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3.おうちデート
店やってて良かった
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「俺は木材専門に運んでるんだけどさ、積み下ろしはリフトとか使うからいいとして……積荷が崩れねぇように保定すんのとか結構力がいるんだわ」
だから初めて会った時、彰久さんの腕はあんなにも男らしく、逞しく見えたのかな?って思ってしまった。
それに頬などに触れられる機会が増えて気付いたけれど、彼の手のひらは、ゴツゴツと硬くて無骨で。
それが自分の柔々の手とは違って、結構ドキドキさせられるの。
「普通は積荷の受け手側やら木材港なんかの休みに合わせて日曜祝日が休みなんだけどさ、俺は副業の絡みで水曜も休ませてもらってる」
誰かの雇われではなく、一人親方的に車を転がしているから出来ることなんだとか。
ハンバーグをもぐもぐしながら彰久さんの話を聞いていた私は、ほぅっと吐息をついて口を開いた。
「――ってことは彰久さん、車、三台も持ってる⁉︎」
言った途端「えっ? 食いつくのそこ?」って笑われてしまった。
だって私、愛車は軽を一台持ってるだけなんだもん。
用途によって三台の車を使い分けるとか未知の世界だったのよぅ。
「大型免許持ってるの?とかトラック乗ってみたい!とか、運送業ってそんなに儲かるの⁉︎とか言われると思ってたのに……さすが実迦ちゃん」
言いながらも、「そうだよ、三台持ち」ってちゃんと答えてくれる彰久さんはやっぱり優しい。
「……別のお仕事してるのに、クレープ屋さんもってしんどくない?」
二足のわらじは結構大変な気がする。
「ん? 俺、言ったじゃん? クレープの方は趣味だからって。趣味って楽しいもんだろ? だからそんなに苦じゃねぇな。それに――」
言って、彰久さんが私をじっと見つめてくるから、思わずつまんでいたハンバーグをポロリとお皿に取り落としてしまった。
ふと見た彰久さんのお皿はいつの間にか空っぽで。
(彰久さんっ、食べるの早い!)
なんて思っていたら、不意打ちみたいに物凄くいい笑顔でニコッと微笑みかけられた。
「お陰でキミと出会えたじゃん? やっぱ俺、店やってて良かったって思う」
笑顔好きの私は、甘いセリフとの相乗効果で、当然の様に心臓がドクン!と大きく飛び跳ねて。
(あーん。素敵過ぎるよ、彰久さん!)
と心の中で身悶える。
まだ彰久さんとはキスまでしかした事はないけれど、一緒にいると時折クレープよりも甘い爆弾を投下してくる彼に、私は情けないぐらいメロメロに蕩かされている。
「わ、私もっ彰久さんがタコス屋さんとかハンバーガー屋さんとかじゃなくて……本当によかったって思う!」
でないときっと、無理してまで通わなかったから。
台所の棚に仕舞い込んだ、無惨に潰れたミニドーナツやチョコパイや粉々のクッキーより。
やっぱり私は彰久さんの作ってくれるクレープが一番好き!って思った。
だから初めて会った時、彰久さんの腕はあんなにも男らしく、逞しく見えたのかな?って思ってしまった。
それに頬などに触れられる機会が増えて気付いたけれど、彼の手のひらは、ゴツゴツと硬くて無骨で。
それが自分の柔々の手とは違って、結構ドキドキさせられるの。
「普通は積荷の受け手側やら木材港なんかの休みに合わせて日曜祝日が休みなんだけどさ、俺は副業の絡みで水曜も休ませてもらってる」
誰かの雇われではなく、一人親方的に車を転がしているから出来ることなんだとか。
ハンバーグをもぐもぐしながら彰久さんの話を聞いていた私は、ほぅっと吐息をついて口を開いた。
「――ってことは彰久さん、車、三台も持ってる⁉︎」
言った途端「えっ? 食いつくのそこ?」って笑われてしまった。
だって私、愛車は軽を一台持ってるだけなんだもん。
用途によって三台の車を使い分けるとか未知の世界だったのよぅ。
「大型免許持ってるの?とかトラック乗ってみたい!とか、運送業ってそんなに儲かるの⁉︎とか言われると思ってたのに……さすが実迦ちゃん」
言いながらも、「そうだよ、三台持ち」ってちゃんと答えてくれる彰久さんはやっぱり優しい。
「……別のお仕事してるのに、クレープ屋さんもってしんどくない?」
二足のわらじは結構大変な気がする。
「ん? 俺、言ったじゃん? クレープの方は趣味だからって。趣味って楽しいもんだろ? だからそんなに苦じゃねぇな。それに――」
言って、彰久さんが私をじっと見つめてくるから、思わずつまんでいたハンバーグをポロリとお皿に取り落としてしまった。
ふと見た彰久さんのお皿はいつの間にか空っぽで。
(彰久さんっ、食べるの早い!)
なんて思っていたら、不意打ちみたいに物凄くいい笑顔でニコッと微笑みかけられた。
「お陰でキミと出会えたじゃん? やっぱ俺、店やってて良かったって思う」
笑顔好きの私は、甘いセリフとの相乗効果で、当然の様に心臓がドクン!と大きく飛び跳ねて。
(あーん。素敵過ぎるよ、彰久さん!)
と心の中で身悶える。
まだ彰久さんとはキスまでしかした事はないけれど、一緒にいると時折クレープよりも甘い爆弾を投下してくる彼に、私は情けないぐらいメロメロに蕩かされている。
「わ、私もっ彰久さんがタコス屋さんとかハンバーガー屋さんとかじゃなくて……本当によかったって思う!」
でないときっと、無理してまで通わなかったから。
台所の棚に仕舞い込んだ、無惨に潰れたミニドーナツやチョコパイや粉々のクッキーより。
やっぱり私は彰久さんの作ってくれるクレープが一番好き!って思った。
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