃げて。

 だけど彼は、その間際、僕の方を向いて、……気が抜けたように笑った。まるで、しょうがない奴だな、そんな風に思っているように。

「だめぇええええええええええッ!!」


 あなたが死ぬところなんで――見たくない。あなたは僕の、大切な人だから! せっかく逢えたのにお別れなんて嫌だ!!


 ああ、神様…………彼を、助けて。


 でも、神様は直接答えてはくれない。


















 やっと……終われるのか。そう思ってしまった俺が居た。
 彼の元へ行ける。逝くことを俺はそう考えていた。そう思えば、死への苦しみなど、そう耐えられないものではないように思えた。

 思えば、彼を失ってからは耐える日々だったように思う。苦しみからも、悲しみからも。逃げることが出来ない胸の痛みからも。

 その全てが、この瞬間に終わる。それは一種の救いのように思われた。
 最後の最期に別の誰かを庇って死ねるなら、本望だ。俺の生きがいを肯定されるよう。
 取り返しのつかない間違いを、やり直した……ような錯覚は出来ていた。

 マルス……無性に、君に逢いたい。

 恋心も告げられなかった男に、君は何を思うだろうか? 今なお執着している俺を見て、彼はなんと言うだろうか?

 命がかかった大一番。彼は、褒めてくれるだろうか? 彼の代わりに人を救ったことを……。


 答えはない。


 ラストが迫る。俺の人生の汚点。それを今になって別のことで代替するなんて思わなかった。
 鼓動が逸る。汗が噴出す。口の中がからからに乾いて……干からびそうだ。
 俺の体は、今を生きている。それが終わるのだ。

 彼は……俺を、あるいは俺の言葉を受け止めてくれるだろうか? こんな不甲斐無い俺だが、出来れば、彼に迎え入れられたい。

 おかえり、と。


 刹那。

 時が止まったような錯覚を覚えた。いつまで立っても下りてこない凶刃。耳に響く金属音。俺の前の影……影?

 そう、俺の前へ凄まじい速度で横入りした何かがあった。その影のスピードは尋常でなかった。髣髴ほうふつとさせるものがあったような気もしたが、思い出せない。
 キィイイン、と金属と魔物の角がぶつかって酷い音が奏でられる。耳障りなノイズ。それは真っ白な物体だった。やけに細身なのが違和感を覚えさせる。
 そして、極めつけは、……流れるような銀。一際眩く輝くそれは、長い。

 影、細身な白、銀と来て……ひとつの可能性が浮かび、俺は恐怖した。だって、それはありえない。あの場に居た、あれがここに居るはずが……な……

「しっかりしろ、レオン!!」

 俺の名を呼んだのは――間違いなくユーフェだった。


 虚弱さを克服した彼。だが、その身体能力はは平凡そのものだったはず。それが、どうして……ドラケニアウルフを押し留めているのだ?
 明らかに細い腕に変化はない。なにかの魔法を使っている感じも、ない。
 だというのに、彼はドラケニアウルフ相手に肉迫していた。それも、傷がない状態で。
 火花が散る攻防戦。押すか押されるかの瀬戸際。

 それを演じている役者がユーフェだなんて、一体誰が信じるだろうか?

「レオン!! 逃げろ!!」

 かつてない言葉遣い。しかしそれが妙にしっくりくる。俺は目を覚まして、彼を退かそうとした。しかし――

「違う! お前が逃げるんだ!」
「何を言ってるんだ、ユーフェ! お前には無理、」
「チッ、仕方ない」

 まどろっこしい。そう言わんばかりに、ユーフェは動き出した。力でドラケニアウルフを押しのけると、彼は短時間で集中力を極限まで高めた。その気迫を感じ取ったのか、ドラケニアウルフも負けじとユーフェに狙いを定める。

