愛人オメガは運命の恋に拾われる

リミル

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【2章】マヌルネコ

新しい仕事2

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「ユキくんとあんなに仲良しってすごいね。俺なんか最初から警戒されてダメだったよ。前のシッターさんなんて、もっと酷かったね」
「え、シッターさんがいたのですか?」

千歳が聞くと、代わりにレグルシュが答えた。

「ああ。そうだったな」

レグルシュが先月雇ったシッターはベータの女性だったという。何でも、シッターの腕を噛んだり、部屋を泥んこだらけにしたり、とにかくユキは粗暴だったそうだ。最終的に、シッターのほうから契約を切られ、それ以来、他人と二人きりにすると、癇癪を起こすらしい。

「あのユキくんが……ですか?」

信じられない。その後もシッターを他の人に変えたりしたが、ユキは一向に懐かず、さらには体調を崩してしまったと、レグルシュは語る。

「レグから聞いたんだけど、和泉さん。今、レグのところに居候してるんだってね」
「は、はい」
「住み込みのシッターさんとして、和泉さんを雇うのはどうかな。レグ?」

宇野木は、千歳とレグルシュを交互に見やりながら言った。当然のように、レグルシュは憤る。

「オメガと暮らせと言っているのか? ありえないな。シッターを頼むにしても、住み込みはなしだ」
「あの家だだっ広いんだからいいでしょ。和泉さんの一人くらい。ユキくんにとってもいいと思うけどね。ねーユキくん?」

宇野木がさきほどの千歳の真似をして、ユキに手を振る。ユキはべーっと舌を出して、ロフトの奥へ引っ込んでしまった。

レグルシュは長考した末に、「住み込みでもいい」と、千歳に向けて言った。

「ほ、本当ですか? ありがとうございます!」

宇野木の一声で、千歳は住まいを失わずに済んだ。ユキも大人達の会話を聞いて大半を理解しているようだった。千歳が飲食のバイト先へ、辞退の電話を入れ終えた後、レグルシュは車を出した。

「ユキ、メガネのおじちゃんきらい……」
「嫌いなんて言ったらダメだよ」
「はぁい。ちーは好き!」

ストレートな「好き」に、千歳は思わず顔を赤らめた。

初対面のときから千歳を気にかけてくれていたユキが、本当にシッターの手を焼いていたのだろうか。宇野木やレグルシュの話を聞いた後でも、にわかには信じがたい。

千歳は目線だけを、運転席のレグルシュへ向けた。

──シッターさんとして、レグルシュさんに認めてもらえたら、ユキくんのことをもっと聞こう。

やれることは何でも頑張ろうと、千歳は決意を胸に灯した。
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