上 下
112 / 277
・・・『始動』・・・

・・面談昼食会・・3・・

しおりを挟む
「・・うん・・『オリンピック』ですか・・初めて頂きましたが、とても美味しいです・・正に4年振りの再会を待ち焦がれる想いに溢れているような味わいですね・・」

・・と、アーレン・ダール博士とグラスを触れ合わせて一口飲み、再びグラスを掲げて称賛した・・。

「・・とても美味しいです・・作って下さって、ありがとうございます・・『ディファイアント』のバーラウンジで、色々な美味しいカクテルを作って頂けるのが、今から楽しみです・・」

・・そう言いながらハンナも笑顔でグラスを掲げる・・。

「・・ありがとうございます、ミス・ウェアー・・お褒めに与りまして光栄です・・アドル・エルク艦長・・バーラウンジですが、酒類や材料などの搬入はどの位のレベルで行われるのでしょうか・・?・・」

「・・アドルで好いですよ・・チーフ・リントハート・・あ・チーフと呼んでも宜しいですか・・?・・どうもマスターと呼ぶのは、堅苦しくて他人行儀な気がしますので・・」

「・・チーフですか・・好いですね、アドル艦長・・自分もマスターと呼ばれるよりはチーフと呼ばれる方が性に合いそうな気がします・・気に入りそうです・・それで、搬入の件ですが・・?・・」

「・・ええ・・実際にバーラウンジを観て頂いた時にでもご説明しようと思っていましたが、一通りは網羅して搬入する予定ではいます・・見学して頂いて、もしも何か足りない物があったとか、こんな物が欲しい・・あれば便利だ、との要望がありましたら、補給支援部とご相談下さい・・マレット・フェントン部長が、速やかに対応します・・」

「・・ああ・・チーフ・リントハート・・ミス・マレットの仕事ぶりについては、この私も保証します・・料理番組を一緒に担当していたのですが、とにかく用意が周到で完璧に準備されていました・・何回か本番中に、これがあったら好いなと口に出した時でさえ、それが用意されていたのです・・彼女の完璧な事前準備には、いつも脱帽していました・・」

「・・アドル艦長・・そして、ムッシュ・パッサール・・ありがとうございます・・マレット・フェントン部長の凄さが、私にも充分に伝わりました・・安心してお任せしたいと思います・・」

・・そう言ってカーステン・リントハートと、マレット・フェントンはグラスを触れ合わせた・・。

・・メインディッシュが配される・・サーロインステーキに熱いコンソメスープとライスだ・・ステーキの付け合わせは、野菜3種類・根菜2種類とポテトのソテーだ・・焼き加減はライトウェルダン・・。

「・・ドクター・アーレン・・運営本部のスタッフから一通りの話は聞かれましたか・・?・・それぞれ専用のアクセス認識承認コード・・専用の携帯端末にPADにPIDメディアカードは貸与されましたか・・?・・」

「・・ええ・・アイテムは3種とも、貸与されました・・アクセス承認コードはメディアカードに刻まれていますね・・」

「・・アクセス認識承認コードは暗唱して下さい・・緊急事態及びチーフドクターの権限内でシステムプログラムに改変を加える際に、口頭での発声認識承認がコンピューターから求められますので・・」

「・・分かりました・・ご指導、ありがとうございます・・」

「・・いいえ・・それと取り敢えず、お願いして置きたいのは・・皆さんそれぞれ1人1人の為に編集されております、マニュアルをよく読み込んで頂きたいと言う事です・・このゲーム大会に関連する総ての事柄が網羅されて編纂されておりますので、相当な分量ではありますが・・先ずは緊急事態条項について、熟読して頂きたいと思います・・皆さん専用の携帯端末やPADから呼び出して読まれても結構ですが、ゲーム大会運営本部の総合メインページから、皆さんの名前とPIDとアクセス認識承認コードを入力して頂くと、皆さんそれぞれ専用のデータベースが呼び出せます・・その中からマニュアルを呼び出す事も出来ますので、何時でも何処でも読めるようになっております・・」

「・・アドル艦長・・ご丁寧な説明をどうもありがとうございます・・早速今日から、マニュアルの読み込みに勉めて参ります・・」

・・マエストロ・ラウレンティス料理長がそう応えて、また私とグラスを触れ合わせる・・。

「・・ええ・・続けてのお話で申し訳ありませんが、これは『ディファイアント』司令部としてお知らせします・・アーレン・ダール医療部長と、サルヴァトーレ・ラウレンティス料理長と、カーステン・リントハートチーフバーテンダーの3名を、『ディファイアント』司令部メインスタッフとして認定し、任命します・・ので、私が招集しますメインスタッフミーティング(M・S・M)には出席して下さい・・更に・アトゥール・ビリングス医師を医療副部長に・・エンリコ・コラントーニさんを厨房セカンドシェフに・・イアン・サラッドさんをセカンド・バーテンダーとして認定し、それぞれ任命します・・このお三方は『ディファイアント』司令部サブスタッフとなります・・ので、私が招集しますオールスタッフミーティング(O・S・M)には出席して下さい・・長くなりましたが、お知らせは以上です・・改めて、宜しくお願いします・・」

