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111.開放的
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身体が重い。動きたくない。
そのような思いと共に、アデルジェスは目が覚めた。
窓から差し込む光は明るく、すでに朝の時間帯が終わろうとしているようだ。
慌ててアデルジェスは疲労の残る身体を叱咤して飛び起きる。
今日の昼前の船でこの島を去らなくてはならないのだ。急いで準備しなくてはならない。
とはいっても荷物はもともとさほどないし、すでにまとめてはある。自分自身の支度と、あとは最初に入り口で預けた短剣を返してもらうだけだ。
寝台にミゼアスの姿はなかった。今日も先に起きてどこかに行ってしまったらしい。
また寝顔を見られなかったことが残念だが、もうしばらく待てばいくらでも見られるようになるのだとアデルジェスは自らを慰める。
昨日の夜は天国と地獄を味わった。アデルジェスは散々に翻弄され、精を搾り尽くされたのだ。もう一滴も残っていないのではないだろうか。そう思えるくらいだった。
服を着て隣の部屋に向かう。広い部屋には誰もいなかったが、卓の上に堅焼きパンとチーズが置かれていた。『食べて』と一言、流麗な文字で書かれた紙が置かれている。
ミゼアスが用意してくれたのだろう。アデルジェスはありがたくいただくことにした。
この島に来て今日で七日目。最初は気が進まなかったのだが、今は来て本当によかったと思っている。ここ数日の出来事が頭に蘇り、アデルジェスは頬を緩ませた。
色々なことがあった。殺されかけすらした。しかし、ミゼアスと出会えたことの前にはどのような嫌な事も霞んでしまう。
思い出にひたりながら簡単な食事を終えると、扉を叩く音がした。返事を待たずに扉が開けられる。
「おはようございます、無事起きられましたか」
そう言って入ってきたのは、ヴァレンだった。
後ろにはミゼアス付きの見習いであるアルン、ブラム、コリンの姿もある。三人そろって『おはようございます』と可愛らしい声で唱和する。
「おはよう。ミゼアスはどうしたんだろう?」
「ミゼアス兄さんは忙しく動き回っていますよ。後でジェスさんが船に乗る頃には姿を現すと思うんで、ご心配なく」
ヴァレンの答えにアデルジェスはそうか、と頷いた。見送りには来てくれるらしい。
「ジェスさんが起きられないようだったら起こしてくれ、とミゼアス兄さんに言われたんで様子を見に来ました。意外と元気そうですね。昨日はミゼアス兄さんに搾り取られたんでしょう?」
「……っ!?」
からかうようなヴァレンの言葉にアデルジェスは絶句する。
「軽く躾をした、と言っていたんで大丈夫かなーと思ったんですよ。でも、射精封じまではされなかったんですよね。よかったですね、手加減してもらえて。さすがにミゼアス兄さんが全力で本気を出したら、今日は動けなくなりそうですしね」
アデルジェスは頭を抱えた。
あれでも手加減されていたらしい。この先ミゼアスと一緒に暮らしていけるのだろうか。ふとそのような不安すらよぎる。
さらに、そこまで詳しくヴァレンが知っているのがおかしい。この島は下半身事情に対してあまりに開放的すぎる。
そのような思いと共に、アデルジェスは目が覚めた。
窓から差し込む光は明るく、すでに朝の時間帯が終わろうとしているようだ。
慌ててアデルジェスは疲労の残る身体を叱咤して飛び起きる。
今日の昼前の船でこの島を去らなくてはならないのだ。急いで準備しなくてはならない。
とはいっても荷物はもともとさほどないし、すでにまとめてはある。自分自身の支度と、あとは最初に入り口で預けた短剣を返してもらうだけだ。
寝台にミゼアスの姿はなかった。今日も先に起きてどこかに行ってしまったらしい。
また寝顔を見られなかったことが残念だが、もうしばらく待てばいくらでも見られるようになるのだとアデルジェスは自らを慰める。
昨日の夜は天国と地獄を味わった。アデルジェスは散々に翻弄され、精を搾り尽くされたのだ。もう一滴も残っていないのではないだろうか。そう思えるくらいだった。
服を着て隣の部屋に向かう。広い部屋には誰もいなかったが、卓の上に堅焼きパンとチーズが置かれていた。『食べて』と一言、流麗な文字で書かれた紙が置かれている。
ミゼアスが用意してくれたのだろう。アデルジェスはありがたくいただくことにした。
この島に来て今日で七日目。最初は気が進まなかったのだが、今は来て本当によかったと思っている。ここ数日の出来事が頭に蘇り、アデルジェスは頬を緩ませた。
色々なことがあった。殺されかけすらした。しかし、ミゼアスと出会えたことの前にはどのような嫌な事も霞んでしまう。
思い出にひたりながら簡単な食事を終えると、扉を叩く音がした。返事を待たずに扉が開けられる。
「おはようございます、無事起きられましたか」
そう言って入ってきたのは、ヴァレンだった。
後ろにはミゼアス付きの見習いであるアルン、ブラム、コリンの姿もある。三人そろって『おはようございます』と可愛らしい声で唱和する。
「おはよう。ミゼアスはどうしたんだろう?」
「ミゼアス兄さんは忙しく動き回っていますよ。後でジェスさんが船に乗る頃には姿を現すと思うんで、ご心配なく」
ヴァレンの答えにアデルジェスはそうか、と頷いた。見送りには来てくれるらしい。
「ジェスさんが起きられないようだったら起こしてくれ、とミゼアス兄さんに言われたんで様子を見に来ました。意外と元気そうですね。昨日はミゼアス兄さんに搾り取られたんでしょう?」
「……っ!?」
からかうようなヴァレンの言葉にアデルジェスは絶句する。
「軽く躾をした、と言っていたんで大丈夫かなーと思ったんですよ。でも、射精封じまではされなかったんですよね。よかったですね、手加減してもらえて。さすがにミゼアス兄さんが全力で本気を出したら、今日は動けなくなりそうですしね」
アデルジェスは頭を抱えた。
あれでも手加減されていたらしい。この先ミゼアスと一緒に暮らしていけるのだろうか。ふとそのような不安すらよぎる。
さらに、そこまで詳しくヴァレンが知っているのがおかしい。この島は下半身事情に対してあまりに開放的すぎる。
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