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第1章 ふーこ

【旧】第4話 人間同士の戦いはもうたくさんだ

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【この話は改稿前のものです】
第1章のVer.3.0を全て投稿後しばらくしてから削除します。
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拠点にしている区画は電気が通っていることから、ゾンビパニック発生当初は激しい戦闘があった。
もちろん、人間同士のね。
一つの危機の前に一致団結したいところだけど、資源は有限だしセーフティーゾーンのキャパシティも限られているからね。しょうがないね。
たくさんの派閥に分かれてゾンビとも戦いながらの戦争ごっこ。
一番やばかったのは、区画内で宗教組織を立ち上げて皆を支配しようとした教祖もどき。
同じ日本語を使っているはずなのに、全く言葉が通じない。
自分がついた嘘を自分で本気で信じているんだとわかったときは、戦慄したね。
もうゾンビの方が友達になれそうな気がしたよ。
その時のゾンビはまわりに食料と言う名の人間が山ほどいたから、エネルギーたっぷりで全速力で走って襲ってきた。



鍛えてる男がゾンビになった場合、武術をしていたとしても脳の萎縮によって戦闘技術は失われてはいるけど、ゾンビ補正によって単純に筋力がえらいことになっていて、道路の標識は簡単に引っこ抜いてぶんわましてくるし、刺されても拳銃に撃たれても怯むことなく突っ込んでくるし、いやぁ…本当にやばかった。
ゲームみたいにヘッドショットしても死なないんだよねぇ…。
まず拳銃がゲームみたいに狙ったからあたるものでもない、5m以上離れると当たる気がしない。特にゆらゆら動いている頭ならなおさらのこと。
銃弾が当たったとしても頭蓋骨って意外と固いらしく、当たった角度によっては跳弾したり頭蓋骨の周りをぐるぐる回った後外に出てしまったりする。
しかも、ゾンビを殺すには、例えるなら至近距離でショットガンを2~3発当てて、文字のごとく粉砕しないと襲ってくる。
でも、それだけの生命力と力を手にした代償として、知性や知能を失い、何より膨大なカロリーが日々必要になってしまった。
特に、女ゾンビに比べて男ゾンビは、パワーが段違いなだけあって消費カロリー激しく、餌が減ってくるのに比例してガンガン数を減らしていった。
ゾンビの知能は酷いもので、恐らく自分が襲おうとした敵が5分間逃げたら何を追っていたのか忘れてしまうのか、明後日の方向へ徘徊を始める。
お陰で、圧倒的に不利だった人間もなんとかなったという感じだ。
まぁ、最初に言ったように戦争ごっこで無駄に死んだけどね。

あとは、ゾンビになる原因が全部で4種類あるらしいことと、人間の適応力は凄く何種類かには抗体を持っている人間が現れたこと。
でも、抗体はそんなに長くもたないうえに、4種類全ての抗体を持つのは事実上不可能なので、今でもゾンビが新たに発生する可能性は高いということが今の懸念点だろう。

そして…。

「直近の課題としては、こいつの食糧をどうするかだ…。」

目の前に拾ってきた女ゾンビがいる。ふわふわとした雰囲気で、放っておくと風のようにどこかに流れていってしまうその様子から、適当に「ふーこ」と呼ぶことにした。
裸のままなのもなんだったから、適当にクローゼットに合ったシャツでも着せたが…。
女の子のシャツ姿ってなんでこんなにエロく感じるんだろうな。
まぁ、表情が死んでるからそれも半減してるんだろうけど、半減してもこれかぁ。



シャツ越しでもわかる胸のふくらみと、それによって生まれるシャツのしわがなんだかそそられる。

「あとは、排泄なぁ…。」

食べれば出る。至極当然の話だ。
風呂場で洗い、シャツを着せた後、試しに保存していた肉を渡してみると、思いの外よく食べた。
食べたのだが、食べながらいたしてしまった。
座っている椅子がぐっしょりと濡れ、いくらか香ばしい匂いがした。

「命令の仕方はわかったし、定期的にトイレに連れていくしかないか。」

そうつぶやいたところで、なんだか自分が小さい子の親になったような気分になる。
しかし、世話が面倒だからと言って捨てるにはあまりにも惜しい。
見た目が好み・命令が通る・フェラしてくれる。

うん、1億積まれても譲れない。

「最悪、ゾンビ肉喰わせるかぁ。」

街を探せばまだまだ保存食糧はあるとは思うが、ゾンビパニックの初期に大分持ってかれてしまったのでどれくらい残っているのはわからないし、残っていてもそれを自分が探し出せなければ意味がない。
自分ひとりならば、あと1か月くらいは食いつなげそうな量はここにあるが、ゾンビの体を維持する量を与え続けるとなると…。
前にゾンビから逃げ続けて山の中に隠れたとき、ゾンビになってしまった仲間を皆で喰った経験がある。
意外と美味しかったが、食べたうちのひとりがゾンビになってしまった。
元々感染していたのか、肉から感染したのか。
他のメンバはならなかったから、やはり人によって耐性が違うようだ。



あーだこーだ考えていると、いつもは明後日の方向を見つめているふーこが、じっとこちらの顔を見つめていた。
餌をくれる人と認識しただろうか?
命令が通る分、他のゾンビより知能はあるはず…世話をしていくうちに飼い慣らせたりするんだろうか。
まさか、ゾンビがなつく?
そこまで妄想して、人間嫌いな自分が人間じゃない人の形をしたモノと馴れ合いを求めていることに気が付いて失笑してしまった。
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