 空白。そして、

 ドラケニアウルフが動き出すより早く、ユーフェが動いた。




















 力が漲るのを感じる……。今なら、今の僕にも出来るかもしれない。その可能性に懸けて、無意識に僕の体は僕が前世再三使った技の型を思い出す。

 渾身の突き。全身全霊を込めた、過去最高の攻撃を、放つ。僕はレイピアに想いを乗せて、力いっぱい攻撃した。


「トゥーンスラッシュ!」

 からの、

「ラスペドスタッブ!!」
















 星が舞うエフェクトが出る踏み込んだ一撃と、彗星のような青い軌跡を描く光速な突き出しの二撃目の奥義。

 それは俗に言う、必殺技。彼がよく繋げていた技と、彼にしか使えない技。

 彼が他の人間にも伝授させようとしたが、受け継げる資格のある者は誰一人としていなかった。いつしか一部の人間はその技を奇跡の連続技、なんて大げさな名前で呼ぶようになった。

 マルスがいなくなった瞬間、失せたはずの技を、まざまざを見せ付けられる。瞳に焼きついたその技巧。


 俺は一体、何を見ていた?

 この子は彼じゃない。でも……あまりにも彼に似ているのではないか? そのせいで、俺は苦しめられた。そのおかげで、俺は癒されている。


 強烈な突きと、鋭利な角。それがぶつかりあった瞬間、周囲に風圧がかかった。倒れていく草が広がる。瞬間的な風を受けて、俺は目を瞑ってしまった。

 そして、次に見たのは……確かに倒れる巨体。あのデカ物が傾いていくのを一種の感動を覚えながら見ていた。派手な音を果てて草原に斃れたドラケニアウルフ。亡骸となった致命的な傷。額に出来た小さな穴。

 俺は言葉も無くそれを見ていた。
 だがすぐに今起きた出来事を確かめようと彼に詰め寄ろうとした瞬間に青ざめる。

 彼は……胸に青あざが出来ており、吐血していた。ふらっと体が倒れて行く。俺は慌てて、支えようと手を伸ばすが、わずかな所で間に合わない。崩れ落ちる体を前に思ったのは、共倒れという事実だった。




 俺はずっと、彼を探していた。
 でもそんな〝彼〟を探さなくなったのは、いつからだろうか。もう覚えていない。




 崩れ落ちた彼に呼びかける。

「ユーフェ、……ユーフェ、しっかりしろ!!」

 反応が、無い。意識が無いことをこんなに恐怖するのはいつ以来だろう。嫌な記憶が呼び起こされる。

「なんで……何故だ、どうして俺を庇ったりしたんだ、ユーフェ!! くそっ!」

 俺は……命を投げ出そうとした。なのに今、彼に救われている。

 そう、結果的に、俺は救われてしまったのだ。

「それっ、は……けほっ、あなたが一番分かってるでしょう?」

「ユーフェ?」

 声が、返って来た。弱弱しく頼りない、声が。ドラケニアウルフが斃れたことで、周囲に人が集まってくる。中にはユーフェの酷い有様を見て絶句する奴もいた。

「俺を……導きたいから? そこまでして、どうするつもりなんだ!! 俺はいいんだ、もう、あいつを失った日から、いつ終わって、」
「良くない!!」

 倒れていた体を、上半身を無理に持ち上げるユーフェ。辛いだろうことは一目瞭然だった。それでも力強く彼は言う。

「あなたが勝手に終わらせようとするのは、僕は認めない! あなたは、あなたには義務がある。彼の分まで生きるっていう義務が!」
「生き、る……?」
「そうです。マルスさん、は、 」

 しかし、その先は言葉にならない。

「もう喋るな! 俺が担いでいく」

 ユーフェの背中と土の間に手を入れて、彼を担ごうとした時だった。

「もう一度だけ言わせて」

 彼は前置きをしてから口にした。

「あなたが好きだ、レオン」

 しっかりと、俺の頭を引き寄せて、俺の唇を奪ったユーフェ。その後、彼は力尽きたように、意識を手放した様子だった。

 俺は唖然としたまま固まってしまう。

 また、残されるのか?

 そんな恐怖がじりじりと俺を焦がす。焼きついた痛みが再燃する。彼を、マルスを喪ったあの痛みが。
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