・・そう言って私がまたグラスを掲げると、呼ばれた6名もグラスを掲げて応えた・・。

「・!・あっ、すみません・・メディアカードをお渡しするのを忘れていました・・申し訳ありませんが、1枚ずつ取って頂いて、廻して下さい・・あの・・皆さんのメディアカードも1枚頂きたいです・・」

・・そう言いながら、カードボックスをドクター・アーレンに手渡す・・。

「・・初めてお会いしたばかりだと言うのに、私だけベラベラ喋ってしまって申し訳ありません・・これ以上この場でくどくどと細かく申し上げるのは、しつこいですし宜しくないでしょう・・これから長いお付き合いになりますので、何かありましたら追々に、私から話すなり、他のスタッフから申し上げるなり、皆さんから質問して頂いても結構ですので、焦らずにいきましょう・・私からは最後に一つだけ・・後程副長が皆さんに、『ディファイアント』全乗員を網羅した連絡網を配布します・・今後はその連絡網のルートに沿って、連絡内容を廻して下さい・・それでは、マレット・フェントン補給支援部長より、艦内親睦パーティーについてお話しがあります・・」

・・そう言いながら、戻って来たカードボックスを受け取って、ポケットに仕舞う・・。

・・切り分けたサーロイン・ステーキの一切れを口に入れた処で話を振られたマレットだったが、彼女は慌てずに笑顔で噛み締めて食べ、水を含んで飲み込んでからナプキンで口を拭いながら横目で私を軽く睨む・・その彼女の顔を笑顔で見遣りながら、私はウインクを返した・・。

「・・ええ・・すみません・・これは、ゲーム大会運営本部が総ての参加艦の行動規定に盛り込んでいる内容の一つでして・・それによれば、総ての参加艦は初出航後24時間を目処として、艦内に於いて全乗員の参加を義務として、親睦の為のパーティーを開催するようにと、明記しております・・当『ディファイアント』に於きましても、初出航後24時間を目処としてバーラウンジをパーティー会場にして、これを開催致します・・つきましては厨房とバーのスタッフの皆さんにご協力をお願いするものです・・この親睦パーティーを全乗員で楽しむ為に、実行委員会を構成して企画と準備を進めていますが、医療部と厨房とバーのスタッフの皆さんからお一方ずつ、実行委員会への参加をお願い致します・・因みに私が実行委委員長を務めております・・今決めて下さらなくても結構ですが、お早めに決めて頂いて私に連絡して頂ければと思います・・アドル艦長もギターの弾き語りで数曲、参加して下さいます・(笑)・・」

「・・え・?・俺は2曲で良かったんだよな・・?・・」

「・・まだ曲数は決まっておりません・(笑)・それに艦長にはピアノでの弾き語りもお願いします・(笑)・」

「・・マジか・・?・」

「・・バーラウンジにピアノがあるんですか・・?・・」

・・と、イアン・サラッドがちょっと驚いた様子で訊く・・。

「・・ええ・・ラウンジの奥にステージがあるのですが、その下に収納されています・・」

・・ハル・ハートリーがそう言ってカクテルを飲み干した・・。

「・・厨房からは、私が参加しますよ・・マレットさんとは番組でお付き合いがありましたし、彼女と一緒に番組を造り上げていけた事は楽しかったですからね・・今回も楽しくなりそうだ・・」

・・エンリコ・コラントーニ・セカンドシェフが、手を挙げてそう応える・・。

「・・ムッシュ・エンリコ・・ありがとうございます・・貴方が参加して下さると心強いです・・」

「・・こちらこそ、ミス・マレット・・また楽しくやりましょう・・」

「・・医療部からは私が出ます・・私は医師ではないので、そんなに忙しくはないでしょうから・・」

・・そう言って、カーラ・ヘンリエッタ女史が手を挙げる・・。

「・・ありがとうございます・・カーラさん・・で宜しいですか・・?・私の事はマレットと呼んで下さい・・」

「・・カーラと呼んでくれてありがとう・・マレットさん・・パーティーの企画・進行って経験が無いんだけど、宜しくね・・私の同級生にマレットって言う娘がいましたよ・・」

