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20.お願い、抱かせて?*

嫌って言っても見るくせに

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「……ひゃ、ぁんっ!」

 それをいさめるようにカップ越し。大葉たいように大きな手で胸全体を包み込まれて、カリッと胸の先端を引っ掻かれた羽理うりは、痺れるような快感に襲われてビクッと身体を跳ねさせた。

「な、羽理。ちゃんと見せて?」

 ゆるゆると羽理の胸をカップ越しに揉みながら、大葉たいようがじっと羽理を見詰めてくる。

(そんな捨て猫みたいな目で見詰めてくるとか……ズルイ)

 羽理はぴり付くような快感の余韻にぼんやりと大葉たいようを見上げて、そう思わされて。

「どうせイヤって言っても……見る……癖に……」

 それでもせめてもの反抗とばかりにポツンとつぶやいて唇をとがらせた。

 そんな羽理に大葉たいようはぶはっと笑うと、「だな」と羽理の言葉を肯定する。

「……絶対絶対、幻滅……しない?」

「するわけねぇだろ」

 それでも不安そうに瞳を揺らせる羽理を優しく撫でると、大葉たいようが鼻先同士を甘えるみたいにスリスリと擦り合わせてきた。

 ひとしきりそんな風にして羽理のざわつく気持ちを落ち着かせてくれた大葉たいように、羽理は恐る恐るコクッとうなずいてみせた。

 大葉たいようは羽理のゴーサインに「有難う」とつぶやくなり、「……上、脱がすぞ?」と宣言する。

(そんなの、いちいち確認しなくてもいいのに)

 そう思った羽理だったけれど、不慣れな行為にどうしていいか分からず戸惑う羽理の気持ちを、最大限に尊重してれるようにも感じられて。

 きっとこんなの、大人の性行為の手順としては凄く不格好なんだろうな?と。
 漫画や小説で得た知識と照らし合わせながら思ってしまった羽理だったけれど、それでも初めての相手が恋愛初心者の自分に足並みをそろえてくれる大葉たいようで良かったと安堵あんどせずにはいられない。

大葉たいよう以外の男性ひととだったら私、きっとしたあとで流されたって後悔しちゃう)

 パーカーとキャミソールをゆっくりと身体から引き剥がされながら、羽理は大きなアーモンドアイで大葉たいようをじっと見上げる。

「あの……大葉たいようも……」

 空気にさらされて心許こころもとない胸元を両手で隠しながら、自分だけ半裸は恥ずかしいとほのめかす羽理に、大葉たいようが着ていた上衣を何の躊躇ためらいもなく脱ぎ捨ててしまった。

「……ひゃっ」

 もちろん、奇異な出会い方をした二人だ。
 見たことのない身体ではない。

 にも関わらず、大葉たいよういさぎよい脱ぎっぷりに彼の男らしさを垣間見た羽理は、やたらと照れて。

 しかも大葉たいように組み敷かれた状態でこんな風に見上げたことなんてもちろんなかったから、着痩せして見えるのにその実しっかり筋肉質で均整の取れた大葉たいようの上半身に見惚みとれて、思わず彼に触れてみたくなってしまった。
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