幼妻と中年

Arara

文字の大きさ
3 / 27

中年男の苦悩

しおりを挟む
 電車に揺られながら、先程の己の行動を振り返り、あまりのあさましさに自己嫌悪に陥った。
 美咲を大事にしてやりたいと思うなら、己の性欲をぶつけるべきではない。
 毎日毎日、情けなさ過ぎるぞ。
 そもそも結婚という形をとらざるを得なくなったのは、お前が色欲に負けるから!
 結婚したからと言って、やりたい放題していいわけじゃないんだぞ。
 亡くなった父親の代わりに庇護してやりたいと思うのに、本能は簡単に理性を凌駕し先走る。

 しかし、自分がこれほど美咲の体にのめり込んでしまっているのが不思議だった。
 若い肉体というものは、これほどまで男の雄の部分を刺激し惹きつけるものなのか。
 俺は決してロリコンではない。
 だが、美咲のツンと上を向いた小さな乳首や奥に埋もれた未熟なクリトリス、天女にもし肛門があったらかくやと思うような桃色のそれが、脳裏に焼き付いて俺を悩ませる。
 


「沢井くん、おはよう」

 会社に着くと、貿易事務部門のチーフである田中さんがいた。
 田中さんは二つ上の先輩で、貿易営業部にいた頃共に苦難を乗り切った、戦友のような頼りになる存在だ。
 世話好きな女性で、自分が体を壊して新入社員の指導教官に異動してからも、何かと気にかけてくれる。
 料理が得意で、C感染症が流行る前はよく作り過ぎたから食べてと差し入れをもらっていた。

「おはようございます。お久しぶりです。お元気でしたか?

 C感染症禍の中、テレワークの導入で社員はシフト出勤しており、誰とも会う機会が減っていた。

「今年の新入社員はどんな調子? 研修もオンラインだったりするわけでしょう?」

「そうですね。現在はC感染症の方も少し落ち着いてきたので、対策を講じながら順次対面に戻しているところです。早く元通りにしたいですね。このままでは、研修も満足に受けさせないで配属なんてことになりかねませんから」

 C感染症が社会経済に与えた影響は凄まじかった。
 政府からの支援は焼け石に水で、倒産をよぎなくされる企業は現在も後をたたない。
 倒産は免れても経営規模を縮小せざるを得なくなり、余剰人員となった新入社員は内定取消しやリストラの被害に遭っている。

 美咲もその内の一人である。
 C感染症が無ければ、今頃は旅行会社のバスに乗っていただろう。
 
 俺が担当している新入社員はいわゆる勝ち組の優秀な人材ばかりだが、そんな彼らでさえ皆一様に不安を口にするのだ。
 高校を卒業したばかりで、社会に一人放り出された美咲はさぞかし心細かったに違いない。
 
「今晩、食事でもどう?」

 自粛要請も解除されたしと、別れ際に食事に誘われる。
 可愛がってもらっている先輩からの誘いだ。
 断るのは礼儀に反する。
 だが、断りの文句は自然と口から滑り出た。

「申し訳ありません。またにしてもらえますか? その時は僕がおごりますので」

 美咲は拾い主の愛情を得ようと、今夜も食事を用意して俺を待っているだろう。
 捨てられた子猫に拾い主を選ぶ権利はないのだから。

 
 







 

 
 
 
 
 




しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

熟女愛好家ユウスケの青春(熟女漁り)

MisakiNonagase
恋愛
高校まで勉強一筋で大学デビューをしたユウスケは家庭教師の教え子の母親と不倫交際するが、彼にとって彼女とが初の男女交際。そこでユウスケは自分が熟女好きだと自覚する。それからユウスケは戦略と実戦を重ねて、清潔感と聞き上手を武器にたくさんの熟女と付き合うことになるストーリーです。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

職場のパートのおばさん

Rollman
恋愛
職場のパートのおばさんと…

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です

朝陽七彩
恋愛
 私は。 「夕鶴、こっちにおいで」  現役の高校生だけど。 「ずっと夕鶴とこうしていたい」  担任の先生と。 「夕鶴を誰にも渡したくない」  付き合っています。  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  神城夕鶴(かみしろ ゆづる)  軽音楽部の絶対的エース  飛鷹隼理(ひだか しゅんり)  アイドル的存在の超イケメン先生  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  彼の名前は飛鷹隼理くん。  隼理くんは。 「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」  そう言って……。 「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」  そして隼理くんは……。  ……‼  しゅっ……隼理くん……っ。  そんなことをされたら……。  隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。  ……だけど……。  え……。  誰……?  誰なの……?  その人はいったい誰なの、隼理くん。  ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。  その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。  でも。  でも訊けない。  隼理くんに直接訊くことなんて。  私にはできない。  私は。  私は、これから先、一体どうすればいいの……?

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?

すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。 翔馬「俺、チャーハン。」 宏斗「俺もー。」 航平「俺、から揚げつけてー。」 優弥「俺はスープ付き。」 みんなガタイがよく、男前。 ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」 慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。 終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。 ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」 保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。 私は子供と一緒に・・・暮らしてる。 ーーーーーーーーーーーーーーーー 翔馬「おいおい嘘だろ?」 宏斗「子供・・・いたんだ・・。」 航平「いくつん時の子だよ・・・・。」 優弥「マジか・・・。」 消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。 太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。 「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」 「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」 ※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。 ※感想やコメントは受け付けることができません。 メンタルが薄氷なもので・・・すみません。 言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。 楽しんでいただけたら嬉しく思います。

処理中です...