「・・そうなんですか・?・何だかもう、好い友達になれたみたいです・・ありがとうございます・・」

「・・バーラウンジからは私が出ます・・ラリーサ・ソリナです・・ラリーサと呼んで下さい・・宜しくお願いします・・マレットさん・・私、パーティーが好きなんで、色々とアイデアを出せると思います・・」

「・・わあ、ありがとうございます、ラリーサさん・・こちらこそ宜しくね・・楽しいアイデアを考えましょうね・・本当に嬉しいです・・実行委員会は、これで完成しました・・アドル艦長・・」

「・・おめでとう、マレット・・楽しいパーティーになりそうだね・・期待してるよ・・(小声で)でもさ・・俺が歌う曲数はあんまり増やさないでな・・?・・」

「・・それは保証できませんわね、アドル艦長・(笑)・パーティーに関する総ては実行委員会に一任されておりますので・(笑)・・」

「・・分かった、分かった・・」(そう言って頭を掻く)

「・・アドル艦長・・私は御社で行われました、激励壮行会を視聴させて頂いたのですが、伺っても宜しいですか・・?・・」

「・・どうぞ、何なりと・・イアン・サラッドさん・・」

「・・イアンと呼んで下さい・・アドルさんが仰られていたゲーム内での展望についてですが・・本当に実現すると思いますか・・?・・その・・20隻での共闘体制が・・?・・」

「・・そうですね・・これはまるで艦隊のように強固な共闘体制である必要はありません・・それどころか・・挑んで来る相手がいなければ、お互いに戦い合っても好い・・お互いに決して30%以上の損傷は与えないと言う制限内でね・・話を変えましょう・・私達20人の艦長は応募して当選しました・・共通する想いの一つに、出来れば長く・・このゲームを楽しみたい・・が、あるでしょう・・他の参加艦の艦長達は巨額の参加費用を支払って艦長席に座りますが、私達は当選と言う形で言わば、無料で招待されてこのゲームに参加します・・それどころか番組に出演しますから、ギャラまで貰えます・・金額はまだ分かりません・・それは今夜行われる、番組の制作発表会見で発表されるでしょう・・当然ながら他の艦長達は、私達20人に嫉妬しているでしょう・・無料招待でゲームに参加する・・ギャラまで貰える・・過熱する取材報道でチヤホヤされている・・邪魔な連中だと思われているでしょうし、早目に退場して欲しいと思われているでしょうし、中には自分がやっつけて名前を挙げてやろうと考えている艦長もいるでしょう・・なので・・開幕当初から私達は狙われます・・もう事前に連絡を執り合って、挟撃の段取りを組もうとしている艦長達もいるかも知れません・・だからこちらも早目に、自分達は狙われていると言う認識を共有して、緩いものでも好いから共闘しなければと言う意識をも持たなければ、ファーストシーズンが終わる迄に悪くすれば半数以上が撃沈されるでしょう・・それを防いで先ずこのファーストシーズンを20隻全艦で乗り切る為に、共闘の意識を全員で持って・・緩いものでも共闘の体制を構築する必要があるのです・・その核となるのが『ディファイアント』と『ロイヤル・ロード・クライトン』なのです・・具体的にはこの両艦を以て、他の19艦のいずれかが苦境に陥っている場合に、これを援護して助けます・・3艦で共闘すれば相手が例え4隻でも、対等に戦えます・・既に『ディファイアント』と『ロイヤル・ロード・クライトン』との間には、暗号での通信回線が設定されておりますので、相手側に悟られる事なく作戦を遂行できます・・この共闘体制が大体出来上がって、ファーストシーズンを20隻全艦で突破できれば、番組はサードシーズン終了まで確実に続けられるでしょう・・そうなれば経験値も積み上って艦も強くなるし、クルーも練度が上がってこのゲームがもっともっと楽しくなります・・まあ大体こんな考えなんですがね・・どうでしょう・?・ミスター・イアン・・?・・またベラベラ喋っちゃってすみませんね・・?・・」
しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

弟子と師匠と下剋上?

BL / 連載中 24h.ポイント:14pt お気に入り:64

→誰かに話したくなる面白い雑学

エッセイ・ノンフィクション / 連載中 24h.ポイント:1,668pt お気に入り:74

二度目の恋

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:21pt お気に入り:13

人の顔色ばかり気にしていた私はもういません

恋愛 / 完結 24h.ポイント:717pt お気に入り:4,592

君の笑顔が大好きで -モテないオレとイケメン親友の恋-

mii
BL / 完結 24h.ポイント:7pt お気に入り:190

転生したので堅物な護衛騎士を調教します。

BL / 完結 24h.ポイント:262pt お気に入り:3,096

【完結】魔術師なのはヒミツで薬師になりました

ファンタジー / 完結 24h.ポイント:14pt お気に入り:667

処理中です...