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20.お願い、抱かせて?*

ガッカリしてない?

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大葉たいよう、ちゃんと男の人の身体だ……」

 当たり前のことをつぶやいてから、片手で両乳房のふくらみを隠すように気を付けながら、空いた方の手を一生懸命伸ばして固く引き締まった大葉たいようの胸筋をサワサワと撫でさする。
 触れられた大葉たいようは一瞬驚いた顔をしたけれど、すぐに二ッと笑った。

「今更自覚したのか。お前は女で俺は男だ」

「ご、ごめんなさっ。わ、私ってば……勝手にさわっ……」

「別に構わねぇよ。お前にならいくらでも触らせてやる」

「……ホントに?」

「ああ、もちろんだ。けど……俺もお前に触れるぞ?」

「ふぇっ!?」

「いや、当然だろ」

 ククッと笑う大葉たいようをオロオロと見上げた羽理うりだったのだけれど。

「手、退けて?」

 危うい感じで両胸を隠していた腕をいとも容易たやすく排除されてしまう。

 きっと柚子ゆずくらいふくよかなフワフワおっぱいならば、手を外した瞬間にプルンッと揺れてまろび出るのだろうが、羽理のささやかなはそのイメージとは程遠かった。

 その屈辱を「やんっ」という言葉と、大葉たいようの腕を掴む手に込めた羽理だったのだけれど。

 大葉たいようはまぶしいモノでも見るみたいに瞳をうっとりとすがめると、まるで壊れものに触れるように優しく羽理の小さな下乳したちちに触れる。

「やっと……さわれた」

 そうして無意識だろうか。
 嬉し気に……長年の悲願が成就じょうじゅしたかのように吐息交じりでポツンと落とすから。

 羽理は思わずそんな大葉たいようをじっと見上げた。

「がっかり……して……ない?」

「何で?」

「きっと触り心地とか……全然よくない、からっ」

「なぁ、それ本気で言ってる? お前の胸、すっげぇ柔らけーし……俺の手に程よくフィットして吸い付いてくる感じ……堪んねぇんだけど」

「嘘……」

「嘘でココ、こんなになると思うか?」

 先程よりも固く張りつめた下腹部を太ももに押し当てられた羽理はヒュッと息を呑んだ。

大葉たいよう……」

「ん?」

「……その、げ……幻滅しないでいてくれて……有難う……」

 大葉たいようが自分の身体を受け入れてくれたことに心底ホッとして。
 羽理は我知らず謝辞を述べていた。

「バカ。礼を言いてぇのは俺の方だっつぅーの……!」

 言うなり大葉たいようにギュッと胸を鷲掴わしづかまれた羽理うりは、「ひゃっ!?」と悲鳴を上げて。
 その驚きも冷めやらぬまま、左胸へハムッと噛みつかれたから堪らない。
 羽理は、予期せぬことにビクッと身体を震わせた。

 エッチ自体初めての羽理は、もちろん誰かからこんな風に執拗しつように胸へ触られられたこともなければ、くわえられたこともない。
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