ブラザー・キス

椎奈風音

文字の大きさ
上 下
5 / 8
ブラザー・キス

第四話

しおりを挟む
 なんだか気分が乗らないまま家事をこなした後、僕はコーヒーを飲みながらリビングで寛いでいた。
 つけっぱなしのテレビから流れるバラエティー番組を見ていたら、ゴージャスな毛皮のコートを着たたか兄が帰ってきた。

 鷹兄は上から二番目の兄で、長男の麿まろ兄と一緒にホストの仕事をしている。
 麿兄と鷹兄は双子で、小さい頃に別々に引き取られたらしい。
 たまたま仕事場で再会した鷹兄に、麿兄が一緒に暮らそうと誘い、うちの家族が増えたのはつい最近のことだ。

「お帰り、鷹兄」
「ただいま。俺もお前が飲んでるヤツくれ」
「了解」
 僕はコーヒーメーカーで作り置きをしていたコーヒーを鷹兄専用のカップ淹れる。
 それなりにいい豆を使っているからか、コーヒーメーカーで作り置きしていても、そんなに香りが飛んでない。
「鷹兄、ブラックでいいよね?」
「ああ、サンキュ」
 鷹兄は甘党でもないし、この豆ならミルクで誤魔化さなくても大丈夫だろう。

「あのさ、ちょっと訊きたいことがあるんだけど……」
「なんだ?」
 コーヒーに口をつけた鷹兄が目線で続きを促してくる。

「鷹兄って、夢精したことある?」


「……っつ!」


 僕が訊いた瞬間、鷹兄がコーヒーを吹いた。

 うわっ!
 コーヒーはシミが残るから、掃除するの大変なんだけど。

 僕は急いで、布巾を持ってきて鷹兄の服とテーブルを拭いた。

「いきなり、なんてこと言うんだ?」
 僕、そんなに変なことを訊いたのだろうか。
 鷹兄はここに来て日が浅いから慣れてないかもしれないけど、この程度の会話なら至る所で飛び交ってるよ?
「えっと、なんか変だった?」
「……もういい」
 鷹兄が頭痛を堪えるように、頭を押さえた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

弟の可愛さに気づくまで

Sara
BL
弟に夜這いされて戸惑いながらも何だかんだ受け入れていくお兄ちゃん❤︎が描きたくて…

壁乳

リリーブルー
BL
俺は後輩に「壁乳」に行こうと誘われた。 (作者の挿絵付きです。)

大学生はバックヤードで

リリーブルー
BL
大学生がクラブのバックヤードにつれこまれ初体験にあえぐ。

隣の親父

むちむちボディ
BL
隣に住んでいる中年親父との出来事です。

兄弟ってこれで合ってる!?

ててて
BL
母親が再婚した。 新しいお義父さんは、優しそうな人だった。 その人の連れ子で1歳上のお兄さんも優しそう ずっと一人っ子だったおれは、兄弟に憧れてた。 しょうもないことで喧嘩したり、他愛もない話をしたり、一緒にお菓子を食べたり、ご飯も1人で食べなくていいし。 楽しみだな… って、思ってたんだけど!!! 確かに仲のいい兄弟に憧れはあったけど!!! え、兄弟ってこんなに距離近いの? 一緒にお風呂に入ったり、一緒に寝たり?? え、これって普通なの!? 兄弟ってこれで合ってる!?!?

ブラコンなイケメン兄に告白された弟

成竹
BL
兄である瞬は、弟の紘を溺愛している。 弟は兄のことがまあまあ好きなので拒みきれずに困っているのだが、そんなある日、弟は兄に告白されてしまった……。 兄が19歳で、弟が16歳です。

フルチン魔王と雄っぱい勇者

ミクリ21
BL
フルチンの魔王と、雄っぱいが素晴らしい勇者の話。

僕の穴があるから入りましょう!!

ミクリ21
BL
穴があったら入りたいって言葉から始まる。

処理中です...