ブラザー・キス

椎奈風音

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ブラザー・キス

第五話

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「で、お前は夢精でもしたのか?」
「うん」
 鷹兄もまさかこの年で、そんなことになるとは思っていなかったんだろう。
 あっさり認めると、驚愕した目で見られた。

「……誰の夢で?」
「あお兄」

 鷹兄が頭を抱えてしまった。
 いくら面倒見がよくても、相手はノンケだ。
 刺激が強すぎたかも。

「お前、男も大丈夫なのか?」
「さぁ?基本的にはノーマルだと思うけど?」
「でも、あおいの夢見たんだろ?」
「うん」
 自分でも正直よくわからないんだよね。
 あお兄の前ではあんなに緊張するのに、他の兄弟だと猥談をしても全く問題ないし。
 それに鷹兄も今はノンケかもしれないけど、そのうちこの家の雰囲気に飲み込まれて染まっちゃうよ。
 ……普通でなんか、いられない。

「ちょっと訊くけど、お前って男と経験あるのか?」
 本当に嫌なことを訊いてくるよね。
 僕、一応ノーマルだって言ったはずだけど?
 まぁ、でも処女じゃないけどね。

「…………あるよ」
 あの時のことは人生最大の汚点だ。
 アイツの顔を思い出すだけで、虫唾が走る。
 ……無理矢理開かれた身体に、痛みを超えるほどの快感。
 逃げ場のない執着。
 愛なんてなくても、身体は繋げる。
 それを僕に教えた男。

 苦々しい表情で答えると、鷹兄が痛々しい顔をした。
 僕は別に同情して欲しいわけじゃない。
 こんな僕がやっと見つけた安らぎがこの家だったのに。

 ……僕のこの気持ちは、今の幸せも壊してしまうのだろうか……。

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